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カウンセラーは役に立たない?心理士ってなにしてくれるの?【カウンセラーに嫌な思いをした人もぜひ読んでみて】

どうも。こんこーん。

臨床心理士・公認心理師として、田舎でふらふらと心理にかかわる仕事をしております、狐田さきつねと申します。

Vtuber的な活動はめっきりできておらずですが、
でもなにかのきっかけになるかもと思って、
ちょっと役に立つことでもやってみようと考えたわけで、
こんなちょっと怖いタイトルを書いてみたわけです。

さて、さっそくですが、
「カウンセラーは役に立つのか否か」について、
ツイッターなりいろいろ見ていると散見される、

「カウンセリングとか意味あるのか」
「カウンセラーってなんなの?」

ともかかわることでしょう。

これはやはり、我々心理士がこれらの声にお応えしていきたい!
なんとかみなさまの不安を解消できればと思っております。


カウンセラーってそもそも何者?

そもそもなぜそんな議論が生まれるのか、考えてみたいと思います。

この議論に至る上で必要なのは、
この「カウンセラー」ってのはどんな人を指しているのか、
というのはかなり重要だと思っています。

いや、カウンセラーって、心理学とか勉強してきた人でしょ?
ってことではあるんだけども…

実は心理系の民間資格もたくさんあって、
私も聞いたことない資格とかで
カウンセラーみたいな仕事している人は
案外いるわけです。

私は大学、大学院と学んでいくなかで、というか
心理学を学んでみたい、と意志を固めていくなかで、
その資格のことだったり、専門性がどのように積み上げられてきたのかということだったりを学びました。

一般的にはそんなこと知られていないし、
田舎ではずっと胡散くさい仕事として見られやすいし、
結局どんな風に役に立つのか、よく知られていません。

精神科とか、障害者施設とか、なんかとんでもない誤解をされながら、お子さんたちに伝わっている地域もたくさんあります。

こんなにインターネットが普及して、なんでも調べりゃとりあえず概要だけでもわかる、こんな世の中でも、
自分とは関係ないと思ってる世界のことは、
自分の理解しやすい流れでしか考えていないことはよくあることなんだと思うのですが…

それほどに伝わりづらい、わかりづらい仕事なんだとは、
我々もわかってはいるのですが、なかなかこの信ぴょう性というか、どのように役に立ち、どのように意味のあることなのか、お伝えするにはなかなか時間のかかることだとは思うのです。

長々と書いてみた上で、まずこの「カウンセラー」っていう人についてですが、
まずスクールカウンセラーの求人からの抜粋を書いてみます。

【学歴】
大学院(修士課程)修了以上

【求める経験・能力・スキル】
<必須>
・公認心理士又は臨床心理士の資格を有する方。
・教育機関において、スクールカウンセラーとして3年以上の業務歴がある方。

某市町村教育委員会の求人から

次に、ある病院の精神科の医療技術職員としての心理士の募集です。

業務内容
児童精神医学領域における心理臨床(心理査定、カウンセリング、療育)、心理臨床に関する学生やスタッフへの教育を中心とする。ただし、状況に応じて成人に対する心理臨床業務にも従事することがある。
応募資格
(1)3年以上精神科等精神医療(精神科病院か一般病院)に従事した経験があり、臨床心理士及び公認心理師資格を持つ方
(2)当該業務に意欲を持って仕事をできる方
(3)チームの一員として多職種との連携・協働のできる協調性のある方

ある病院の求人から

この2件からもわかるように、
社会的にも認められ、ある程度の信頼が保たれた資格が、
この「臨床心理士」と「公認心理師」です。

究極、心理支援をおこなう者としては、
これらの資格以外は多くの場合特に求められないわけです。

なので、あくまで「カウンセラー」は誰を指すのか、といった時には、
これら2つのどちらかでも資格を有した者ということでよいかと思います。

これらの資格を取得する際には、
さまざまな心理支援のあり方を学んできた者たちであるわけで
役に立つと認められた者であるはず、ということです。

ちなみに「臨床心理士」と「公認心理師」以外の資格で、
歴史と実績のある『産業カウンセラー』であったり、
『臨床発達心理士』というのもあったりしますが、一旦今回は置いておきます。

カウンセラーが「なぜ役立つ」のか

というわけで、似たような名前のいろんな心理っぽい資格は、特段求められません。
ということは、それっぽい資格のカウンセラーの有用性は、僕からはあまり申し上げられない感じです。多分人による。

んで、なんでこんなに資格の話をこんなにだらだら書いているかというと、職業的な倫理というのがすさまじく重要な意味を持つからです。

はっきり言ってしまえば私としては、万人にカウンセリングが必要だと思っていません。
支援が必要な人に対して、どのような支援が必要で、効果的で、意味のあることなのか、そういった判断ができる必要があります。

「なんか必要そうだから」「いつもやってるから」みたいな感じで、心理検査はしませんし、心理面接もしません。

これらを通信教育で学んでこれるのか、って話なわけです。
これらをちょろっと勉強したら考えられるのかって話なわけです。

こういった倫理に関すること、というのは自分自身も、そして支援を必要としている人も守ることにつながります。

心理支援を求める人にも、本当にいろんな方がいます。
相手が求めることを埋めるようなことしかできない人は、
ただの都合の良い人”でしかなく、それは心理的な支援とは言いません。

その人それぞれに本質的なニーズというものがあると考えると、
それがカウンセリングによって効果のあるニーズかどうか、
あるいはそれ以外の支援が効果的であるか、
もしくは根本的な治療として服薬が大切であったり、
そういった生活リズムを整えるのが大切だったり、
居場所的な支援が大事だったり、といったように、
心理士が考えるべきは、いわゆる「カウンセリング」にとどまりません。

実際私が担当しているケースのなかで、
よく想像される「カウンセリング」をおこなっているケースはそう多くありません。

だから、すべての人にとってカウンセリングが必要かどうかはなんともいえません。効果がないことはないと思いますし、人と人との出会いと考えれば意味がないということもないとは思います。

「意味がない」と言い切れること、それ自体がその方の対人関係や生き方を物語っているのかもしれません。これは蛇足かもしれませんね。

結論としては、『役に立つ人には間違いなく役に立つようになっている』もので、
効果があまり感じられないのであれば、もしかしたらそれは本質的なニーズとおこなっている心理的支援がズレているのかもしれません。

腹痛を訴えているのに、頭痛薬を出すみたいな。すさまじく雑になりましたが、そんな感じのことが起こることがあるということです。
例を書こうとしたけど事例検討みたいになるから、一旦書いて消しましたわ。でもそういったことが起こりえるんですよね。

んで心理士がなにをしてくれるか、っていうと、
なにが必要なのか判断して、できる範囲のことをできるように、心理的な要素をさまざま考えながら、
できる限り傷つかず、負担にならず、最大限役に立てるように、その準備をおこなうために話を聴くことができる
、ということではないかと思います。

その先のひとつに「カウンセリング」があるわけで、心理士が話を聴くことが全部「カウンセリング」かというとそれはちょっと違うわけですね。

もっと具体的にいえば

公認心理師とは、公認心理師登録簿への登録を受け、公認心理師の名称を用いて、保健医療、福祉、教育その他の分野において、心理学に関する専門的知識及び技術をもって、次に掲げる行為を行うことを業とする者をいいます。
(1)心理に関する支援を要する者の心理状態の観察、その結果の分析
(2)心理に関する支援を要する者に対する、その心理に関する相談及び助言、指導その他の援助
(3)心理に関する支援を要する者の関係者に対する相談及び助言、指導その他の援助
(4)心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供

厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000116049.html

というわけなので、「カウンセリング」だけが仕事じゃなくなってきたんですね。

いろいろあったカウンセラーの流れ

んで、この公認心理師っていう資格はですね。国家資格なんですけども。
ついこの前まで(2022年9月の試験まで)経過措置が認められて、
幅広い方々がこの資格を取得できるチャンスがありました。

正直なところ「大した心理の仕事してないけど勉強したら取れちゃいました」と言っていた方もおられました。

その方がダメな人だと言いたいわけではありません。
でも、前述の「倫理」的な事故が起きやすい事態にはなっております。
だって、それでもとれちゃうんだもん資格。
これからはある程度のカリキュラムをこなしてきた方のみが受験対象となるわけですが、
公認心理師資格の現任者講習で現役占い師もいたって言いますし…

それだけ倫理的な面で事故りやすくなっています。
病院や公的機関だとちょっと敷居が高い気がする、というのもわかります。
時間ばっかりかかって、言ったことをやってくれないとか、
そういった声もわからなくはないのです。

けど、その距離感や枠を、テキトーに超えて、
「きっと大事だから」「この人がそうしてほしいって言ったから」
みたいな、倫理もへったくれもない動きをすることで、
事故が起きます。
その事故こそが、
「カウンセラーとの関係で嫌な思いをした」というやつではないでしょうか。

本来起きてはならない事故なわけですが、
この辺を叩きこまれてきた心理士は、
やはり大学院で指導教官となる教授たちと
激戦というか絆というか、そういったことを積み上げてきた
いわゆる「面構えが違うやつら」になるんじゃないかと思うわけです。

私もぼっこぼこでしたよ、というか
今も、支持されながらもずっとボディーブローあびてる気分です。

でも、そうでもしていかないと学び得ない部分なのかもしれません。
そういった倫理的なことも考えながら、
カウンセラーを考えてみてもらえたらいいのかなって思います。

終わりに

長文を読んでいただきありがとうございました。

こんなストレス社会で、メンタルヘルスの意識が重要だと言われつつ、なかなか理解の進まない分野でもあると思っております。

そんななかで、どのような心理支援者が信頼できるのか、
その手がかりになれば幸いでございます。

今後も、だらだらとではありますが、
心理士からできる発信で、役に立ちそうだと思ったらまとめていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
こんなこと知りたい!などのリクエストもお待ちしております。

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