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【Baguio, Philippines】ジプニーを乗りこなす

フィリピンには、「ジプニー」と呼ばれる乗り物がある。

言ってしまえば、乗り合いタイプの車で、形状は横長となっている。胴体部分は、2列のシートになっているのだが、そこそこ狭いことも手伝って、対面・隣になる人との距離も自ずと近くなる。そのため、人がいっぱい乗っている時は、さながら満員電車の中にいるかのようだった。

ぼくはフィリピン滞在の3カ月間、移動のほとんどにジプニーを使用した。もちろん「タクシー」を使うという選択肢もあったのだが、ジプニーよりも金額的に高かったこと(それでも片道500円ほどで街中の大体の場所に行けるのだが・・・)、

それに加えて、

ジプニーに乗っていると、自分が現地に溶け込んでいるような感覚を覚えたからだった。


ジプニーは距離によって金額が変動する仕組みになっていて、うろ覚えだが、5km(いや10kmだっただろうか、)までは20〜30円程度、それ以上の距離から少し金額が上がるといった感じだ。

そして、この乗り物をほとんどの地元民たちがこよなく愛していた。金額面が一番の理由になっているのだろう。英語学校のほとんどの先生たちも、毎朝ジプニーで学校まで通っていた。タクシーは高いとのことだった。

そうした意味では、ジプニーはフィリピンにおいてほぼ100%浸透している移動手段だということになる。人びとの足となっているのだ。

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ジープニーまたはジプニー (jeepney) とは、フィリピンの全土でみられる乗合タクシーである。
時刻表はなく、始発地において、ある程度人が集まり次第発車する。走行中も、天井を叩いて運転手に知らせれば、希望の場所で降車することができる。 ジープニー - Wikipedia

Wikipediaにもある通り、街中にジプニーの停留所がそこかしこにある。歩いていると、ジプニーが数台固まっている場所があるのですぐにそこが出発地だと分かるだろう。

けれども、出発地から乗らなくとも道端で手を挙げて“乗りたいアピール”をすることで、止まってくれるパターンもある(ただし、ジプニーが満員だった場合、そのまま通りすぎて行ったり、運転手さんが手を振って“今乗せることができない”ポーズを取ってくれたりする)。

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とある停留所にて


それぞれのジプニーにはルートが決まっており、行き先は本体側面に書かれている。上の写真で言えば、「Baguio Plaza Tomay」がルートを示している。

・・・のだが、描かれている「その行き先」が“どこなのか”、サッパリ分からないのだ。停留所から乗る場合、近くに管理(交通整理)している人がいると思う。その人に行き先を告げれば、どのジプニーに乗れば良いか教えてくれるかと。

ぼくの場合、おおかたが道端でジプニーを捕まえていたので、あんまり行き先は見ずに(というよりスピードが出ている中で車体の横の文字を判別するのは難しかった)、とりあえずジプニーに乗ってから目的地に近くなってきたら降りるという戦法を採った。

帰りは変な方向に行ってしまうと困るので、停留所から出発することにしていた(一度全然違う方向に行ってしまい、何度もジプシーに乗るも学校に帰ることができず、最終的にタクシーを使うというミスを犯している・・・)。

さて、降り方だが、ジプニーの天井をたたくと止まってくれる。皆、止めて欲しい所で「コンコン」と、グーで天井を軽くノックしていたのだ。そうすると、運転手はジプニーを路肩に止め、乗客たちは車両のお尻部分から降りていく。皆が降り終わると、ジプニーは再スタートを切っていく。

最初分からずに、「ここだ!」と思った場所でデカイ声で「Stop, please」と言っていた。これを学校の先生に話すと大笑いだった。そういうことを言う人がいないからおもしろかったのだろう。そして、教えてくれたのが「parapo(パラポー)」という単語だ。これが「Stop, please」と同じ意味なのだそう。「パラー」でも「パラポー」でも良くて、パラポーの方が丁寧なのだそう。

ただ、ぼく自身、それほどこの言葉を使っている人たちを見ることがなかったので、“天井ノック”がもっぱら主流なのだと勝手に思ってる。


運賃について。

横長の車なので、まず運転手まで手が届かない時がある。そんな時は運賃を隣の人に渡そう! 
そうすると皆、慣れている手つきで「コインリレー」が始まる。そして、運転手まで到達すると、今度は「お釣りリレー」だ。それを経て、釣り銭が手元に戻ってくるという寸法だ。

始め、お金を隣の人に渡すこと自体少しの怖さを覚えたが、慣れてくるとスッとできるように(慣れって不思議)。何よりもリレーすることが、乗客たちによる共通認識のようなものになっている。また、自分がコイン・お釣りリレーに加わる時もあるので、回ってきたら次の人ないしは運転手に渡してあげよう。逆もまた然りなのである。

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一体ジプニーが合計で何台存在するのか分からないのだが、どこにいてもジプニーの姿を見つけることができた。そして、一台一台デザインが違うのである!

「フィリピン中のジプニーを1カ所に集結させて、どのジプニーが一番カッコイイか」大会とか、展示会のように一つの場所にフィリピン中のジプニーを大集結させたらおもしろいだろうな〜なんて夢想がとどまることがなかった(実際にそんなイベントがあるのかな・・・?←ないでしょう!笑)。


一つたりとて同じデザインを見かけることがなかった。「かっこいいなー」と思うものから「何だコレ!?」と理解が遠く及ばないものまでバラエティ豊富だった。また、似ても似つかない『ドラゴンボール』の孫悟空や、マンガのキャラクターが描かれていたりするものまで、さまざまでした。

日本では絶対に体験することのできないおもしろい乗り物「ジプニー!」

フィリピンに来たら一度、乗ってみるのがイイだろう。変わった体験になると思う。タクシーも比較的安く乗ることができ、使い勝手も良いですが、地元民たちとひざを突き合わせ並べ、目的地まで行くのも楽しい。

また、その土地その土地での乗り物に乗るのは、旅先でできる楽しい経験の一つかなと考ている。

それにデザインの見比べも、見応えアリだ。道行き交うジプニーを逐一、要チェックしてみるのもおもしろいはずだ。

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