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詩にまつわる

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#詩人

肉声の強さ、言葉の強さ

肉声の強さ、言葉の強さ

 小池昌代、林浩平、吉田文憲の編著で『やさしい現代詩』2009。各詩人の一編と簡潔かつ適切な紹介と解説。自作朗読のCD…。編者の吉田は、「やさしい」の基準を、「その詩がその人のこころに届くかどうか」に置いている。そこに挙げられた、吉原幸子の詩の言葉の魅力の解説…助詞を抜くことの魔法は、みごととしか言いようがない。で、吉原さんの作品は収められてないというのが…2002年には亡くなっていたものね、惜し

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言葉の力を痛感

言葉の力を痛感

 伊藤比呂美の第一詩集「草木の空」1978。上京した年に買った詩集ということになりますね。おそらく、渋谷PARCOの「ぽるとぱろうる」で買ったんでしょう。「現代詩手帖」の投稿欄で目覚ましい輝きを放っていた新鋭でした。
 冒頭の「水道橋」、大岡信の「地名論」の水道橋とは異なり、3年間の男との関わりをごく個人的に愛着している、切ない作品。四谷の大学に通い始めていたので、「あんたはよつやのあの土手から」

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