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第7号 「奇跡の脳」から「快い生き方」を学ぶ

タイトルに「奇跡」とついている本を読み「奇跡」を学ぶという記事を書いています。

今回も、前回に続いて、ジル・ボルト・テイラーさんという女性の脳外科医の方が書いた「奇跡の脳」という本を読み解きながら、「奇跡」とは何なのかを探っていきたいと思います。


新潮文庫

この「奇跡の脳」の内容を説明すると、脳の専門家であるテイラーさん自身の身に脳卒中が起こってしまったために、左脳の機能が極度に低下し、その結果、右脳が表現するワンネスの世界を垣間見たり、左脳が持つ理知的な働きをあらためて知るというものです。

また、脳外科医という専門家の視点で、自身の脳が回復していく様子を、客観的に書かれているため、論理的で読み応えのある本といっていいでしょう。

今回は、この本で書かれている人としての「生き方の姿勢」について書いていきたいと思います。


左脳に血流ができ、脳卒中になってしまうという事態に陥ってしまったテーラーさんですが、この思わぬ事態が、彼女自身の人生観を変えてしまうことになります。

ずっと慣れ親しんだ左脳が、より芸術的で音楽的な創造性のある右脳を抑制しなくなると、すべてが変わってしまいました。ですから、わたしには、自分自身を作り直す家族や、友人や同僚が必要だったのです。

テイラーさんは、脳卒中で左脳の機能が低下し右脳の働きが強まってしまったことで、「私たちには分離など存在しない」というワンネス意識である「圧倒的な幸福感」を経験することになります。

そして、このワンネスの意識が、彼女自身の生き方そのものを変えることになり、この意識の変化が彼女の回復を加速させていきます。

脳卒中になる前のテイラーさんは左脳的な人間であり、どんなことでも一人でこなしてしまえる人であり、どちらかというと他者から援助を心地よいと思わないタイプの人でした。

しかし、彼女が体験したワンネスの世界は、それまでの左脳優位の人生観を右脳優位に変えてしまうと同時に、他者の援助を素直に受け入れられるような考えも持てるようにしてしまうのです。

脳卒中を起こす前のわたしは、極端なまでに他人に依存しませんでした。平日は科学者として研究し、週末には歌う科学者として全国を股にかけ、家事や身の回りのこともいっさい、自分だけで管理していました。誰かに助けて貰うことを潔しとしなかったのです。ですがこんなふうに精神的に無能力な状態では、周囲の助けが必要でした。わたしはいろんな意味で運がよかったのでしょう。左脳が損傷したために言語中枢のエゴの部分がなくなり、何のこだわりもなく他人の助けを歓迎できたからです。

完全に回復するはずだと信じてくれる人が、どうしても必要でした。回復するのに三ヶ月、二年、二〇年、あるいは一生かかるとしても、学び、治り、成長し続ける私の私の能力を信じてくれる人が必要だった。

こういった思いを抱くようになったテイラーさんは、他者の援助を受けながら、脳の機能を回復させていきます。特に彼女の母親であるGG(ジジ)の援助が彼女の回復には欠かせないものでした。

わたしの能力についていつも二人で話し合って「お祝い」をしました。昨日は達成できなかったことを今日はどの程度まで達成できたかをわたしに思い出させるのに、母は素晴らしい手腕を発揮します。できたことを理解し、そして次のレベルの目標に達するにどんな障害が途中に待ちかまえているのを理解する、鋭い眼力を持っていました。二人は、成し遂げたことをすべて祝う気持ちでいました。

テイラーさんは、母親をはじめとする周囲の人からの援助を受けていく中で、脳の機能を回復させていくコツを見つけていきます。

上手く回復するためには、できないことではなく、できることに注目するのが非常に大切。
毎日、何かを達成できたことに喜びながら、どれほど上手くできたかだけ焦点を絞り続けました。

成功の秘訣のひとつは、回復するあいだ、自分で自分の邪魔をしないように意識的に心がけたことです。感謝する態度は、肉体面と感情面の治癒に大きな効果をもたらします。ひとつの回復の過程が自然に、よどみなく次の過程に進むたびに、顕著な過程を実感し、心から喜びました。

肉体的に細胞が治癒していくには、充分な睡眠を取るのがとても大事だということを口が酸っぱくなるほど協調したいと思います。脳が治っていく過程で一番力を発揮するのは「脳」だと心から信じています。前にも述べたように、わたしの脳にとって睡眠は「ファイルを作成する時間」でした。

彼女が脳卒中で損傷した脳を回復させていくためにしていたことをまとめると次のようになります。

・できないことではなく、できることに注目する
・達成できたことを祝う
・達成できたことを心から喜ぶ
・感謝の姿勢で過ごす
・充分な睡眠を取る

このように、できたことにに焦点を当て、達成したことを祝ったり喜びながら、感謝の姿勢でリハビリをしていくことで、テイラーさんは損傷していった左脳を回復させていきます。

また、テイラーさんは、睡眠を充分に取ることで回復を速めることができたことで、睡眠が人間にとっていかに大切かを知ることになります。

こういった「できたたことに焦点をあてながら祝ったり、喜んだりしながら、感謝の姿勢で過ごすこと」は、脳の機能障害を持ったテイラーさんに限ったことではなく、私たちも、同じような姿勢で生きることができたなら目的達成がしやすくなるといっていいでしょう。

また、私たちも睡眠の力を上手に借りていけば、効率よく目的達成ができるようになるといえます。というのも私たちの脳は、覚醒時に得た情報を睡眠中に情報処理してくれるからです。

実際に、睡眠の重要な働きに記憶の固定化といわれているため、質の良い睡眠が、人間の記憶能力を強化してくれたりするものです。

そして、私が、この「奇跡の脳」を読んでいて、特に印象に残ったところが、喜びとはからだの中の感覚である、という一文でした。

わたしがすごく大切だと思ったのは、感情がからだにどのような影響を与えるか、ということ。喜びというのは、からだの中の感覚だったのです。平和も、からだの感覚でした。

つまり、「喜び」の意識は気分がよくなるということだけではなく、身体にもよい影響を与えていることです。もちろん、「平和」の意識も、心だけでなく身体にもよい影響を与えているといっていいでしょう。

こういったことから、私たちの意識の中でも「喜び」や「感謝」の意識を意識して使い、日々の生活の中でも特に「できたこと」に注目しながら、「平和」な気持ちで過ごしていくことができるようになると、人生が「祝福」へと変わっていくのではないかと思います。

私たちは、無意識のうちにできなかったことに注目していたりします。しかし、意識して「できたこと」に注目し、それを「喜び」「祝福」していくことで、人生の流れをよい方に変えてくことができるようになるものです。

テイラーさんは脳卒中になることで人生観を変えることになり、生き方を変えることになりましたが、私たちは彼女の経験を参考にすることで、生き方を変えられるようになるといっていいでしょう。

といったわけで、今回は「奇跡の脳」から人として快い生き方を知ることができました。

現在、私はこの本の中ほどまで読み終えた状態であるため、次回も引き続き、この「奇跡の脳」を読み解きながら、人間が持っている可能性を探っていきたいと思います。

次回は、右脳と左脳の働きについて詳しく見ていくことになると思います。


こちらのリンクは睡眠と脳の働きについて書かれているものです。興味のある方はご覧になってください。



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