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#129 「注文の多い料理店」の舞台はどこだ?【宮沢賢治とシャーマンと山 その2】

宮沢賢治作品の多くには、物語の舞台となった実在の場所や、インスピレーションを得た実在の場所があると、私は思っている。賢治は「心象スケッチ」という手法で、自然や、その自然から得た心の動きなどをスケッチするように作品化していることから、物語にも原風景が存在しているのかもしれない。
 
賢治作品は私にとって、往々にして難解だ。
 
しかし作品の原風景に出くわすと、そこで風景と作品がシンクロする。
 
現実世界と作品世界が共鳴しながら、突如として作品が自分と一体化するという体験は、賢治以外の作家ではあまり味わえない感覚でもある。
 
「注文の多い料理店」は私にとって不思議な作品だった。確かに日本を舞台とした物語でありながらも、西洋風な空気感を持ち、それでいて、紳士達の巨大な飼い犬が死んでしまう程の物凄い山奥。
 
どこが作品の舞台なのか見当もつかない。
 
空間が歪んだ異界の入口のような舞台設定と、猫嫌いの賢治が、猫(と思しき生物のような何か)を登場させたという疑問が相まって、「注文の多い料理店」に、モデルとなる実在の場所が存在するのか?という事が、私にとっての謎だった。

【写真は、花巻市大迫地域・猫底地区の山神社鳥居】

(続く)

2024(令和6)年 2月20日(火)

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