自分の立ち位置を理解していないリーダーたち(中辛)

先日とあるカフェにて。外国人の女性スタッフさんがオーダーを取りに来てくださいました。言葉は少しだけ辿々しいい感じはしましたがコミュニケーションを取るのに何の問題もありません。笑顔がとても素敵な方で対応も気持ち良く、爽やかなモーニングを過ごしていました。

少しして奥のオープンキッチンから(多分店長っぽい)男性の声が聞こえてきました。
「もっと積極的に喋ってコミュニケーション取れよ!」
と、先程の外国人女性スタッフに言っています。言われた女性は「はい!」と明るい声で返事をしていました。

企業研修などでお邪魔する中小企業の経営者にも結構多いケースです。
「もっと笑顔でお客様に接しろよ」と怖い顔で怒る。
「人の話はちゃんと聞け」と言って社員の話を遮り自分が喋る。
「元気に明るい挨拶をしろ」と言って自分は仏頂面で挨拶する。

コミュニケーションを上手く取ることが苦手な社員さんはどこにでもいます。彼らがコミュニケーションを取れるように指導するのも経営者や社長、リーダーの仕事の一つです。自分もそれが苦手なら得意な人に任せればよろしい。

では、件の外国人女性の場合はどんな方法が良いと考えられるのか。
店長自らが彼女に話しかけて質問し、彼女の話をたくさん聴くこと。彼女にたくさん喋る機会を作ってあげることであり、決して語気荒く「喋れよ!」と言うことではないでしょう。

何かの原因で会社の雰囲気が少し澱んだり重たくなってしまうこともあります。
そんな時、リーダーであればなんとかこの空気を明るく楽しくしたい!と思うでしょう。そこで様々な行動が考えられますが、意外と効果がありそうでないのが、社長やリーダーが面白いことやギャグを言って笑わせようとすること。

日頃の関係性や社長のキャラにもよりますが一番忘れてならないのは、社長は常に社員から忖度されている、ということ。
面白くもない話も、社員は忖度して笑ってくれます。つまらなくて寒いギャグでも、社員は忖度して笑ってくれます。
それで本当にその場の雰囲気が明るく和やかになるのか、はたまたただの自己満足なのか・・・難しいところです。

いずれにしても忘れてはならないのは、社長やリーダーは、そういった社員さんたちの忖度の上に立っているということ。
社長やリーダーは、自分で思っている想像以上に、社員さんたちに常に言動を見られています。

社長、管理職、中堅、新人、それぞれに立っている場所は違います。当然、そこから見える景色も違う。人は自分が見える景色、つまり自分が経験したことから得た知識しか知りません。社長には当たり前に見えている景色が社員さんには見えない。また、社員さんが今見ている景色がどんなものか社長はもう忘れている。
階層が上になればなるほど、自分は誰かの忖度の上に立っていることを忘れずにいたいものです。

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