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【ディスクレビュー】THE KEBABS『セカンド』

"楽しい"の最高到達点を見た気がする。M1からM10まで、ボーカル・佐々木の唯一無二の歌声とともにハイテンションなギターロックが鳴り止まない。ロックンロールをこよなく愛する4人でバンドを結成できた歓びを、この1枚に集約させたようなイメージを受ける。曲名にだってその"楽しい"はダイレクトに炸裂している。2曲目の『チェンソーだ!』なんて、その愉快痛快なタイトルを耳にしただけで楽しげなメロディーが自ずと浮かんでくる。そんな楽しい曲がずらりと立ち並ぶ中でも、『ラビュラ』のようなロックンロールの優しい一面を感じる曲もある。コロナの現代を風刺した《今年の夏は海に行けなかったし 山にも行けなかったし》という歌い出しの切ない歌詞に対し、《それで構わない だって会えたじゃん》と優しく、まるでプロポーズのような直球の言葉で受け止める。メンバー全員がロックンロールを本気で楽しんでいるからこそ、『うれしいきもち』など屈折のない感情表現が目を引く曲名を並べられるのだと思う。

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