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なぜ森林浴のストレス解消効果が、心身の健康バランスを整えるのか?

日頃から慢性的なストレスにお悩みであれば、定期的な森林浴で心と身体を癒すのがオススメです。

今回はなぜ森林浴のストレス解消効果が、心身の健康バランスを整えるのかということについてです。

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毎日の生活のなかで、必要以上に何らかのストレスを受け続けると、からだの慢性炎症や、うつ病、肥満、がん、認知症など、様々な病気の原因になってしまうことが考えられます。

もちろん、「ストレス」といっても、ストレスの要因には、心理ストレスや化学物質、食べ物に含まれる食品添加物、電磁波、気温など、様々なものやことが考えられるのですが、多くの病気の原因は、広い意味での「ストレス」にあるように思います。


そして、何がストレス反応の引き金になるかは人それぞれですが、騒音や電磁波、大気汚染などが知らない間に、生体にとってのストレスになっている場合は、そのような都市空間から離れてみることも必要であるようにも思うのです。


このように述べるのは、人の健康や私たちを構成している細胞は、自分がいる空間や環境から大きな影響を受けていると思うからです。


慢性的なストレスから解放されるためには、時々、森林浴を行ってみるのがオススメ。

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そういうわけで、日頃の生活から受ける慢性的なストレスから解放されるためには、時々、森林浴を行ってみるのがオススメなのです。

近年、心身の健康のために「森林セラピー」が注目されていますが、森のなかの自然に囲まれていると、樹々や植物による揮発性芳香物質<フィトンチッド>や、鳥や虫の鳴き声といったヒトの耳では聴き取れない高周波が含まれた自然音、自然のなかに隠されたフラクタル・パターンなどが、ストレス解消効果やリラックス効果をもたらし、心と身体を癒してくれます。


森林浴のストレス解消効果については、森林セラピー研究の第一人者である千葉大学教授の宮崎良文氏の研究実績があります。

宮崎教授が1990年に屋久島で五人の男子学生を対象に二日間行った研究によれば、ストレスホルモンであるコルチゾールの唾液中の濃度が低下し、「ストレスが軽減した状態になったことが分かった」とされています。

(参考 『森林浴はなぜ体にいいか』 宮崎良文 著 文春新書)


また2005年~08年度に、沖縄ヤンバルクイナの森から北海道釧路湿原まで、全国38ヶ所の森林において各約1週間をめどに実験を実施したところ、都市部に比べ、コルチゾール濃度は12・4%、交感神経活動は7・0%、収縮期血圧は1・4%、心拍数も5・8%の低下を示し、森林セラピーによってストレス状態が緩和されていることが明らかとなったそうです。

一方、副交感神経活動は55・0%の昂進を示し、生体がリラックスしていることが示されたといいます。

宮崎良文「自然と人間の関係」 参照) 


さらに森林浴がリラックス効果をもたらしてくれる理由のひとつには、ピネン、リモネンといったテルペン類の天然化合物が含まれた「フィトンチッド」(phytoncide)が挙げられます。

フィトンチッドとは、樹木などが発散する化学物質のことですが、より詳しく述べると、植物が傷つけられた際に放出し、殺菌力を持つ揮発性物質のことを指します。

1930年頃、ロシア(旧ソ連)の科学者B.P.トーキン博士が発見したとされ、微生物の活動を抑制する作用をもつといわれています。

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しかもこの「フィトンチッド」には免疫細胞であるNK(ナチュラルキラー)細胞を増やす働きもあるようです。


たとえば『GO WILD 野生の体を取り戻せ!』(ジョンJ.レイティ、リチャード・マニング 著 野中香方子 訳 NHK出版)という一冊には、


フィトンチッドはフィトケミカルの一種で脳に強く影響し、たとえばストレスホルモンの量を減らしたり、痛みや不安を抑えたりする。注目すべきは、そのいくつかがナチュラルキラー細胞と呼ばれる免疫系の強力な武器を強化することだ。ナチュラルキラー細胞は、インフルエンザや風邪などの感染症を前線で防いでいる。とはいえ、こうしたフィトンチッドの多くは匂いとして感受されない。したがって、わたしたちは戸外で深呼吸しているときも、自分の免疫系が自然によって化学的に刺激されていることに気づかないのだ。

(ジョンJ.レイティ、リチャード・マニング『GO WILD 野生の体を取り戻せ!』 野中香方子 訳 p199)


とあります。


いわゆる「免疫力を高める」ということに関していえば、東京在住のビジネスマンのグループに、森の中を二~四時間ほど歩いてもらい、その三日後に血液検査を実施したところ、ナチュラルキラー(NK)細胞が四〇パーセント増加したという日本医科大学の李卿医師の2008年の研究があります。

(参考 『NATURE FIX 自然が最高の脳を作る』 フローレンス・ウィリアムズ 著 栗木さつき・森嶋マリ 訳 NHK出版)




マインドフルネスで<いま>の瞬間に集中し、自然を感じるようにする。

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仕事や人間関係などが原因で心にストレスを感じることが多いという場合や、慢性的なからだの不調や炎症に悩まされている場合は、週末や休日などを利用して、数時間、森のなかをゆっくり歩くようにする森林浴を実践してみてはいかがでしょうか?

その際、意識を<いま>の瞬間に集中させ、マインドフルに自然を感じるようにすることが、より快適な気分になるためのコツです。

というのは、せっかく森林浴を行ったとしても、気持ちが過去や未来をさまよっていたり、スマートフォンが気になっていたりしたら、森林浴のストレス解消効果は半減してしまうように思うからです。


森林浴のストレス解消効果やリラックス効果は、自然の中の音や香り、景色などによってもたらされるため、森林浴の効果を高めるコツとは、五感を活かしてゆっくりと歩くことなのです。


☆視覚・・・自然の様々な変化や移ろい、色、形、光の当たり方などを感じるようにする。

☆聴覚・・・風の音や、葉擦れの音、鳥、虫の鳴き声などに耳を澄ます。

☆嗅覚・・・樹々や花々の香り、草や土の匂いなどを感じるようにする。

☆触覚・・・手で木や土を触感を感じてみる。また、凸凹の地面を歩くたびに足裏感覚を意識する。

☆味覚・・・飲み物や食べ物がいつもより美味しく感じることを感じる。


ぜひ、森林浴を行っている間は、マインドフルネス瞑想を実践しているつもりで、自然そのもの=今の瞬間を五感で感じることに集中してみてください。

そうすれば、無理にお金を使わなくても、日頃の悩みや日常の喧騒を忘れ、心身ともに爽快な気分になり、かなりのリラックス効果も得られます。

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今回のnoteでは、なぜ森林浴のストレス解消効果が、心身の健康バランスを整えるのかということについて述べてみましたが、定期的に行う森林浴は、無理にお金を使わなくてもできる究極のストレス解消法のうちの一つなのです。


ここまで読んでくださり、ありがとうございます。


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