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<森林浴>は、ストレス解消と免疫力アップに効果的。【これからの免疫力を高める習慣1】

本格的な冬が近づくにつれて、風邪やインフルエンザ、感染症の予防対策のために「免疫力を高める」ことに関心をもたれている方は多いのではないでしょうか?

しかしCMやネット広告の「~を食べるだけで免疫力アップ」といったように、特定の食材や乳酸菌だけでいきなり免疫力を高めるのは正直難しいと思われます。

すなわち一朝一夕の努力で「免疫力を高める」のは難しいのですが、しかし日頃から「ストレス」を減らすことで免疫力の低下を防ぐことは可能です。


たとえば、長引く精神的ストレスによって、ストレスホルモンである「コルチゾール」が過剰に分泌されることは、免疫機能の抑制につながってしまいます。

このことに関して、医師の神庭重信氏は『こころと体の対話』のなかで、「情動ストレスは、視床下部を中心とした情動性自律反応、すなわち神経内分泌系と自律神経系の反応を介して、免疫系に影響を及ぼす」と述べています。

また、ストレスを感じることが多いと、体温が低下してしまいますが、そのことも免疫力を低下させてしまう原因になります。



森林浴のストレス解消効果は免疫力の低下を防ぐのにオススメ。

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そこで注目なのは、「森林浴」のストレス解消効果です。

ストレス解消をはじめとした森林浴の健康効果については、以前noteで

のふたつの記事を書きましたが、2020年は新型コロナウイルス流行による自粛の要請などで行動を制限されたり、(健康や雇用・経済のことなど)日常生活に不安をおぼえたりすることで、どうしてもストレスを感じることが多い1年になったと感じています。

ですが、四六時中マスクを装着するなど、感染症の予防を徹底するあまり、そのことがストレスになって疲れをため込んだり、心理的な負担になったりしてしまえば、皮肉にもそのことで免疫力が低下して、風邪をひきやすくなってしまうことは十分考えられるのです。

そのため、免疫力をアップするためには、特定の食べ物やサプリメントに頼るのではなく、むしろ日頃のストレスを減らすというアプローチが重要になってくるように思うのです。


森林浴の免疫力を高める効果とは?

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過去記事でも書きましたが、森林浴のいわゆる「免疫力を高める効果」ということに関して言えば、日本医科大学の李卿医師の研究があります。

李卿(リ・ケイ)医師の二〇〇八年の研究によれば、東京在住のビジネスマンのグループに、森の中を二~四時間ほど歩いてもらい、その三日後に血液検査を実施したところ、免疫細胞であるナチュラルキラー(NK)細胞が四〇パーセント増加していたといいます(注1)。


さらに一カ月後の追跡調査でも、依然として基準値より一五パーセントも高かったそうです。


また以下の記事でのインタビューで李卿医師は、

「森林浴はNK細胞を活性化させるとともに、フィトンチッドが嗅覚神経を通して脳を鎮静化させ、自律神経のバランスをコントロールすることによってストレスホルモンの分泌を抑え、結果的にNK細胞を活性化することがわかったのです」

と述べています。


(なお李卿医師は、近刊に『森林浴 近くの公園で 家族と一緒にリラックス ストレスを解消し 自律神経を整え 免疫力を高める 新しい健康増進法』があり、こちらも気になります)。


また森林浴のストレス解消効果については、千葉大学教授の宮崎良文氏の研究実績があります。

宮崎教授が一九九〇年に屋久島で五人の男子学生を対象に二日間行った研究によれば、ストレスホルモンであるコルチゾールの唾液中の濃度が低下し、「ストレスが軽減した状態になったことが分かった」とされています(注2)。

さらに二〇〇五年~〇八年度に、沖縄ヤンバルクイナの森から北海道釧路湿原まで、全国三八ヶ所の森林において各約一週間をめどに実験を実施したところ、都市部に比べ、コルチゾール濃度は一二・四%、交感神経活動は七・〇%、収縮期血圧は一・四%、心拍数も五・八%の低下を示し、森林セラピーによってストレス状態が緩和されていることが明らかとなったそうです。
一方、副交感神経活動は五五・〇%の昂進を示し、生体がリラックスしていることが示されたといいます(注3)。


フィトンチッドと免疫力の関係

時々、森林公園などの自然のなかでゆったりと数時間を過ごすと、日頃のストレスがやわらぎ、心身ともに癒される心地がします。

そのように、森林浴がリラックス効果をもたらしてくれる理由のひとつには、「フィトンチッド」(phytoncide)が挙げられます。

フィトンチッドとは、樹木などが発散する化学物質のことですが、より詳しく述べると、植物が傷つけられた際に放出し、殺菌力を持つ揮発性物質のことを指します。

一九三〇年頃、ロシア(旧ソ連)の科学者B・P・トーキン博士が発見したとされ、微生物の活動を抑制する作用をもつといわれています。

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たとえば、『GO WILD 野生の体を取り戻せ!』という一冊によれば、「フィトンチッドはフィトケミカルの一種で脳に強く影響し、たとえばストレスホルモンの量を減らしたり、痛みや不安を抑えたりする」といいます。


フィトンチッドはフィトケミカルの一種で脳に強く影響し、たとえばストレスホルモンの量を減らしたり、痛みや不安を抑えたりする。注目すべきは、そのいくつかがナチュラルキラー細胞と呼ばれる免疫系の強力な武器を強化することだ。ナチュラルキラー細胞は、インフルエンザや風邪などの感染症を前線で防いでいる。とはいえ、こうしたフィトンチッドの多くは匂いとして感受されない。したがって、わたしたちは戸外で深呼吸しているときも、自分の免疫系が自然によって化学的に刺激されていることに気づかないのだ。

(『GO WILD 野生の体を取り戻せ!』 ジョンJ・レイティ、リチャード・マニング 著 野中香方子 訳 NHK出版 199頁)

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実際、森林浴や森林セラピーが行える林道では、α-ピネンやβ-ピネン、イソプレン、リモネン、カンフェンなどのフィトンチッドを測定されるといいますが、樹々が発する芳香成分のなかには、心身の緊張をやわらげ、リラックスやリフレッシュをさせてくれる効果をもつものもあります(α-ピネンやリモネンなど)。


ほかにも、森林浴と免疫の関係については、リアルサイエンスドクター崎谷博征医師の『免疫抑制を解除する森林浴!』という記事が参考になります。



ここまで森林浴は、ストレス解消と免疫力アップに効果的であるということについて述べてきましたが、本格的な冬の到来の前に、ストレスによる免疫力低下を防ぐための森林浴を実践してみてはいかがでしょうか?

(私自身は森林浴を習慣にしていますが、いわゆる2020年の「コロナ禍」においては、こまめな森林浴で精神的にかなり助けられた気がします。)


ちなみに、森林浴を行っている最中は、意識を「いま・ここ」の瞬間に集中させ、五感を通じてマインドフルに自然を感じるようにすると、よりストレス解消につながると思われます。


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紅葉が見頃の秋に行う森林浴は、特にオススメです。

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みなさまも、最寄りの森林公園や神社、お寺などから始める森林浴を習慣にしてみてはいかがでしょうか?


注1 『NATURE FIX 自然が最高の脳を作る』 フローレンス・ウィリアムズ 著 栗木さつき・森嶋マリ 訳 NHK出版

注2 『森林浴はなぜ体にいいか』 宮崎良文 著 文春新書

注3 宮崎良文「自然と人間の関係」 参照 
 

ここまで読んでくださり、ありがとうございます(^^♪


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