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息継ぎせずに読む最後の夏のような終わらない夏。

ひとりで黙々と自家製豚ハムときのこのマリネ&白ワイン、スズキのフリット&橙、追加でウフマヨと自家製ソーセージ&赤ワインを食したところで、うおーパスタもいっちゃう?大葉のジェノベーゼいっちゃう?ってすごい迷いながら、でもドルチェもいきたいっすよね先輩!って気分でもあり、あれ?でも1時間に2本しかない特急列車を逃したらもうこれただただ次の電車待ちのためだけに「こちらのお嬢さん(自分)に赤ワインを一杯(キリッ)」って追いワイン注文してしまって、あれ?いつの間にかまた電車逃してしまってないか?っていう永遠ループが見えてきてしょうがなかったんで、このへんでお暇しまっす!っつって爽やかに退散したのはいいんだけれども、まだ心残りが。口の中がまだ麺とデザートを求めてしまっているこれ如何に。駅までの10分間の道のりでどうにかコンビニアイスをゲットして、田舎道を歩く夏休みエンジョイ中の少年のように清々しくアイスを食べながら闊歩したいという願望を無情なほどに打ち消すコンビニの皆無さ。なんなら、むしろ人いる?いやむしろ人いる??って2回自問自答しちゃうくらいのひとっこひとり見当たらないこの町で、私はただただもう、うどんを食べてアイスで〆たい願望を抱え込みながら駅に到着。あれまー寄り道するところもなく予定より早々と到着してしまった駅で、我はどうやって時間を費やせばいいのか、ただただこの何もない町を大きな心で覆い包む空が、さらに優しく夕焼けになっていく姿を眺めていればいいのか、などと思っていたのだが、いやこの町で得たものがあった。商店街の端くれにあった古本屋でゲットした3冊の本が手元にあるではないか。そのうちのひとつが『河童の覗いたニッポン』、なんとまあ、河童さんも驚きのプライス悲報百円南〜無〜、に反して私の心は感謝感激雨霰。本の装丁だけでもうありがとうと合掌をし、中を開いてみてもイラストも文字フォントもオール手書きで徒然日記されていて、河童先生と共にニッポンを覗き見しつつ、海外に行けなくなった今、オイラは日本を旅するんだってほんの今朝方思い立って、はるばる福岡から2時間離れたまた別の福岡にやってきては、もうひとつの今日の目標であった、人に話しかけるのが心底苦手だから、今日こそは出会った人に自ら話しかけるゾなんていう固い決断をした割に、ほとんど人と話さなかったというか人がほとんどいなかったっていう結末に至り今日の旅が終わりそうだが、民藝奥村展に行って、着るだけで神が守ってくれる服とか手仕事の細かさが豪華絢爛すぎる赤ちゃんのヨダレかけなどを見ながら中国の民族文化を感じようということこそが、実はこの旅の本題であったということをこの期に及んですっかり忘れそうになりながら、私は大牟田から福岡へ列車に揺られて帰ります2020夏。今からまた飲めそうな気がしてきたぜエンドレスサマー。

fin...



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