見出し画像

さよならをもう一度~誰かの一番星~

皆様こんにちは、肴矢三祈です。
初めましての方へ、さかなやさいのりと読みます。
今回は私が《堕落の推し活》の時に推していた過去の推しを久しぶりに目撃し、そこでようやく気付いたことを記します。

※《堕落の推し活》とは
2017年初めから2022年夏まで推していた声優さん繋がりで
2019年冬、ある作品の一キャラクターにドハマり。
社会人になってからの貯金がなくなり人生レベルで壊れかけました。
この期間の推し活を『何も考えようとしなかった推し活』として、
《堕落の推し活》と名付けました。

過去の記事一覧です。
この記事単体でもお読みいただけるかと思いますが、特に三番目の
『推しはあなたを必要としていない〜愛しているのならば、貢ぐな〜』
を先にお読みいただけるとわかりやすいかと思います。
https://note.com/sinl_glmfish/n/n72478d970284
https://note.com/sinl_glmfish/n/nd5db044b49fd
https://note.com/sinl_glmfish/n/nddbe9192d139

【魔法か催眠術か、いずれにせよ解けた想い】


追わなくなってから早二年、かつての推しの情報はほぼ全く入って来ない状態にありました。
そんな中、本当に久しぶりにかつての推しを情報で目撃しました。
私が辞めた時と変わらぬ、安定し確立されたキャラクター像のままでした。
しかし私の方が当時とは変わったことに、その時気付きました。

話していることから、何も聞こえない。何も感じることができない。
日本語として意味を理解しても、彼がそう話している真意がまるでわからない。
そこにはただ『かつての推しが話している』と言う事実だけがあり、それ以上自分の心が動くことがなかった。
一番自分で驚いたのは、ファンに向けて話していると感じていた彼の言葉が、一切自分に入って来なくなっていたことです。
正に、聞く耳を持てなくなった。かつての推しに対して、私はそこまで離れていたことに驚きました。
お金を使い込んだことや自分の好みではなかったのに推したことは当然、私自身の個人的な問題です。
なのに、推していた対象の言葉を聞かないほどになっていたのです。
そして推していた当時には気付けなかった、かつての推しの本質に気付きました。

私がかつて推していた彼は、嘘を吐く事のスペシャリストだったのだと。
彼が提供しているものは正しく、魔法であり幻想であったのです。
有名な作品の代名詞である『嘘はとびきりの愛なんだよ?』を実際に行っている、アイドル性が彼の戦い方だったのだと。

私は彼を推していた《堕落の推し活》の時、何も与えられなかったと自分で感じていました。
お金を失い時間を失い自分の信じていた愛が嘘であったことに絶望し、何も残らなかったと思いました。
しかしそれは当然です。
あれだけお金と時間を使っても、愛しているとほざいたのにも関わらず、私は全く気付けなかった。
彼がファンであるこちら側に与えていたものが、嘘と言う魔法そのものであることに全く気付けなかった。
『提供されていたものがこちらの思っていたものと違うと後から知った』と言う、どう転んでも幸せになりようがない状態だったのです。
完全に視聴者側としての私が未熟で、理解していなかった。
《堕落の推し活》の堕落に更なる意味が乗ったと感じるほどに、当時の自分の幼さを痛感しました。
既にその時も良い大人な年齢であったのに、なんて短絡的なオタクだったのか。

オタクを名乗る方々は、彼の与える嘘を求めて彼を推す方がたくさん居る。
当時の私は彼が与える側だと思って推してはいなかった。ファンの応援や投資が必要な、求める側だと思って推していた。
勘違い、思い込み、その果てに離れてようやく私は自分が彼に対して抱いていた不遜を知りました。

【改めて、過去の自分を殴る】


こうして書くと一番やかましいのは当時の私です。
その価値がわからなくなった今の私に訴えかけてくる、彼を推していた頃の私。
けれど《救済の推し活》で何とかヒトに戻ることが出来た今の私は、その頃の私にもう勝てます。
『推しは私を必要としていない。誰であっても』その事に気付いているからです。

かつての推しは今でも誰かの一番星でしょう。
彼が星に見えなくなった、持前の魔法で光っている一人の人間にしか見えなくなってしまった私は、もう彼を目印には出来ない。
それがつまらないこと、不幸なことであると過去の自分に嗤われても、私は二度と戻りません。
私が求めるものは、彼が生み出してくれた嘘の中には何一つなかった。
だから、自らの意思で席を立って彼の舞台会場から退出したのです。

ここまで読んでくださり、ありがとうございます!

2024.09.17 肴矢三祈

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?