見出し画像

《堕落の推し活》から、《救済の推し活》へ

皆様こんにちは。
さかなや さいのりと読みます。
いつもお世話になっている方々も初めましての方も、この記事を開いてくださりありがとうございます。

この記事は私の2019年末から2022年夏までの《堕落の推し活》について。
そしてそこから生活を取り戻した2022年晩夏から2023年11月現在に至る《救済の推し活》についてのお話です。

まずこの二つの推し活で何があったかと言うと、《堕落の推し活》においてとある作品のキャラクターに危険なハマり方をし、生活が逼迫しました。
しかし2022年の夏に不思議な形である作品と出逢い、私は一気に目が醒め《救済の推し活》が始まりました。
このお話は完全にヒトとして終わっていた私が、自分を取り戻してやり直し始めたお話です。

2019年末、私は《堕落の推し活》を始めてしまいました。
ひとりのキャラクターにドハマりし、グッズを爆買いする毎日でした。
毎日毎日段ボール箱が複数届く生活でした。
その開く瞬間、開封して飾るまでの多幸感はかなりの中毒性がありました。
私が購入した分、そのキャラクターの売上に加算されると信じていたからです。
こうすることで推しへの貢献になる。
私は推しの役に立てている。
きっと推しも喜んでくれるに違いないと、買い続けていました。
身内は止めようとしてくれましたが、その当時の私は聞く耳を持てませんでした。
何故なら職場でもその作品は大人気で、あなたは誰推し? これ買った? この子当たったからあげるよ! と言う話で休憩時間を過ごしていたからです。
家族は私がおかしくなった、人格も変わってしまったこの作品とそのキャラクターに何があるのか? と疑問に思っていたそうです。
家の中に肯定する人は居ないけれど、職場に行けば同じ作品を好きな人達がたくさん居る。
元々家族に対しては幼少期から『言ってもムダ』『理解されない』と話す前から諦めては不満を募らせ家の中でも作り笑顔をしていたので、ますます家族との溝は深くなりました。
正確な金額はここで書くのも憚られますが、毎月とんでもない金額をそのキャラクターに注ぎ込んでいました。
と言うのもアクリルスタンドやラバーストラップは勿論、決して安くはない高級仕様のグッズも複数買っていたからです。
その『複数』の数、毎度大体20点前後。
キャラバッグを作る訳ではありません。
ランダムグッズで他のキャラクターも含めて20点ではありません。
とにかくそのキャラクター1人だけのグッズを、転売かと疑われそうな個数を毎回購入していました。
店舗に残っているものは回収、通販は個数制限上限までは当たり前。
既に手に入れているグッズだったとしても、見つけたらまた必ず買う。
他の誰も入れない、入ろうともしない自室には所狭しとグッズが溢れていました。
そのキャラクターのグッズに囲まれていれば幸せだと思っていたのです。

そして2022年夏。
アニメのPVを観た後に見た《夢》に登場人物が現れたことから、私はジャンルを移動しました。
すると文字通り何重もの意味で目が醒めた感覚を手に入れました。
グッズ塗れ、フィギュアの空き箱だらけで脚のふみ場もない自室のことを『気持ち悪い』と思いました。
持っているカバンや財布がかつての推しのグッズでまとめられている自分の姿を『気持ち悪い』と思いました。
それまで幸せと充実と満足の顕現だと信じていた部屋とコーディネートに、絶望したのです。

毎月ウン十万とかけていた《堕落の推し活》を辞めました。
《救済の推し活》を始めてからは欲しいものを厳選して買う様になりました。
異常な複数買いを辞め、ペアで1つずつだけ購入するようになりました。
部屋も大掃除しかつての推しのグッズをすべて処分した為、掃除機がかけられるようになりました。
2019年から全く出来ていなかった貯金も少しずつ出来る様になりました。
この《救済の推し活》が私にとって救いなのは、お金の使い方を改めただけではありません。
かつての推し活が恐ろしい推し方である、異常であると気付かせて私を律してくれたこと。
かなり昔に折っていた筆を再び執らせて、人との交流をも取り戻してくれたこと。
推し活に逃げていた私が、幼少期から今まで伝えていなかったことをすべて家族に打ち明けてしっかり怒られやり直し始められたこと。
人生をきちんと考えられる様になったことです。

多くの方々は私の様なおかしなハマり方はしません。
自分が異常過ぎた事は今の自分が身に沁みて感じていました。
《堕落の推し活》で失った財産の多さとそれで幸せだと思っていた程度の過去の自分を情けなく、悔しく思います。
この堕落と救済の体験はずっと心に、いや魂に刻まねば⋯⋯と肝に銘じながら過ごしていました。

そして、ここ最近報道されているニュースを観て驚愕しました。
歌舞伎町のあのニュースです。
わ、私の《堕落の推し活》はこのニュースと同じなのでは⋯⋯!? と、さすがに額も対象も違いますがハマり方がダブって震え上がりました。
ネットでもテレビでも件の話は沢山されており、様々な実体験がインタビューで語られています。
しかし今の所、何故そうなったのかは明確にされていない様でした。
家庭環境なのか、意志の問題なのか、それともと様々な原因が考えられているそうです。
私は、自分が《堕落の推し活》をしてしまった原因を今はよく理解しています。

自己肯定感の低さを、自分が肯定する為でした。

『家族に理解されない、人間関係も上手くはない、それでも良いのだ。自分に自信が無くても無いままでも私には価値がある。
このキャラクターの売上に貢献し、人気の上昇に貢献している私はこの世に必要な存在だ。
だからこうしてグッズを買って推し活する事は理解されなくても正しいことなんだ。
私の価値を高め、このキャラの役に立つのだから』
と、こう言う精神だったからやっちまったのです。
今書いていて自分で「それ価値があるのはアンタじゃなくてお金だろうが!!」と思います。
そう。どれだけグッズを買ったとしても、購入者の価値とはくっつかないのです。
購入金額がどれだけ多くても個人の価値にはならないのです。
グッズは欲しいものを欲しい分だけ買う。
欲しいけれども優先順位をつけて欲しいものの中からこれだけ買う! とお財布と相談するのが普通です。
自分の価値の為に推し活をする、これこそが《堕落の推し活》の正体でした。

《救済の推し活》を始めてから、正しい自己肯定感を培うことを念頭に生きる様になりました。
これが無いと人に騙されやすくなるし、普通の人は関わりたくないと感じる依存性を発してしまうのです。
また自信なさげに発信すると、気付いたことやアイディアだけを横取りされてしまうことさえあります。
私みたいに培うべき年齢で培われなかった人が自己を確立して社会で生きていく為には、ひとつひとつの目標を定めて一心不乱に進んでいくことから。
自分を安売りすることはもう赦されない、それくらいの覚悟を持つことから。
そこそこの歳になってようやくではありますが、やり直せる事に感謝する日々です。

私のような体験をする人は極稀です。
まず最初にそんなハマり方をキャラクターに対してする人が稀だからです。
なのに何故、恥と自分の騙されやすい性質を晒してまでこの記事を書いたのか。
昨今のニュースで語られていることについて、私の場合の解答を記す為。
この体験を公開することで、皆お前が同じ失敗を繰り返さないか見ているぞと自分に教える為。
そして、推し活を通して人生のドン底と救済の両方を体験すると言う真実を伝える為。
もしかしたら似た事象で誰にも言えず悩んでいる方がやり直す一助になるかもしれない為。

私のこの体験が、誰かの心と脳に新たな動きを生み出せたら。
そう願って止みません。

最後に。
自己肯定感が低い人間が、自己肯定感の低い相手を好きになった時は気を付けましょう。
大体猜疑心、虚栄心、自己顕示欲も自分と相手で同じくらい高いです。
対象がキャラクターでも人間でも同じです。
悪質なハマり方をする危険信号です。
本当に気を付けましょう。

ここまで読んでくださり、誠にありがとうございます!

2023.11.13 肴矢三祈

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?