にっき1223「こんなに素晴らしいものがすでにあるんだから、もっと書いていいんだ」

ふと手にとって読みはじめた江國香織さんの『ジャミパン』が素晴らしかった。この本をふと手にとったじぶんのことを、ちょっと偉いと思ってしまうくらい今のじぶんが読むのにぴったりな短編だった。

書きかけていた母と娘の小説についてぐるぐる状態になっていたのが、江國さんの文章に触れたことで途端にはれやかになった。窓をあけて、網戸からの風に、ゆれているカーテン。凛とした普段さ。言い尽くせないけど、言い表せないけど、「こんなに素晴らしいものがすでにあるんだから、もっと書いていいんだ」となれちゃうじぶんは、能天気なんだろうか。でもさっきまではピリピリ肌が粒だっていて、とても感じが悪かったんだ。ほんとにじぶんなんてこの位の感じだと思えてわらっちゃう。

たくさん書きたい、作りたい、だからもっと素晴らしいものをたくさん読みたい。聴きたい。観たい。大きな大きな海への河を、舟でゆくのか、飛行機で滑走するのか、決めなくちゃいけないことがたくさんあるから作ることは楽しいし、やめられない。

これを表現したいって抱きしめてるものなんてじぶんにはなくて、ぜんぜん空洞なんだけど、作っているときはその空洞のひろいことに気づける、作っているあいだだけは。

素晴らしいものを作ってきた人にも、今まさに作ってる人にも、ありがたいありがたいと思ってます。もしかしたらもっと素晴らしいものが、これから出てきちゃうかもしれないと思えるから、信じられるから。

#エッセイ #散文 #日記 #生活 #日常 #創作 #江國香織 #ジャミパン