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いろいろな一年のはじまり

10月末から11月はじめにかけて、インド人家族の正装姿を見かける。ハロウィンの時期と重なるが、それではない。この時期はディワリというインドの新年に当たる。コロナ禍で中止されていたディワリ・フェスティバルが昨年11月から復活して、近くの公園で開催されている。

11月が新年、そこに地球上の多様な文化を感じた。

現在のグレゴリオ暦では、新年は冬至(今年は12月22日)から数日後にやってくる。もっとも日が短い冬至を過ぎて日が長くなっていく時期を一年の始まりとする考えはわかりやすい。そんな今の新年とは別に、地球上には様々な新年の時期があるようだ。

循環する時のはじまりをいつとするかは、文化的な違いがある。私などは、日の出で一日がはじまると思うのだが、民族によっては一日のはじまりを日没とする考えが見られる。暗黒からはじまるか、光明からはじまるか、民族による歴史的な違いがある。

クリスマス・イブからクリスマスへの切り替わりは、12月24日を過ぎた25日午前0時だが、教会暦では、日没を一日のはじまりと考えられているので、12月24日の日没からクリスマスである(ウィキペディア)。

ハロウィンの解説を読むと、古代ケルト民族は、一年をダークの季節(11〜4月)とライトの季節(5〜10月)に分けて、ダークのはじまりを一年のはじまりと考えていた。収穫の季節が終わり、11月1日にダークの季節がはじまるが、ケルトでは日没から一日がはじまるため、10月31日の夜はダークのはじまりである。(ウィキペディア)

私たち日本人は、新年というと初春を思うが、旧暦では立春の頃に正月である。中国でも春節として旧正月を祝っている。春の到来に一年のはじまりを感ずるのは東洋的な気候風土に適っているからだろう。

気候風土と新年は関連性があると思われる。インドの季節は、乾季(10〜2月)、暑季(3下旬〜5月)、雨季(6〜9月)に分けられている。11月〜2月は雨が降らない、涼しい快適な季節であり、10月末から11月初めにディワリ(新年)を祝うことはうなずける。

一年のはじまりをいつと考えるかは、各民族の置かれた気候風土と関連が深いと思われる。ある人々は、もっとも日が短い暗い時期(冬至)を一年のはじまりとし、ある人々は水が温み早咲きの花が咲く時期(春)を一年のはじまりとし、ある人々は収穫が終わり、太陽の光が弱まる暗黒のはじまる時期(11月)を一年のはじまりとし、ある人々は、猛暑と雨季が過ぎて、晴れの続く穏やかな時期のはじまり(11月)を一年のはじまりとしてきた。新暦で統一されている世界的新年とは別に、各民族は気候風土に適ったそれぞれの新年を持っている。

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