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言い方の違い

言い方により、同じような言葉でも受け手の受け取り方が違う。しばしば、そんな言い方の違いが、人を不快にさせたり、笑顔にしたりする。

飲食店に入り、席についた。水差しが目の前にある。普通ならば、来店した客の前には、一番にお冷用のコップが出てくるのだが、店員さんが忙しいのか、まだ出ていない。

しばらくすると女性店員がやって来て、隣席の片づけにいそしんでいる。コップをもらおうと思うが、ここで言葉を急ぐのは禁物だ。何というべきか一呼吸する。

普通は、ただ「コップを下さい」なのだろうが、多忙な店員には、少し無神経と思われる。結局「手が空いたら、後でコップを下さい」と頼んだ。すると女性店員の顔が微笑んだ。

いそしんでいる時にただ「コップを下さい」と言えば、「今忙しいのに・・」という気持ちになるだろう。「手が空いたら」を付け加えるだけで、客は自分の状況を理解してくれていると思うだろう。誰しも自分のことを分かってほしいものだ。くれぐれも「コップがないぞ」などと言うのは良くない。

この違いは大きな結果になるに違いない。その証拠に直ぐにコップを持って来てくれた。言葉には言霊が宿るのは、古代も現代も変わらないようだ。私は、もらったばかりのコップに水差しから水を注いだ。冷たい水が喉の渇きを癒してくれた。




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