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自粛下で出来る"自然写真"を考える。 #13

先月、当マガジン『自然写真家のnote』で公開した
野良猫を撮ってみる・前編。次に後編を書くつもりだったのですが、
このご時世です。街中を歩き回るのは自粛したいところ。
そこで野良猫の続編は後にして、コロナ自粛の生活でも自然写真を楽しむための何かができないかなと考えてみました。
自然はどこにでもあります。家の中でさえ、探せばあるのではないでしょうか。人と接触をせずに済む極々わずかな距離の移動や、自宅に居ながらにしての撮影が可能な被写体を考えてみました。
家から出なくても、カメラを眠らせる必要はない。そんな生活があれば少しは気持ちも上向きになるかな?
今回の記事の内容には、これからやってみたいもの、も含まれます。私自身の経験値もまだまだ少ないので、皆様と一緒に考えていければなと思います。よろしくお願いします。

■ 望遠編 ~ ベランダは格好の野鳥観察スポット

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この写真は我が家のベランダから撮影しました。
街の中でもベランダはなかなかいい観察スポット。
意外と色々な種類の鳥を観察することができます。

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スズメはどこにでもいるんですけど、
よく見るととても愛らしい鳥なんですよね。

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ヒヨドリも、都会でよく見かける鳥のレギュラーメンバー。

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そしてムクドリも忘れてはいけません…。
ありきたりだけど、皆さん魅力的な被写体だと思います。
今の季節だと、ツバメなんかも見ることができます。
運が良ければ、最近内陸に進出しているという、青いイソヒヨドリを撮ることができるかもしれません。

どうでしょうか。ちなみに上の鳥写真はすべて我が家のベランダでの撮影。幅わずか3メートルほどのスペースですが、我が家の場合、こういった被写体に毎日出会うことができます。もちろん、皆さんそれぞれのお住まいによって見られる被写体の種類や距離は違うとは思いますが、うまくいけば、良い被写体に巡り合えるかもしれません。

ベランダ撮影のコツ ・空が背後の時は+補正を
電線などにとまる野鳥を撮る場合、背後が空になることが多く、カメラが明るいと認識してしまうため、鳥が黒く影になる場合が多いです。
その場合はプラス補正をかけましょう。
僕の場合、思い切って+2段以上の補正をかける時も多いです。

また自宅に居ながらにして観察できるということは、継続した生態観察をとてもやり易いものにしてくれます。これは自然を見るうえでとても大切なことだと思います。そんな中で、見かけた少し珍しいシーン。

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既出ですが、スズメは我が家の真ん前で毎年営巣していることを発見。
こんなところに…。朝起きて寝室まで彼等の鳴き声が頻繁に聞こえるようになるとチェックしています。巣立ったばかりの可愛らしいスズメも見ることができますよ。その写真はまたいずれ…。

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ワカケホンセイインコが電柱にしがみついて何かを齧っています。
これ、なんでしょうね?錆とか食べている?ご存知の方いたら、是非教えてください。

「撮りたい鳥じゃない!」あなたがもし、そう思ったとしても、是非観察してみてください。身近な鳥に魅力を感じるようになれば楽しめるし、そうでなくても、少なくとも望遠レンズを使う実践トレーニングにはなるはずです。

※ 注意点 ※
集合住宅で、すぐ向かいに別の家の窓があったりすると、望遠レンズを構えているとあらぬ誤解を招いてしまうこともあるかもしれません。多くの人にとっての生活圏の中ですから、撮影者それぞれ状況に合わせてご注意を。

■ マクロ編 ~ 庭や植木鉢に、小さな自然を見つける

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さて次はもっともっと小さな世界に目を向けてみます。もし一軒家にお住まいの方は庭に、集合住宅の方でも家庭菜園のプランターや植木鉢など探せば小さなちいさな自然写真の被写体を見つけることができると思います。
上のテントウムシは庭で撮影したものです。

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以前紹介したこの写真は、プランターのゴーヤの花に来ていたアリ。
虫たちはあちこちに息づいていて、この世界に目が行くようになると自然を見る目が変わるように思います。苦手な虫に無理に近づく必要はありません。皆さんが愛らしいと思える小さな命があれば、一度観察をしてみてください。

マクロ撮影に必要なレンズは…。

詳しい撮影法の解説は専門的になってしまうので、ここでは極簡単に説明してみます。まずはレンズ。こういった小さな被写体の撮影には、やはりマクロレンズが最適です。僕の場合、ニコンの105mmマクロを使っています。

ワーキングディスタンス(被写体までの距離)を考えると90~105mmくらいが使い易いのかなと思っています。
マクロレンズをお持ちでない方は、クローズアップレンズというフィルターをレンズの先端に装着してマクロ的に撮影するという方法もあります。
その他、近くの被写体にうまく光を当てるように、ストロボの光を拡散するデフューザーも必要です。興味のある方は、ぜひ調べてみてください。

テントウムシや、コガネムシ、蝶、ダンゴムシ、クモ…。
被写体は無限にいます。もし、そういった被写体を探すことが叶わないなら
、花の鉢植えを買ってきて(今のご時世なら通販でしょうか…)ベランダに置いておけばハチや蝶が飛んでくるかもしれません。もしくは花そのものをマクロで撮影してみるのも楽しいものです。

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庭の花にやってきたちいさな昆虫。テントウムシもそうですが、これもかなり小さな虫です。こういった高倍率のマクロ撮影には、ストロボやデフューザーを使うなど、ある程度のテクニックが必要とされます。それはまた次の機会に解説させていただきたいと思います。
例えばモンシロチョウぐらいのサイズの虫なら、難しいことをしなくても撮ることは可能ですので、始めてみるにはよい被写体です。

■ まとめ

いかがでしょうか。自粛生活の中で、思うように撮影に出かけられず、悶々とした日々を送っている方も多いと思います。僕もです。笑)
もちろん、今まで撮った写真を見返したり、撮影技術の勉強をしたり、データの整理をしたりと、家の中で出来ることは多々あるのですが、工夫をすれば、撮るという行為もできるはずだと思い、今回の記事を書いてみました。

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身近な自然は継続した観察を可能にしてくれます。一点を長く観察することは、何よりも自然に対する理解を深めることに役立ちます。
遠くの大きな自然でも、庭にある小さな自然でも、被写体を見つけるのは自分自身の視点です。目立つ典型的な被写体に「撮らされる」ことなく、自分の見たいものを見つけられる、撮影できるのが一番楽しい。
今、大変な世の中ではありますが、ファーブルが自宅の庭で昆虫観察をしながら執筆を続けたように、静かな生活の中で自然に対する視点を育てる、またとない機会と言えるのかもしれません。

そういう僕も、これから家に居ながらにしてどういう撮影をしようか、いくつかのアイデアを育てています。それらの成果を、このマガジンで共有できる日がくれば良いなと思っています。

今回、撮影法・テクニックの解説についてはほぼ省略しました。マクロ撮影やってみたい、解説してほしい、というご要望を頂けたら、また当マガジンで分かり易く解説してみたいと思います。

小さな自然はどこかに、必ずあなたのそばにあります。
その世界を楽しみながら自粛生活を乗り切りましょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。



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