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琉球の天の川はずっと高いところで笑ってる(新たな出会い編)
前日の夜、年甲斐も無く騒ぎ過ぎたせいで、言うまでもなく朦朧とした朝を迎えることになった。身体は思うように動かないが、外の天気がどうにも気になり気力だけでケツから起き上がった。
部屋のカーテンをサーッと開けると、今日もまた分厚い雲が目に入った。ふぅ〜と、ひとつため息が漏れてしまう。今日も天気はイマイチ、でも何とか雨は上がったようだ。
空港にレンタカーを乗り捨て、与那国行きの飛行機の搭乗待合場にいる自分に気づく。どうやってここまで辿り着いたのか、正直なところあまり覚えていない。気を取り直すために、美味そうな紅芋ソフトクリームを買って口の中に放り込んでみた。
「美味っ!」
![補正IMG_2037](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/76855812/picture_pc_545318809259f4553a4363afa5c8b2d3.jpeg?width=1200)
少し早めに到着したせいで搭乗を待つ待合場所にはまだ誰の姿もない。ソフトクリームの美味しさと強烈な睡魔のせいで、知らない間にコックリコックリ船を漕いで夢の中を彷徨いはじめていた様です。
遠くの方で名前を呼ばれた気がする。はて、、、ここはどこ、、、
気づくと最終搭乗を待つ地上係員が、拡声器で僕の名前を呼んでいる。
「与那国へご出発予定のゆーじ様いらっしゃいますかぁ、最終のご搭乗案内です、いらっしゃいましたらお知らせくださーい」
どうやらすっかり寝落ちしていたようで、慌てて手を挙げて自分の存在を知らせました。
「すいませーん、ここにいまーす」
僕以外の乗客はとっくに飛行機に乗り込んでいた。満席だった。
「すいません」と軽く頭を下げ自分の席へ滑り込むように座る。
石垣島から与那国島までの飛行時間はたったの20分。
このフライトも全く記憶がなく、案の定”ドン”と言う着陸の衝撃音で再び目が覚めました。
今日3度目の目覚めです。
ターンテーブルに回る荷物を受け取ると、すぐ横の出口から外に出た。空港と言うよりバス停に近い感覚。ここは与那国空港、日本最西端の島。出口付近には数名の方が搭乗客を出待ちしている。すると、今夜宿泊するゲストハウス名の書いたプラカードを持った熊の様な男が目に留まった。
その熊男の脇には背の高いカマキリのような男と、小柄で優しそうなアライグマの様な男が立っていた。どうやら今夜、僕と同じくこの宿に宿泊するお客の様です。
熊男が運転する窮屈なワゴン車に、カマキリ男とアライグマ男と共に便乗して宿に向かうことになりました。カマキリ男は助手席に乗り込み、アライグマと僕は後部座席を陣取った。彼らも寂しいおひとり様、この光景は側から見たらまるでラブワゴン。熊が運転する車内は会話もなく無言状態、獣だらけの沈黙のラブワゴン。いや、獣と昆虫の運搬と言うべきなのか。
西へ向かう海岸線の道路には家という家が一軒も見当たらない。ここは最果ての島なんだと改めて感じ入ってしまう。車を走らせて5分足らずでゲストハウスに到着。まだチェックイン前の時間帯と言うこともあり、熊男は隣に併設してある事務所へと僕たちを導いてくれた。
カマキリ男はレンタカーを、僕は原付を予約していた。レンタカーは軽自動車で20年くらい経っている代物。僕の原付も負けず劣らず20年以上の年季が入ったジョグ。すると、入口付近でウロウロ落ち着かない様子のアライグマ男。
「す、すみません。今からでも原付ってお借りできますか」
アライグマ男が喋った。
どうやらレンタルの予約なしでここまできたようだ。歩いて島を巡るつもりだったのか。それはそれで素敵なんですけどね、アライグマさん。
アライグマが借りたのは更に年季の入ったパッソル。40年くらい熟成しているのではないか。キーを差し込んでもなかなかエンジンがかからない。
ブルン、ブルブルプスッ、ブルン、ブルブルプスッ、
「クッソ!ウンッ、、、」
ブルン、ブルブルブル、、、
熊の掛け声が良かったのか、ようやくエンジンがかかった。
熊がアライグマを指導している姿は自然の中のワンシーンのようだ。じっくり見ているとおとぎ話の構図に見えてしまい笑えてくる。
一旦宿泊施設の中にある共同スペースで荷物の整理をしていると、既にカマキリとアライグマの姿はない。早くも散策にお出かけしたようだ。それとも、熊に捕食されてしまったのか。
一先ず宿から程近い最西端の岬(西崎)に向かい、年季の入ったジョグを滑らせた。年代物のわりに動きは上々。少し向かい風が強いが、かえって爽快感が増して気持ち良い。
走りはじめて早々にアライグマのパッソルが目に入った。生きてた!
「おっそ!」
全開で20kmくらいしか出ていない。いや、もしかしらたわざとゆっくり走っているかも知れない。僕は一瞬で横をすり抜け追い越した。ジョグのバックミラーからはあっという間にパッソルの姿は消えてしまった。
![補正_MG_0947](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/76926113/picture_pc_543c7c0413df4128e3a783c4eef03e44.jpeg?width=1200)
![補正IMG_0958](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/76926176/picture_pc_ca84b7db23efb96e5bb9ecbc18abd26a.jpeg?width=1200)
天気は最高!!
眺めも最高!!
運が良ければ、111kmしか離れていない台湾が見えるというが、、、残念ながら今日は見えない。見えるはずもない。こんなところで運を使う訳にはいかないと自分に言い聞かせてみた。
カマキリとアライグマとの出会いはこんな形ではじまりました。
島を原付で1周する間に彼らと変な形で再会しますが、その話はこの次で。
![補正_MG_1249](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/77016479/picture_pc_8d9c0d1618b7ebbdd7daaa81fa12d42e.jpeg?width=1200)
最後まで読み進めて頂きありがとうございました。🌱
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