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短歌:自然の悪行

砂浜の風に盗られたコンタクトレンズの行方ヤドカリに訊く/銀猫
すなはまのかぜにとられたこんたくうとれんずのゆくえやどかりにきく

 桜が過ぎてもまだ春の花の季節は続くのですが、冬が長い当地に住んでいると、どうしても夏が待ち遠しくなってしまいます。最近はこの地とは思えないような猛暑が続く夏ですが、それでも、夏が存在しないことを考えれば、断然に来て欲しいと思います。暑すぎでも。

 そんな訳で、ちょっと季節外れな歌です。

 一度だけ、石垣島に行ったことがあります。台風前の風が強くなりつつあるときでした。

 そんなタイミングで砂浜に行きました。ほんとうの台風を知らないからできた愚行です。
 砂浜には誰もおらず、ちょっと楽しんだらすぐにホテルに戻らなくてはいけないなあ、と思った瞬間、

 強風…

 右目のコンタクトレンズが飛んでいきました。

 何かと高くついた夏のバカンスでした。 

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