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猫短歌:さよなら

ありがとう十と三年の毎日に溢れる思い出の如き涙よ/銀猫
ありがとうとおとみとせのまいにちにあふれるおもいでのごときなみだよ

 昨年の3月24日の明け方、次男猫の吠えるような鳴き声に起こされたパートナーに、わたしは起こされました。当時、パートナーとわたしは夜中の非常事態に備え、寝室ではなくリビングで寝ていました。そんな生活が長引いていたせいか、わたしはすっかり寝入ってしまっていました。

 次男猫は、玄関前の廊下にいました。明らかに異常でした。慌てて夜間動物病院へ電話し、連れて行くことにしました。
 彼を見つけたときには立って鳴いていた次男猫でしたが、キャリーを準備している間に、横たわってしまいました。呼吸が苦しそうでした。

 次男猫をキャリーに寝かせ、パートナーの運転で病院へ急ぎました。道路は空いていましたが、20分はかかると思われました。
 彼は既に鳴いておらず、呼吸がとてもゆっくりになっていました。わたしは「息して! 息して!」と声を掛けていましたが、彼は最期にゆっくりと長い息を吐き、二度と吸うことはありませんでした。病院には間に合いませんでした。

 それでも病院では、スタッフのみなさんが死亡確認ののち、エンジェルケアを施してくださいました。

 空がすっかり明るくなり、滅多に聞くことはない6時スタートの地元FM局の番組を聞きながら、病院で用意してくれた柩に横たわる次男猫を抱き、パートナーとわたしは自宅へ戻ったのです。

 二ヵ月の余命宣告をされた日から、二ヵ月と八日目でした。

 このヘッダー画像の花もとてもきれいです。黄色い花束を見ながら、今日は次男猫にたくさん話しかけようと思います。いつもよりもたくさん。

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