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短歌:かたつむり便

あの人は「手紙出した」と言ったけど東京からは六日もかかる/銀猫
あのひとはてがみだしたといったけどとうきょうからはむいかもかかる

ええとたぶん、中身はわからないけれどLINEやメールじゃ伝わらないこと/銀猫
ええとたぶん、なかみはわからないけれどらいんやめーるじゃつたわらないこと

 これは妄想短歌であって、こんなことが実際に起きた訳ではありません。

 きっかけは、些細な気付きでした。東京在住の人から郵便を受け取ることになったのです。これは単に、物理的なモノのやり取りを行う必要上、郵便という手段となったのですが、「いつ届くかな」と考えた際に、六日もかかることに気付いてしまいました。

 速達にしていない普通郵便で、先方は水曜日の夜に投函してくれました。以前であれば土曜日に到着したのでしょうが、あいにく今は、土曜の配達はありません。結局、月曜日に届きました。つまり、投函者の手から離れて、足掛け六日という訳です。長い旅ですね。

 ネットで調べてみると「翌々日」に届くそうで、つまり「翌々営業日」ですよね。水曜日に投函したとはいえ夜なので、集配は翌朝です。つまり、事実上木曜日からの換算となり、翌営業日が金曜、その次は月曜、ということで、遅配ではありません。

 もしもこの手紙がこの連作短歌にあるような内容であるなら、受け取る側はやきもきすることでしょう。気になるでしょう。水曜日の夜から週末にかけて、何かと手に付かないことでしょう。

 そんなことを妄想しながら、詠みました。

 ふた昔ほど前のことですが、電子メールが普及し出した頃、郵便メールのことを英語ではsnail mailと呼ぶようになりました。かたつむりが運ぶように遅い、ということですね。でも、好きな表現です。


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