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【蒸留日記 vol.88】早秋のエゾヨモギ花穂を蒸留してみる!

さてさてラベンダー蒸留シーズンが終わり、秋の蒸留編へと移っていきます。今回は成熟したヨモギの花の蒸留でっす!

いやぁ〜年内に間に合ってよかったと思ってます^^;
ヨモギ蒸留に関しては過去何回かやってるんですよ。しっかし抽出率が低いのなんの…
そしてヨモギの花ってまじまじと観察・見たことがなかったので、いつ咲くのか把握してなかったんですよね。
おまけに花を咲かせる前に自治体の草刈りに遭ってしまう(後述)のでなかなかヨモギの花という部位をお目にかかれてませんでした。

今回奇跡的に花穂をつけたヨモギの群衆に出くわしたので蒸留しない手はない!って事で、わんさか収穫してきました!

ではヨモギ部位ごとの蒸留回、待ちに待った花穂編いってみましょう…!


■About ヨモギの花

注釈ですが、エフゲニーマエダ本人はヨモギの花を見たことがなかったので、今回収穫できたヨモギ花が正しいオオヨモギ(異名エゾヨモギ,ヤマヨモギ)であるArtemisia montanaなのか詳しく同定できてません。

セイタカアワダチソウのように緻密な花がびっしりと付くヨモギの花穂

ヨモギはアスターやタンポポなどが属するキク科に含められている植物ですが、上述のような際立った特徴的な花をつけず、箒のような地味な花・花穂となっています。
どちらかというと花構造はセイタカアワダチソウやセイヨウノコギリソウなどのように、小さく数が多く付く花穂タイプのキク科植物のようです。

よーーーく見てみると、小さなタンポポ花頭のような部位のトップに赤っぽい微細な花びらのような構造が見えますね。

なんとも地味なヨモギ花を察するに、虫や鳥を誘引して種子を撒く繁殖戦略を持つ植物ではないようで、凄まじく小さいタンポポみたいな花頭が穂に大量についているので、風媒花か地下茎繁殖に重きを置いている進化戦略のようです。
毎年大きく育っては刈り込まれるのに何年もその場に残り続けるのはおそらく根っこが発達しているためなんじゃないかなぁーと思います。

■素材収穫&準備!

ヨモギ素材集めの苦難…(花素材集めの課題点)

北海道に生育するヨモギってしっかり育つと大きいんですよ。
オオヨモギ(又の名をエゾヨモギ,ヤマヨモギ)と和名がついているArtemisia montanaは数あるヨモギの中でも大型になる種らしく、夏にもなると草丈はゆうに1.5mを超える高さとなります。

ゆえに草刈りシーズンで真っ先に草刈り対象となるのがこのオオヨモギ。

花が咲く前に身近な生育地の大部分が刈り込まれてしまうのでヨモギの花を集めるのが一苦労なんですよ…身近な素材ではないというか。
この蒸留家からしたら素材収集上の課題である花が咲く前に刈り込まれる問題は帰化生育するセイヨウノコギリソウ(Achillea millefolium)でも同じでした。

ヨモギの花収集地はマグレで発見!

早朝、セイタカアワダチソウを求めて郊外をドライブしていたところ、偶然ヨモギの花がわんさか生い茂った地点と遭遇!

茎は初夏のものより赤く変化しているが…
葉を裏返すとちゃんと白かった!

ヨモギか?と疑いが大きかったのですが、葉を裏返してみると大正解!
揉み込むとちゃんとヨモギのスーッとした香りもします!

となるとこりゃヨモギ花蒸留もやるっきゃない!とセイタカと合わせて収穫。

ヨモギ花穂の収穫中のようす

でっかいホウキみたいな花ですね。ヨモギの花部位(花穂)です。
今回はこの部分だけを重点的に収穫していきます。
バイオマス量(物体量)が多そうなのでオイル量もそれなりに期待できそうですよね!蒸留が楽しみです。

心なしか刻んでいる最中香ってくるヨモギの芳香が、葉っぱとはまた異なった香りのような気が。。。
やっぱり花部分は種子を作る重要な部位なので虫や動物に食われないように草部とは異なる成分を生成しているのでしょうか?

今回収穫できたヨモギ花穂

収穫したヨモギの素材量が多かったので、2回に分けて蒸留しました!

ちゃーんと今回はヨモギ花穂主体で蒸留しましたよーというアピール的写真。あるいは花の観察用か…

■蒸留結果は…!?

蒸留開始直後のようす

開始から15分ほど経過した時点のものですが、目に見えるほどのオイル層が…!花部位はほかの植物種と同じくもしや多いか?

まず蒸留1回目!

バケツ重量852を差引いて2360gでの蒸留
1時間半後、蒸留停止時点でのオイル量
葉茎より多めに抽出できている感

蒸留素材が多く2回に分けている関係でまず1回目の蒸留成績です。

そして蒸留2回目!

バケツ重量852を差引いて2526gでの蒸留(合計4886g蒸留)
黄色い精油が厚く溜まっている(1回目と合わせている)
ヨモギからここまでの油量を得たのは初めて!(1回目と合わせている)

で1回目の抽出精油と合わせた分量の2回目終了時点のようす。
ヨモギ素材からここまでのオイルを得たのは初めて。。。

ヨモギの花穂蒸留2回で得られた12mLほどの精油

ヨモギ花穂蒸留では過去の比じゃないほど多くの精油が採れました!
これは驚きですね、キク科は花を蒸留するべきなのかな、、、

5月時点のものと同じく薄黄色・オリーブオイルのような色がついていますね。C15テルペンであるカリオフィレンとかの影響かなぁーと予想。

「キク科精油は花部に多い?」その疑問が正しいのかどうか、収油率計算やってみましょ〜う!

1.収油率

抽出量[ 12 mL ]÷ 素材重量[ 4886g]x 100 = 0.245%

9月末ヨモギ花穂蒸留の収油率

参考までに過去2回の収油率
5月初旬の若葉▶︎ 未計測-0.3mL程
6月手前の葉茎▶︎ 0.028%

やはりシソ科ラベンダーと比べると収油率は明らか低いんですが、過去の若葉や葉茎など別部位の蒸留結果と比べると、どうやら収油率が10倍に増しているのがわかりました!

やっぱり花がより多く精油持ってるのかーと改めて判明した感じ…w

しっかし精油の量を得たい!となれば晩夏・秋口までヨモギを生存させなければなりません。
自治体の草刈りリスクをどう回避するか、そもそも草刈りされないような群生地を見つけておくことが大事になりますね。。。

2.香りとか

個人感想ですが、「花っぽさ」「土っぽさ」「カンファラス」の3要素が混在しているようなアロマを感じます。

カンファラスさはヨモギを特徴づけるスーッとしたアロマ性分なんですが、特に開くような「花っぽさ」は前回の葉茎から得た精油にはない分野の香りでした。
も〜〜〜しかするとマグレで今回蒸留したヨモギがオオヨモギ以外であり、種的に異なるので香りも違っていたという可能性もあり得そうですが…w

で、結果的に癒されるようなアロマではありませんでした。
キク科のエッセンシャルオイルなので、薬効重視といった扱い方になるんでしょうか。
同じキク科のノコギリソウ精油も薬効重視の扱われ方をしていますからね。

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若い人がどんどん減る地元【三笠市】もついに人口7000人台目前。 朝カフェやイベントスペースを兼ねたラベンダー園で今いる住民を楽しませ、雇用も生み出したい。そして「住みよい」を発信し移住者を増やして賑やかさを。そんな支援を募っています。 畑の取得、オイル蒸留器などに充てます。