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2023年コモンヤロウ、開花!!

ついに23年も、あのシーズンがやってきてしまいました。

ラベンダー蒸留の手前月にやってくる蒸留お楽しみの時期。。。

そうです、青をつくる季節です。

北海道初夏の6月はなんといっても青の月。

4月は最終降雪、5月は桜と田畑植え替えの季節、6月は青の季節。
7月はコモンラベンダーの季節、8月はラバンジンラベンダーの季節、9月は橙の季節。

11月は相手にできる植物が枯れてなってしまうので鬱になり、山登りに繰り出す月ですね。。。

少々逸れましたが、ついこの間まで雪がちらついていたような気もしますが早いもので春もどんどん進み、ついに白い花々が咲き揃う初夏の季節になってきました。

そして気がつけば彼女らが顔を出す。。。


■開花コモンヤロウと初遭遇!!

札幌の街中に生えるコモンヤロウ/Achillea millefolium

今日6/9より数日さかのぼって6月2日のこと。

札幌市内を車で走っていると、歩道沿いになにやらフランスギクとは生え方が妙に違うよく似た白い花がエフゲニーマエダの目に映ります。
(フランスギク=北海道では野生化し大繁殖、あちらこちらで見られる)

近場に車を停めて徒歩で観察しに駆け寄ってみると、なんとなんと大当たり…!!

歩道脇に生えるセイヨウノコギリソウの一群

Achillea millefolium!!!!

この白いお花の正式名称(学名)だよ

2023年でははじめまして!!!!

コモンヤロウ、セイヨウノコギリソウ、アキレア、たくさん呼び名はあるけれど。。。

あ、エフゲニーマエダおよびこのお花と初めましての読者さんにサラッと解説すると、、、

開花すると3mmほどの緻密な花を冠房状に付ける

日本語名を"セイヨウノコギリソウ"といいます。
”葉っぱがノコギリのようにめっちゃギザギザしているから”でしょうね。
名前にセイヨウが付かないノコギリソウ(A.sibirica/A.alpina)も日本に存在しています。
英名では"Common Yarrow"ありふれたヤロウという意味ですね。
ドイツ名では"Schafgarben"白い群れ羊という意味だそうです。素敵ですね。

名前の通りヨーロッパ原産のキク科植物で、ヨーロッパから明治時代に牧草に混入or観賞用植物として日本に入ってきたそうです。
繁殖力が強く、タネがものっすごく小さく多いので、1本の花穂からひとたびタネが散れば、翌年は群生地に変わるくらいだそう。。。
(とはいいつつもそんなに多くは生えてない現状を後述します)

中富良野町・ファーム富田施設内にて(23.7/16)
ハーブ花壇から逸出したと思しきA.millefoliumがラベンダー畑の縁に列をなして生えていた。
人為の刈り込み圧が強いためか低い草丈で開花に至っている。

なんかイギリス人は苦くない若いうちの葉っぱを茹でサラダにして食べてるそうです。
ヨーロッパにおいて古くからの薬用ハーブなので、そりゃ食べられるかという。ヨーロッパの方はほんとよく雑草…植物を食べますね。。。

去年は6月10日以降に開花したAchillea millefoliumを発見して収穫・蒸留を行なっていましたが、今年はというと6月になった途端開花が始まった印象

北海道の桜シーズンである5月が終わったすぐにもうコモンヤロウ咲いて現れるのか!と意外なスピーディさに驚き。

大都市圏=札幌市は気温が高めだから開花も早い?

とはいっても、この開花コモンヤロウをみっけたところは札幌市のど真ん中。
地方のコモンヤロウ生育地に比べてコンクリートジャングル・ヒートアイランドで加温/warm upされている都市部での開花を確認したよ!という環境条件。
これが6月2日のことでした。

なのでこの日みっけたコモンヤロウの開花がすなわちの開花シーズンを表すものではなく、特段暖かな都市部で促成的に開花が早まっているコモンヤロウたちなのかなぁーとも思ってたりするワケです。

コモンヤロウも開花前線は函館渡島エリアから北上して道央エリアにやってくる流れなんでしょうが、道央エリアに限ると暖かい都市部の札幌都市部から徐々に街はずれへ広がり、空知へ北上していくのかなぁと予想しています。

「山の植物の調理法(2018)」

後になって知りましたが、フランス文化圏ではこのAchillea millefoliumは亜高山帯植物の扱いのようでした。
コモンラベンダーやドイツトウヒなどと似たような冷涼環境で育つ植物のようなのです。


■コモンヤロウ(Achillea millefolium)とよく見間違えられる花たち。

1. フランスギク(Leucanthemum vulgare)

まずコイツ、フランスギク!!
セイヨウノコギリソウを探して回っているとまず姿形が似通っているのでむっちゃ紛らわしいヤツ!
開花時期と植物サイズがほぼ同じなので特に紛らわしいのです!

けど仲が悪い(双方嫌遠物質を出し合っている?)ようで、一緒にごっちゃになって生えているという状況をみたことがありません。
フランスギクが大発生しているところではどうもコモンヤロウはまったく見つからないんですよね。。。
好む土壌湿度の関係か、何故なんだろう?と深い疑問を持ち始めている昨今。

2. オオハナウド(Heracleum lanatum)

ハナウドの花冠

セリ科オオハナウド!
これは5月25日くらいから道央エリアで開花が始まり、白く目立ちはじめました。

冠房状をしている花の構造自体はコモンヤロウと瓜二つなのですが、ご覧の通り大きさが明らかにヤロウと違ってとにかくデカい。
手のひら以上の大きさがあり、草丈も中学高校生くらいの高さがあります。
開花時期はコモンヤロウと被ってますが、大きさが明らかに違うので全体を見ればすぐわかります…!

3.ノラニンジン(Daucas carota)

ノラニンジンの花冠(7/4撮影)
ノラニンジン全体(7/4撮影)

こちらは野菜ニンジンの原種であるセリ科ノラニンジン。
こちらは花のサイズ・形状ともによく似ているのですが、北海道での開花時期が7月〜8月中旬までと一月ほどズレています。

よーく見ると花冠の真ん中に赤黒い花が一輪だけプイッとついているのが特徴。
このことから英名ではアン女王のレースという愛称がついているようです。

また精油の販売サイトによってはこの花とセイヨウノコギリソウとを間違えて掲載しているケースもいくらか見受けられます。
そして、なんとこのノラニンジンからも精油が採れます。日本ではほぼ知られていないようで、海外では10mL¥5000以上の相場で販売されています。
主成分は酢酸ゲラニルαピネンサビネンのよう。


■識者、木を見ず森を見る。。。

そして記事を執筆している6/9本日、今年初コモンヤロウをみっけた札幌市とは違うところでもコモンヤロウをチラホラみっけることができたので、とりあえず発見レポートをまとめてみることに。

やっぱよく探すと意外と居るもんでした、Achillea millefolium。

生えてる地面を観察してみる。

砂地など乾燥気味の地面によく生えているよう。

まずは去る6/2の札幌市内生育地でのようす。
私の知っている群生地だと道路の縁石や農道沿いという生育環境なのですが、札幌のこの場所に限っては歩道脇の砂が堆積した砂地っぽいところにモッサァと群生していますね。。。

よく見ると斜面になっている奥にも未開花の小さな個体が密生しているのですが、生えている地面は青々とした芝生というよりはところどころ土面が見えているドライな土質の印象があります。

というかイネ科しかほぼ見えないので砂地に近い土質…?(モンゴルのステップ草原的な)

ガッツリ国道沿いの道路と歩道の縁石の隙間に群生している子たち。
札幌で開花を目撃してから4日後ですが、こちらは株全体のまだ3分咲きといったところ。
やはり都市部から離れると開花タイミングがズレているよう。
しかしこの1地点だけではわかりません。

…歩道がバッキバキにヒビ割れていて、やや痛んだ路面をしていますね。

ところ変わって岩見沢の山際の道沿い。こちらも縁石に生えてるコモンヤロウの株。
背丈は小さいですが、まわりにフランスギクなど見た目がソックリなヤツが居なかったので逆に目立っていた白い花のコモンヤロウ。
まだ開花したばかりという状態のようですが見つけることができました。

上記と近い地点

今までは歩道の縁石の隙間などに生えたヤロウしか見られなかったのですが、こちらは歩道脇の砂が溜まった?苔むしたところに群生するヤロウたち。
こちらの個体群はなんだか薄緑色をしている気がしますが、細々としながらも開花が始まっていました。(根っこを張れる深さ=草丈?)

上記画像からまた数メートル離れた地点

ほぼ同じエリアですが上記画像からさらに数メートル離れたところにも別の個体群が。
こちらは歩道脇というより奥の雑草地に、それなりの範囲で根を張っているコモンヤロウ。
草丈がやや高い個体群らですがまだ開花は始まっていないよう。
そこまでドライな地面じゃなくとも一応個体群をつくるようです。

ほぼ開花状態であるが、草丈が低い個体群。

そして我が地元三笠市内の田園地域の道沿い。
こちらの個体群は草丈が低く、もう8分咲きといった具合で開花が進んでいました。
で日陰になるものがない箇所でもあったりなど。今シーズンは岩見沢個体と比べてフルに陽光を浴びれていることになります。

生育場所はというと、やはり道路端の砂が堆積した部分。
花穂を立ち上げていない子株?がモッサリと葉っぱを広げて拡がっているのがわかります。

この場所に根を下ろしてからまだ年数が浅いんでしょうか?

よく似ている競合相手のフランスギク、居なくね?

コモンヤロウの様々な生育地点を観察していると、⤴︎⤴︎という点に気づき始めたのですよ。
どの地点も一応遠景含めて撮っているのですが、他に明らか白い花(フランスギクなど)が写っていませんよね。

コモンヤロウとフランスギクとでは大きく生育環境が違うのか、そもそも種子侵入がない地域なのでアレロパシー的物質を含んでいなかったりするのか、、、

それぞれの生育地環境を注視すると、違いがわりと大きく映えるこの差はなんなのか、調べ甲斐がありそうですよね。。。

■ウチで苗から栽培しているヤロウたちのいま。

遺伝的には外で撮影してきた白花コモンヤロウとほぼ同じですが、野生種に比べての改良品種とされている本種プロア。
彼らは苗木で本州からやってきたので2023年に至っては開花シーズンはあまり意味をなしません。。。

未開花状態では白っぽいアキレア'テラコッタ'の蕾

品種変わって一応A.millefoliumとされていますが、自然種ではなかなか存在しないオレンジ色の花を付ける園芸品種テラコッタ。おそらくキバナ系との交配品種だろうと予想。

A.millefoliumと言われつつもなにやら葉っぱが白っぽく、硬そうなんですよね。。。

▶︎追記、2023年積雪期直前のセイヨウノコギリソウ。

夜の気温が氷点下となりはじめた11月半ばでも花を咲かせるセイヨウノコギリソウ

さすがは高山植物の性質をもつAchillea millefoliumだなぁーと感心した一枚。
あたりの雑草はすでに寒さで枯れていますが、北極圏でも生育できるコモンヤロウだけは花含めご健在な様子。
これが撮影された数日後に雪が降り積もりました。

若い人がどんどん減る地元【三笠市】もついに人口7000人台目前。 朝カフェやイベントスペースを兼ねたラベンダー園で今いる住民を楽しませ、雇用も生み出したい。そして「住みよい」を発信し移住者を増やして賑やかさを。そんな支援を募っています。 畑の取得、オイル蒸留器などに充てます。