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なんか「チルの時代」らしいね

らしいよ。

「チル」に関連するものが流行してる

最近この本読んだんだけど、今流行るものって「チル(=落ち着いてまったりすること)」がひとつのトレンドになってるとか。それで色々と合点がいった。なんかやたら増えてるシーシャ専門店、突如巻き起こったサウナブーム、昔は「オフシーズン」だった冬キャンプの流行。これ全部チル目的か

サウナってあの暑い時間じゃなくて、その後外の空気にあたってる時間が「整う」とか言って愛されてる気がするし、冬キャンプは焚き火を囲んでボーッとする時間を楽しみにいってる。

最近関西にできたスーパー銭湯はだいたいサウナがあって(サウナがメインのところも多くなってきた)、しかも浴槽の方には普通よりかなり「ぬるい湯」が導入されてる気がする。特に水春グループはほぼ確実にぬる湯(炭酸泉)があって、人が殺到してるのをよく見るが、あれも一種のチルだ。

最近は国内旅行でもあえてホテルじゃなくて、1棟貸し素泊まりの宿をとって、旅行先で「宅飲み」みたいな時間を過ごすのも流行ってる。星野リゾートなんかでも、いくつかの宿で部屋飲みプランを作り、出先で「宅飲み」が出来るようなサービスを打ち出してきた。チルな空間を親しい仲間と共有し、みんなでボーッとする体験が、今の時代にあふれている。

個人的にも、新宿で焚き火を囲むシーシャ専門店という2つのチル要素が合わさった店に行ったことがある。サービスで出てきたマシュマロを黒焦げにして爆笑するカップルがちょっと怖かったが、確かにいい時間を過ごせる場所だった。 

そういえばチルアウトって名前の逆エナドリみたいなやつ、俺が学生の頃は限られたとこでしか買えなかった気がするんだけど、今じゃ色んなローソンとかファミマで買えるようになってるな。

ローファイヒップホップがBGMに定着

音楽にもこの時代の流れが影響を与えてる気がして、例えばいわゆる「作業用BGM」はイージーリスニング系からローファイヒップホップ/ジャジーヒップホップのトラックに切り替わった。ジブリっぽい女の子が勉強してる映像がループしてるあれだ。YouTubeのこの配信だと常時1万人以上が聴いてて、影響力の強さを感じる。(Nujabesとかが作ってきた音楽がBGM扱いされてる気がしてちょっと引っかかるけど)

メジャーシーンでもVaundyの「世界の秘密」ってやつとかチル的な要素が意識されてる気がする。ジャジー・ヒップホップ的な編曲にも定評のあるmabanuaが、この数年で米津玄師や星野源みたいなビッグネームの編曲に参加したのも記憶に新しい(全部チルな感じだったわけじゃないけど)。

落語×チル

ここまで書いてきた「チル」を、本人は全く分かってないのに取り入れた例がある。林家たい平が自分の落語にローファイヒップホップを組み合わせた動画を発表したのだ。

冒頭話しているように当人はよくわかってなさそうだが、聴いてみると結構いい感じだ。林家たい平の声が落ち着く音域なのと、リズムが落語とかなり合っているからかも(曲のブレイクと落語の展開が合うタイミングがある)。

滋賀県石山の容輝湯で感じたチル

最近のチル体験としては、滋賀県石山の容輝湯が素晴らしかった。京都・梅湯を始めとした「ゆとなみ社」による継業銭湯の1つなのだが、築100年の建物に浴槽が4つのみというストイックな構成だ(サウナ等はなし)。

そのうち3つの浴槽を41℃〜42℃と少し熱めに設定し、残りの1つを20℃のぬるめの水風呂に設定するという珍しい組み合わせ。(通常の水風呂が15℃前後、いわゆるサウナーが愛するキンキンの水風呂が1桁台の温度だと言うことを思うと、20℃の水風呂はかなりぬるい)

でもこの温度なら誰でもプール的な感覚で入れるし、熱めの浴槽で温もっただけの(サウナより火照っていない)体には丁度いい。めちゃくちゃ気軽に温冷交代浴が出来てしまう

ぬるい水風呂って、じっとしてると肌の周りの水だけ温度が上がってしまって気持ち悪かったりするんだけど、その問題をジャクジーで解消してたのもすごかった。泡で水が掻き回されて肌の近くの水が入れ替わり続けるし、見た目や感触も楽しい。

上で書いたみたいな最近の銭湯のトレンドとも言える「サウナ」「キンキンの水風呂」「長時間入れるぬる湯」の真逆を行ってるのがおもしろい。

2-3回交代浴を繰り返すと、「サウナ後の体に悪そうなドクドクする感じ」を味わうことなく、ひたすら気持ちよくトリップ出来る。気合い入れなくても水風呂に入れる。最高だった。 

ちなみに容輝湯の靴箱、地球一かっこいいかもしれない。 銭湯の消滅可能性ってきっと市街地よりもこういう人口の少ない立地の方が高いから、そこを引き継いでやってるのも最高。

チルの終わり

この流行っていつまで続くんだろう。自分の感覚としては最近、普通の会話の中で「チル」とか「整う」とか口にすること自体が、なんとなく背中がこそばゆいような気がする。ちょっと恥ずかしいというか。

もう次の流行を生み出していくような歳でもないから、完全に後追いなんだけど、その自分にこういう感覚があるってことは、もしかしたら「チル」の終わりも近いのかもしれない。

「チル」が気の知れた仲間内で落ち着く雰囲気を共有する非言語コミュニケーションだとすれば、今度は例えば飲み屋で知らない人同士の会話が始まるような言語コミュニケーションが流行ってくるかも(最近よく飲み屋に行くんだけど、こういうのがめっちゃ楽しい)。コロナも一区切りついたことだし。

そうなったらいいな、と思う自分がいる。

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