書こうか迷ったけど書く。レアル・ソシエダの選手へのヤジに衝撃を受けた話
こんにちは、しえです!いつもご覧いただきありがとうございます!
今回は、個人的にリアルタイムで衝撃を受けている話を書きたいと思います。
本当は書こうかどうしようか迷ったんですが、自分の中で衝撃を消化できずにいるので試しに書いてみようと思います。レアル・ソシエダがLaligaに告発した、ヘタフェ戦でのヤジのお話。
サッカーの試合にヤジは付き物
まず最初にお伝えしたいのが、残念ながらスペインサッカーの試合に観客からのヤジは付き物だということです。
テレビで見ているだけでも分かる、行ってみればもっとひどい、熱狂した観客からのヤジ。白熱した試合になればなるほど、その声は大きくなります。
ブーイングの意を込めた指笛なんてかわいいもので、Fワードは飛び交い放題、選手を侮辱するチャント、酷い時には物をピッチに投げ入れたり最悪の場合はサポーター同士の争いも発生しています。これでも20年前に比べるとものすごくマシになった方らしいのですが。
ただのヤジで済まない場合もある
で、そのヤジがただのFワードで済めばまだマシなのですが(本当はマシでもないけれど)、中には「それは絶対に言うたらあかんやろ」という言葉を口にしてしまう人もいる。
レアル・マドリードのヴィニシウス選手が度々観客からの人種差別的なヤジを訴えていますよね。サッカーの試合と人種なんて何も関係のないことなのに、それを口にしてしまう人があのサポーター席に、やっぱりいるんです。
昨シーズン大問題になり、ブラジルとの国際問題にも発展しそうだったことを受けて、Laliga側もこの問題をなんとかしようと「Laliga contra Racismo(ラ・リーガは差別と戦う)」なんてキャンペーンを行ったりしています。
ヴィニシウス選手のことがスペイン国内でも、日本でも大きく取り上げられていましたが、言ってはいけないヤジはなにも人種だけに限ったことじゃない。それをまさか自分の応援しているチームの選手が言われるなんて、思ってもみませんでした。
ラ・レアルがLaLigaに訴えたヤジの内容
数日前にこの新聞記事を読んでいて、1日どころか数日間、今に至るまで消化できないほどの衝撃を受けました。イライラとか腹立たしいとか、ばっと燃えて落ち着くような気持ちではなく、涙が出るほど悲しいわけでもない。驚いたが正しいかなと思います。
先日行われたレアル・ソシエダ対ヘタフェ戦で、GKのアレックス・レミロ選手がヘタフェのサポーターからinsulto(侮辱)的な声を浴びせられた、という記事です。
最初はまあそんなこともあるわな、スペイン人口悪いしなんて軽い気持ちで見ていたのですが、内容を見てびっくり。
"marica"と”etarra"。
maricaはまあ、女性的な男性とかゲイとかいう意味です。これね、スペインにいると結構聞く悪口で、ちょっと優しい見た目の男の人に同じ意味の¡maricon!(オカマ)なんて言っていることもあります。マジでやめろと思うけれど、割と聞く言葉なんですね。
もうひとつ、私が衝撃を受けたのが"etarra"の方です。これ初めて聞きました。etaで始まっている単語だし、調べる前から大体予想はついたのですが、辞書を引いてみたら案の定「ETAに関係のある」「ETAの協力者」という意味でした。こんな単語があることすら知らなかった。
ETAとは
ETA(エタ)とは。貼ってみたけれど、正直わかりにくいね。ETAとは、かつてバスクを拠点に活動していた組織のこと。
バスク地方をスペインから切り離して独立させることを目的とした組織で、スペイン国内で度々テロを起こし、2018年に解散するまで政府の要人や警察官、一般市民を含め829人を殺害したテロリスト集団です。
バスク地方の独立を望んだETA。自分たちと異なる思想を持つ政治家や大学教授など影響力の強い人物を標的として、市民を巻き込みながら1960年代後半からなんと2008年までテロ活動を続けていました。
今の穏やかなバスク地方からは想像もできないことですが、実際私が初めてスペインへ行った2005年の頃は「バスク地方は怖いところ」という漠然としたイメージがありました。
2004年にマドリードで発生した列車爆発テロ事件も最初はETAが疑われていたくらい、本当に近年までスペイン国内の脅威としてテロリスト集団が存在していたのです。
もう過去のものだと勝手に思っていた
ETAは2010年にテロ活動の放棄を発表、2017年には完全に武装を解除すると発表。これによりスペイン国内のテロ組織は壊滅し、民主主義の勝利などと謳われたりもしました。
その後、バスク地方はガストロノミー(食文化)を売りに世界的に有名な観光エリアとなり、バスクブームが起こりました。私もここ数年はETAのことなんて考えもせず、バスク地方へ足を運んでいました。ETAなんて過去のものと勝手に忘れていたのです。
しかし、実際のところ試合中のヤジではETAを揶揄するetarraという単語がバスクのチームに向けて頻繁に使われるとのこと。今回だけ、ラ・レアルに限ったことだけではないということを初めて知りました。
まだ言うんだ、それ。しかも関係のない選手に向かって。絶対に言ったらだめなことでしょ。
私が受けた驚きの原因はここです。好きなチームが選手がどうこうではなく、バスクのチームをinsultar(罵る)時に、かつて存在したテロリストの名前を持ち出すことが現在でも起きている。過去のものと忘れ去っていたけれど、全然過去じゃないのかも。
この種の暴力は人の手によってのみ止められる
今回はチームがLaliga側に訴え出たので、メディアにも結構大きく取り上げられていました。
人によって起こされることなので、人の手によってのみ止められる。これがすべてだと思います。
ヘタフェのサポーターからは、ラ・レアルのサポーターもグリーンウッド選手に向かって侮辱的なチャントをしていたとコメントが散見されますが、お互い様とかじゃなくて、追い出すべきだと思いますね。もちろん両方ね。
二度とスタジアムに入れないようにすればいいと私は思います。
個人的にもしんどい出来事だった
私のnoteはスペインと、大好きなLaligaに関するポジティブなことを書こうと思って始めたんですが、今回は結構しんどかったので書き殴ってしまいました。
なんでお前がしんどいねんと自分でも思いますが、そこはスペイン愛ゆえということで。スペインという国が好きだからこそ、負を見せられると心が痛みます。
バスク、というと主語が大きいな・・ETAの負の歴史のことを完全に忘れていた自分にもちょっと嫌気がさしました。何がスペインオタクやねん。
とはいえ日本のメディアは今回の出来事に全然触れないし、少しでもこんなことがあったんだよ、ということを知っていただければいいかなと思います。
スペインという国、サッカースタジアムからしょうもないお互い様の考え方と、選手への侮辱チャントがなくなりますように。
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