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【絵本】「うみにいったライオン」 垂石眞子

「ぼくは ライオンが だいすき 

ぼくは うみも だいすき だから だいすきなライオンと だいすきなうみに でかけた 

ライオンはぼくに ライオンおよぎを  おしえてくれるって!

ライオンって  さいこうの ともだちなんだ」



「うみにいったライオン」 垂石眞子


「せかいのおしろ」という本を
読んでいたライオンに、男の子は話しかけます。


「ねぇ、ライオン。 ライオンは うみに いったことある?」


「なんども行ったことがある!」
と本を読みながらこたえるライオン。


男の子はライオンに「海へつれていってよ!」
とせがみます。


「ぼく、ライオンと いっしょに 
およぎたいな。ライオンは およげるの?」

「およげるかって? このぼくが?
およげるに きまってるさ。きみに 
ライオンおよぎを おしえてあげよう。」


男の子は、とびあがって喜びます!!


海へやってきたライオンと男の子。


すぐにでも泳ぎたい男の子なのに、
ライオンは悠長にパラソルをたてはじめます。


ライオンは、形からはいるのでしょうか?(笑)


男の子は、先に海に入ります。


パラソルをたておわっても、
ライオンは海に入りません。


哀愁ただようライオンの
背中に向かって男の子は叫びます!


「ライオーン、なにしてるの?」


ライオンは、かいがらを拾っていました。


「ライオン、泳ぎ教えてくれるんでしょ?」
と男の子は迫ります。


ライオンは、「そうだったね。」
と言いながらもぜんぜん、海に入ってきません。


「ライオーン、なにしてるの?」


またまた、男の子は哀愁ただよう
ライオンの背中に向かって叫ぶのです。


しかし


ライオンは砂で、お城をつくっていました。
「お城をつくるのがとくいなんだ」と言って。


ついに


男の子はどなってしまいます。


「ほんとは およげないんだろ!」


しょんぼりしたライオン。


「そうなんだ。 ぼく およげないんだよ。」


男の子は、ライオンに浮き輪を渡しました。


それから


2人(1人と1頭)は、とっても楽しそう!


一日中、海で楽しく泳ぎ、パラソルの下で、
サンドイッチを食べ、ジュースを飲み


そして


2人(1人と1頭)は、
かいがらや石で、おしろをつくりました。


ライオンは、泳げないけど、おしろを
つくるのはとっても上手なんです。
ぜひ、絵本の中の絵を見てください。
(ライオン、誇らしげです!)


素晴らしい 『おしろ』 なんですよ。


きっとライオンは、男の子に泳ぎじゃなく
この 『おしろ』 を見せたかったんじゃないかな。


ライオンは、男の子が大好きで、
自分のかっこわるいところは
見せたくなかったのでしょう。


誰だって、得意なものや
不得意なものがありますよね。


強がったライオンの気持ちも痛いほど
わかりますし、「およげない」ことを
素直に告白したライオンが、とても
かっこよく、素敵でした。


ぼくは ライオンが だいすき 
ぼくは うみも だいすき 
だから だいすきなライオンと 
だいすきなうみに でかけた 
ライオンはぼくに ライオンおよぎを 
おしえてくれるって! 
ライオンって さいこうの ともだちなんだ


最後のページで、ライオンと男の子は
夕陽を背に、アイスクリームを仲良く
食べています。


このページが、とても素敵です!


強くて獰猛なのが象徴である
ライオンの繊細でやさしいところが
魅力的な絵本でした。




【出典】

「うみにいったライオン」 垂石眞子 偕成社



いつも読んでいただきまして、ありがとうございます。それだけで十分ありがたいです。