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「今あなたに知ってもらいたいこと」 オノ・ヨーコ

「私たちが人のためと思ってやっていることは結果として自分の心にもいい影響を与えているのだと思います。」



「今あなたに知ってもらいたいこと」 オノ・ヨーコ



ヨーコさんの言葉は尊い。


ヨーコさんの生きてきた壮絶な体験や、魂からじわじわと滲み出てきた言葉だから。


かつて、埼玉にジョンレノンミュージアムがありました。


僕はジョンレノンの使用したギターが見たくて、埼玉のミュージアムに行きました。


ジョンレノンミュージアムは、ビートルズ時代からのジョンの歴史、衣装、ギターなどが展示されていました。


ヨーコとジョンが電撃的に出逢ったヨーコの個展での、天井からぶらさがっている虫眼鏡とはしごも展示されていました。


真っ白なはしごをのぼっていくと、真っ白な天井に小さな字で何か文字が書いてあります。


ぶらさがっている虫眼鏡で拡大して見てみると、小さい文字で


「yes」


ジョンはその肯定的な言葉に、あたたかみを感じたと語っています。


「もし 『No』 とか 『インチキ』 みたいな意地の悪い言葉が書かれていたらすぐに画廊を出て行ったよ。 」とも語っています。


ジョンの歴史を堪能して、最後の部屋・スペースに入ったとき、そこにあったアクリル板に、ジョンとヨーコの言葉がたくさん書かれていました。


その言葉に胸を打たれました。目頭が熱くなりました。


とくにヨーコさんの言葉に胸を打たれました。


〝ずっと昔 私は「決してやまない風がある」といったけど気が付かなかったわ、その風があなただったとは〟


この本に衝撃的なことが書かれていました。
ジョンが凶弾に倒れた瞬間のこと。


あの日、ジョンが撃たれたすぐあと、こちらに向けて弾が飛んでくるのが見えました。

本当に一瞬のことでしたが、弾が向かってくるのをみたんです。横にずれていたから私には当たりませんでした。

狙った人は、まず初めにジョン・レノンを、そしてその次にヨーコをやろうという考えだったのでしょう。


ヨーコさんは強い人です。


強い人だと感じました。


ジョンレノンと結婚したことで世界中からバッシングを受け、ジョンを目の前で殺され、どれほど辛い思いをしたことでしょう。


それでも世界にメッセージを発信し続けている。


「あなたは、なぜそんなに強い人間でいられるのでしょうか?」


ヨーコさんによく聞かれる質問なのだそうです。


でも、私は決して強い人間ではありません。自分では弱い人間だと思っています。弱い人間には弱い人間の生き方があるのです。

生きていくためには、いろいろ考えて、工夫して、自分のできるかぎりのことをしっかりやっていく。それでいいのです。


ジョンを亡くしてからも、ヨーコさんに誹謗中傷が浴びせられました。


ヨーコさんは気が変になりそうでした。


前に進もうとしても、そんな人たちに足をひっぱられて動けなかったそうです。


「これに負けてはいけない」


ここでヨーコさんが考えたことが、やはり尊いことだと思いました。


「このままでは自分がだめになってしまう」と思って、始めたのが人を「Bless」(祝福)することです。

「Bless you Jack, Bless you Norman,Bless you Fred ……」

夜ベッドの中で自然に浮かんだ名前を祝福しました。無心になって祈り続けました。


それは、ヨーコさんに嫌がらせや、誹謗中傷している人の名前です。


そのときは、そうしないとヨーコさん自身、病気になってしまう、壊れてしまうとの思いがあったそうなんです。


だから、私をアタックしている好きでもない人たちを一生懸命祝福し続けたのです。


そうしていると、ヨーコさんの気持ちに変化が表れてきました。その人たちに対する恨みが薄れてきたのです。


また


それと同時に不思議なことが起こりました。

私を攻撃していた人たちはまだ攻撃の態度を変えたわけではないけれど、他のことに忙しくなったり、仲間割れをしてお互いに衝突したり、ある人はこんなことを仲間と一緒に企んでいたと私に告白しに来たり、私に向かっていた鉾先が鈍ってきたのです。


なかなかできることではありません。


ヨーコさんは、こう結んでいます。


もし、周りにあなたをいじめるような人がいたら「祝福」してあげてください。それはとても難しいことですが、あなたの健康のためだと思ってやってみてください。

そうすると、あなたはその人たちのいじめの世界の上に出ることができるのです。

(中略)

あなたが祝福している相手が自分を愛してくれる、というのとは違います。

そんな甘いことではなくて、敵を祝福するという難しいことをしたために、あなたがもう少し強い人間になったということです。

そして、それを向こう側も感じないわけにはいかなかったということだと思います。

向こう側からバッシングされることが終わらなくても、あなたが相手を祝福してあげたことによって、あなたは強い健康な人間として前に進んでいくことができるようになったということです。


ヨーコさんの人生から滲み出た魂の言葉に勇気づけられ、前に進んでいけると感じた一冊でした。



【出典】

「今あなたに知ってもらいたいこと」 オノ・ヨーコ  幻冬舎


いつも読んでいただきまして、ありがとうございます。それだけで十分ありがたいです。