嗤(わら)う編集者
「大変すばらしいお原稿ですね」
編集者がそういいながら、上記のような表情を浮かべていたら、要注意。
片側の口角が上がっていますね。
これは、相手を「軽蔑」しているときに浮かぶ表情です。
つまりこの編集者は、言葉とは裏腹に、原稿の執筆者を見下している。
きっとその原稿はボツになるでしょう。
今回は、わたくし塚Bが現在取り組んでいる企画、「表情分析」についてご紹介します。
「表情分析」とは?
皆さんは、「表情分析」というものをご存知ですか?
例えば、こちらの表情。
さて、どんな表情でしょうか。
これは、「嫌悪」の表情です。
実は、人間が幸福・軽蔑・嫌悪・怒り・悲しみ・驚き・恐怖の7つの感情を抱いた時、その顔に生じる表情というのは、国籍や民族、文化を問わず万国共通。
こうした知見をもとにした「表情分析」は、すでに米軍やFBI,CIAなどでも駆使された科学的な手法として確立しているのです。
表情分析の第一人者
現在、この「表情分析」についてをまとめた本を鋭意製作中です。
著者は、「空気を読むを科学する研究所」代表取締役の清水建二さん。
清水さんは、日本で数少ない認定FACS(Facial Action Coding System:顔面動作符号化システム)コーダーです。
表情分析の高いスキルから、防衛省の研修講師や、犯罪捜査の協力、さらに役者の演技指導なども行っています。
編集者、演技に挑戦する
さて、上記にご紹介した「軽蔑」と「嫌悪」の表情は、塚Bが再現してみたものでした。
しかし、実際のコミュニケーションで生じる表情には、ほかにもさまざまな種類があり、さらには「幸福」と「嫌悪」が同時に表れるといった混合表情まであります。
そうした表情作りに私も挑戦しようとしましたが、こんな感じになってしまいました。
もはや、単に近眼で良く見えないときの顔にしか見えません。
表情筋を、うまく動かすことができないのです。
これではモデル失格、いやそれ以前に、寝ぐせがついている時点で社会人としていかがなものかと思います。
プロの役者の表情筋
そこで本書では、プロの役者さんに、さまざまな表情を再現してもらっています。
清水さんは役者さんの表情をみながら、
「口角をもう少し下げて。眉間はそのまま。上のまぶたにもう少し力いれて。はいここで撮影」
と、細かく指導します。
表情筋の微細な動きを見極める清水さんもすごいですし、その細かな指示に応じることのできる役者さんもすごい!
表情ごとにとった写真は、600枚にも及びました。
私もチャレンジしたからこそわかりますが、とてもそんな風に、微妙に顔の筋肉を動かすことなどできません。
というわけで、新刊告知です。
さて、いったいどんな表情に、どんな感情が隠されているのでしょうか。
その全貌は、来年2月10日発売、『裏切り者は顔に出る』(清水建二著、中公新書ラクレ)にて!
どうぞよろしくお願いいたします。
(文=塚B、写真=中央公論新社)
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