見出し画像

人事採用は難しい。人事採用におけるイシューを構造化してみた。

oViceというバーチャルオフィスサービスを提供する会社のHead of HRを担当している宮代です。

新卒でビズリーチへ入社。セールスを担当。退職後、友人と共に(株)almaを創業。ビジネス部門の責任者兼HRを兼任。 2021年1月度よりoViceに副業人事として1人目HRとしてジョインし、2021年5月度よりoViceのHead of HRに。日本発のグローバルユニコーンSaaS企業を目指し、奮闘中。

oViceは2020年12月から2022年5月現在で10→143名*へと組織を拡大し、日本市場では、10→100フェーズへ突入。韓国市場では、ようやくPMFが見え始め、US/APAC(特にベトナム)/EURO圏でもチームが徐々にでき始め、Outstandingな成長を目指し採用活動を推進しているフェーズです。
※ Full Time 94名, Contractor 49名体制

ともすると「採用活動が上手くいっているのでは」と思われるかもしれませんが、正直にお伝えするとまだまだ上手くいっていないのが現実です(笑)

HR部門の採用ではこれまで50名ほどの人事経験者と話してきましたが、その中で内定に至ったのは2名のみ。

「人事採用」の難しさの要因とoViceが「未経験人事✖︎BizDev人材」の採用を行う理由についてお話できたらと思います。

「人事の採用って、超難しくない?」

多くの人事・経営層の方が共感していただけると思いますが、私もoVice のHR部門の責任者をする中で、同じ壁にぶち当たっています。

あえて赤裸々にいうと、「HR部門の採用が、全然上手くいっていません」。これまで50名ほどの人事経験者と話してきましたが、その中で内定に至ったのは2名のみ。他の事業部と比べて、人事の採用は圧倒的に難しいのです。

今日は、そんな「人事人材の採用」の難しさを考えてみたいと思います。キーワードは、「採用市場における、ビジネス視点を持った人事人材の希少性」です。

人事に必要とされる能力


自社に合った人材かどうかの判断をする際、以下3点を見ています。
「(人事としての)資質」×「マインドセット」×「専門スキル」

①(人事としての)資質

「資質」とは、生まれつきの人間が持っている性質であり、oViceの人事に求める要素として、

① 誠実性/②共感性/③メンバーに興味関心を持つことができる能力/④バランス感覚(性悪説・性善説どちらにも偏らず、どのケースでも偏見を持っているというメタ認知をすることで、フラットに人を観察する能力など)/⑤前向きなエネルギーの絶対量
and etc… さらそれぞれの企業が求める性格特性も、ここに加わってくるでしょう。

②マインドセット

「マインドセット」とは、考え方や思考方針であり、これは人事全体に共通するものと、担当領域に個別のものがあります。全体に共通するものは、一言で言えば「事業成長へのコミット」

その上で、HRの担当領域によってもそれぞれ必要なマインドセットがあります。

例えばリクルーターであれば、採用人数といったKPIを追うだけでなく、

Q. 採用を通じ、想定されていたイシューは解決されたのか?
Q. 採用後の事業数値にポジティブなインパクトは生まれたのか?

など事業成長を実現するまで責任を持つスタンスです。

HRに求める要素として、「オペレーションを改善し続けるマインド」、「組織/事業イシューを見立て続けるマインド」などを持った方をoVice社では求めています。

③専門スキル

例えば、「オペレーションを改善し続けるマインド」がリクルーターに必要な理由として、リクルーター≒「面接」を思い浮かべる方が多い中で、
実際に1回の面接を実施するまでに、候補者対応、採用管理ツールでの評価記載、日程調整などの付随業務が発生します。業務の特性上、面接と共に日々のオペレーションを回す機会が都度発生します。
また、管理部門と位置付けされるHR部門へ潤沢なリソース・資金を割くことができないケースは多いため、日々の業務オペレーションを回しながら、効率化・自動化・拡張をし続けないと雑務の海に飲み込まれます。

直接的な利益を出す領域でないからこそ、費用対効果を最大化する為に、オペレーションを最適化する能力が求められます。

こうして整理すると、「専門スキル」を考慮せずとも、人事には「人と向き合いながら効率的に事業を成長させる」という、抽象度と難易度の高い要素が求められる為、人事に必要な資質・マインドセットを持っている人間の母集団が少ないです。

また、事業部での経験なくして、上記のようなマインドセットを獲得することは難しいのが実態かと思います。

oVice社のRecruit チームで求められる専門スキル

人事人材が希少である、構造的な課題


さらに、「採用市場における人事人材の希少性」には、構造的な理由も存在します。

例として上げるとこんな感じです。

・人事の給料低い問題
・既にポスト埋まっちゃってる問題
・人事に必要な専門性が縦にも横にも広い問題
・専門性を身に付けづらいキャリアパス問題
・業務の特性上、知見は世に多く出回っておらず、知見を見つけたとしても自社にそのまま適応することは難しい問題
・活躍する人事は、会社に高いロイヤリティを持っているケースが多く、採用市場に全然出てこない問題

それぞれ詳しく説明していきます。

① 「ポスト埋まっちゃってる問題」

転職した会社に人事責任者、Mgrがいた場合、自分が役職者になる機会はなかなか訪れません。能力や成長意欲の高い人が、人事をする旨味があまりないんです。(給与も裁量権も広がらないので、スキルアップは難しい……)

また、組織が成長しなければ人事の役割が拡張することもなく、またHRの人員を採用することは起こり得ません。

なので、成長し続ける会社を上手く見つける目利き力も、成長意欲の高いHR担当者/HRを志望される方は必要です。

これは、中野北口駅前にある目利きの銀次本店

②「求められる専門性が広すぎ問題」

人事の領域は非常に広いにも関わらず、
マネージャー以上に求められる専門知識・スキルを習得するために十分な機会を、企業側が提供できていない場合が多いのに、非常に多くの役割を求められます笑

メルカリの木下さんや、overflow社の鈴木さんもTweetされていましたが、
近年のトレンドとして、Data Driven(データを元にした推進)×EX Led(体験構築力)×Business Focused(ビジネス洞察力)× People Advocacy(人への洞察力)といった能力を求められるが、担う業務内容によって使用するスキルが大きく異なる為、向き不向きは当然発生します。

https://www.myhrfuture.com/blog/2021/7/26/9-skills-hr-professionals-need-to-succeed-in-the-digital-age
https://www.aihr.com/blog/hr-career-path/

「全部一人でやってくれ!」と言われてしまっている、ぼっち人事の皆様。
「お前にやれんのか?」と思いながら、是非このNOTEを経営メンバーにSHAREしてください。笑

③「専門性を身に付けづらいキャリアパス問題」

一定期間の人事経験後、他の事業部に戻すといったジョブローテーションが組まれている企業の存在。

組織課題を解決するために、会社のエースをリクルーターとして投入。
2・3年後には事業部へCome Backが決まり、必要なスキル・マインドセットを獲得できたとしても企業内で活用されず、企業の採用力が低下するケースも発生します。

oVice社の採用力の定義

また、本人も人事としてのスペシャリティを伸ばし続けたい。と思っていない為、「2~3年なら良いか」事業部に戻ってHappy! というケースも散見されます。

「人事をやりたい!」と思われていないのが悲しい。嗚呼悲しい。
新卒で「人事をやりたい!」と思われている方は、黙って事業部/プロダクト部門で成果出しましょう。その方がHRとしてのキャリアの幅が広がります、、、

④「知見は世に多く出回っておらず、知見を見つけたとしても自社にそのまま適応することは難しい問題」


業務の特性上、開示できる情報にも限りがあるため、往々にしてプロセスは省かれ、アウトプットのみ世の中に出回っている状態です。本来であれば、

自社の市場特性・サービス特性・組織特性を踏まえ、理想の組織制度設計をすべきですが、考え方を学ぶことが難しいです。

HOWとアプトプットイメージを沢山知っていることは強みになりますが、自社にとっても最も良い状態は何か?を言語化した上で、検討すべきでしょう。

「ヒアリングばかりする人事、時間取られるし嫌よね~」と事業部側から聞こえてきます。。。

⑤「活躍する人事、採用市場に全然出てこない問題」

活躍する人事は、会社に高いロイヤリティを持っているケースが多く、採用市場に全然出てこないです。(素晴らしいことですが!!笑)
高いパフォーマンスを出している人事は、自社が好きだからこそ成果を出せている部分が、少なからずあるはず。

そうした方は、転職を考えるトリガーが発生しづらいので、なかなか採用市場に出てこないんですね。

どこにいるの〜〜〜 !?!?

可愛い目をしたパープルユニコーンな優秀人事

⑥「人事の給料低い問題」

USでは、急激な成長をし続けるSaaSユニコーン企業も多く、そういった企業では優秀な人材を獲得し続ける必要性が発生します。
Senior Recuterのポジションの平均年収は1000万円以上を超えており、
※ Glassdoor 参照

それに比べて日本の採用担当の平均年収は約365万円程度と、物価・ポジションを踏まえてもかなり低い水準となっています。
Indeed 参照

日本では、採用「責任者」や人事「Mgr」など役職がつかない限り、プレイヤーとしての報酬上限は、大体700万円程度です。
※例:Greenで検索した場合)。

様々な能力を縦(専門性)にも横(役割)にも求められるにも関わらず、報酬が低い状態です。だから、人事をやりたくジョブチェンジを図ろうとも構造的にチャレンジできない状態です。

例えばリクルーターといった業務の特性上、
一人が担える面接数に上限がある為、エンジニアやマーケターなどの職種と比較した際、レバレッジをかけづらい事実もある一方で、
リクルーターが全体の採用活動/採用オペレーションを効率化、全社を巻き込んだ採用活動をPM的に推進することで、最も注力すべき候補者へのアトラクトに業務時間の大半を割くことができ、大きなレバレッジを作ることは可能だと思っています。

優秀な人事は、組織成長のモメンタムを作れると私は信じています。

人事の採用市場構造のまとめ in Japan


最後に人事の採用市場構造を再度整理してみました。

人事に必要な素養を持った母集団が少なく、
キャリア作りの観点から人事を志す人は稀で、
経験を積める機会・環境は出回っておらず、
実績のある現役人事は採用市場に出づらい。

これが、「人事人材の希少性」の構造的な理由だと考えています。

「人事未経験✖︎BizDev人材」の採用に舵を切ります


こうした背景を踏まえて、oViceでは「人事未経験✖︎BizDev人材」の採用に力を入れることにしました。

事業理解がないと機能しない職種ですが、
BizDev・PMなど事業部・プロダクトサイドで成果を出されている方は、組織・プロダクト・事業を深く理解できると考えています。

そういった方が、HRの職種にチャレンジすることで、大きなインパクトを作れると信じていますし、事業部→HRにジョブチェンジをする流れをoViceのHRチームとして一緒に作っていきませんか?

※勿論、現職人事の方も大大大募集しております〜!!!!

構造的な課題に対するoViceの解決策


① ポスト埋まっちゃってる問題 
oViceは事業がグロースし続けているので、ポストがまだまだあります!
現在のRecruit/EXチームを機能別により細分化する予定です。
HR内の複数機能を担える越境人材を採用 × キャリアパスの可視化。を通じて、HRチーム内での柔軟な異動を自分意思で叶えられる体制を構築しています。

②③④「求められる専門性が広すぎ問題」 × 「必要な専門性を身につけづらいキャリアパス問題 」×「知見は世に多く出回っておらず、知見を見つけたとしても自社にそのまま適応することは難しい問題」
評価/能力テーブルを職種別に作成済みで、職種のGrade別にどのような能力が求められるかを可視化しています。
→ 
未経験の方でも、3ヶ月ほどで活躍できる「サクセッションプラン」も開発済み&不必要なジョブローテーションも無いです。
人事責任者の経験がある人間が2名HRにおり、社内には日本だけでなく、Global 含めた成功・失敗事例が蓄積されています。

Recruit Team の項目

活躍する人事、全然市場に出てこない問題
→「人事未経験✖︎BizDev人材」の採用
に力を入れます。

⑥ 人事の給与低い問題
oViceでは、例えば、シニアリクルーターのポジションであれば、最大1000万円近くの報酬テーブルを用意しており、専門性を深く追求すればするほど給与が上がる給与テーブル構造にしています。
優秀な人事は、組織成長のモメンタムを作れるので。

次回のnoteでは、oViceの人事チームのMVVをリリースできればと思っています〜!

また、oViceのHRのポジション沢山空いているので、是非、ご応募いただけたら幸いです!!!!

🔻ご興味のある方は以下よりご応募ください!🔻

🔻採用イベント/社外向けイベントも開催中です!
当日参加も可能ですので、ご都合が合う日程がございましたらぜひお気軽にお越しください!

直近開催予定の採用イベント一覧はこちら(connpassのページへと遷移します)

🔻Meetyもお待ちしてます!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?