Vol.15 w-upの観点から見た静的ストレッチング
皆さんこんにちは。
コロナウイルスによる県をまたいだ移動も解禁(?)されスポーツ現場に復帰する人も増えてきたかと思います。
準備運動という言葉が精通しているように、スポーツをする前にストレッチをする人は多いのではないでしょうか。
ストレッチには大きく分けて2種類あります。
○静的ストレッチ
長座の状態から前屈したりする一般的にストレッチと言われるようなものが静的ストレッチです。
運動前にはあまり良くないという事を聞いたことがある人もいるかもしれません。今回はそこについてある実験を用いてみてみたいと思います。
あまり良くないと言われながらも、ほとんどのアスリートが実践していることも事実かと思います。
○動的ストレッチ
ブラジル体操やラジオ体操が代表例だと思います。
身体を動かしながら筋肉を伸ばすだけでなく、筋温を上げることにも効果的で、筋温が上がると筋発揮能力が上がりきらないよりも高いです。(これに関してはまた他の論文で詳しく書きたいと思います。)
個人的な悪い点としては音が立つことと、意外と疲れる事だと思います。手軽さはないですね。
参考論文
○先行研究及び目的
ストレッチの効果として、関節可動域の改善,筋萎縮の抑制,筋 肥大,血液循環の促進,障害予防,筋疲労の回復,疼痛 緩和,バランス能力向上というものが調べられています。
静的ストレッチを60秒以上続けると筋パワーを低下させるという報告もされています。
30秒以下の筋肉伸長に関しては更なる研究が必要だとされています。
正直な話、静的ストレッチを60秒もアップで継続する人はなかなかいないと思いますし、30秒もする人もなかなかいないと思います。長くて10秒くらいではないでしょうか。
そこでこの研究では伸張時間に着目し,臨床場面で実際によく 用いられている短時間の伸張時間を設定し,静的ストレッチングにおける伸張時間の相違が柔軟性および筋出力に及ぼす影響について検討することを目的としました。
○実験内容
利き足を対象足として、
柔軟性はSLR角度テスト、筋出力は膝屈曲・伸展テストを行いました。
SLRテスト
→ もともと坐骨神経痛か股関節痛かを判断するテストで、仰向けになった状態から足を持ち上げています。この時の体幹部と大転子をむすんた角度をSLR角度としました。
https://youtu.be/DjG-F3xqSGs
https://www.dr-8.com/careermagazine/dictionary/3-f046/
ストレッチ① 大腿四頭筋のストレッチ
ストレッチ② ハムストリングスのストレッチ
この2つのストレッチを
30秒×3セットまたは6秒×3セットのそれぞれで行いました。インターバルは10秒としました。
1日ごとに時間を変えて2日間の実験とし、各ストレッチ前後にSLR角度と筋出力を測定しました。
筋出力に関してはBIODEX SYSTEMで測定しました。
等速性筋力は、低速度 (60 deg/sec)・高速度(300 deg/sec)で測定し、
等尺性筋力は膝関節60°で5秒間の膝伸展、屈曲の力を測定しました。
BIODEX SYSTEMはこのような感じで測定したと思われます↓
○結果
・SLR角度
ここでよく実験結果で出るp値について触れておきます。簡単に言えば偶然に起こったかそうでないかという値です。(あってなかったらご指摘ください)
一般的にp値は5%以下(p<0.05)が信憑性があるデータとされ有意性があると言われます。
p=0.05だったら、100人やったら95人はそういう値を示しますよってことです。
今回は30秒群で有意な差が出たとされます。
平均値と標準偏差で示されているので正直わかりにくいですよね。他の人が著しく柔らかくなったりはたまた他の人が逆に硬くなったり変わらなかったりだとこういう平均値や標準偏差で示されないデータになりますよね。
・筋出力の変化
有意な値としては、p<0.05の値を選んでいくと
6秒群の低速度の屈曲伸展、(どちらも有意な向上)
30秒群の等尺性屈曲、低速.高速の屈曲
(有意な低下) (有意な低下)
この結果から、6秒間の短時間のストレッチは筋出力を向上させ、30秒のストレッチは筋出力を低下させるとなります。
○考察
30秒ストレッチ群は関節可動域(ROM)を有意に増加させる。6秒ストレッチ群は有意な変化はない。
先行研究の中でも、可動域を広げる静的ストレッチだとすると10秒以上の運動ではないと効果が出にくいという研究も出されているようです。
6秒ストレッチ群は、筋出力を有意に増加させる。
30秒ストレッチ群は、筋出力を有意に低下させる。
○静的ストレッチはどうなの?
30秒間の静的ストレッチでは可動域は増加させるが、筋力は低下する。
よってあまりw-up向けとは言えないかもしれないです。これはやはり一般的に言われるようなものですからね。
しかし全てが悪かと言われたらそうでもなく、やはり静的ストレッチはクールダウンで有効なのではないかというまとめをこの論文内でもしています。
大きな要因としては筋紡錘内での神経の作用です。
簡単に言うと筋肉を少し長めに伸ばすことで、筋肉はリラックス状態になるということです。
リラックス状態→柔らかいが強くない
というようなイメージはみなさん持ちやすいと思います。筋肉の中の神経もそのような回路になってしまうため、w-upにはあまり向かないということです。
少し痛いくらいの筋肉の伸張動作を継続して上げることで痛みの閾値を上げる事が柔軟性の向上になるということも述べています。
静的ストレッチはクールダウン時や普段の生活の時にすこし痛いくらいのところでやや長めに行うのが良さそうですね。
身体を柔らかくしたい!関節可動域を広げたい!
という人は静的ストレッチを長めにする事が効果的です。僕の意見としてはただ可動域が広がってもパフォーマンスに繋がらず、可動性を上げる事がさらに必要になると思いますが、それについては後々書いていこうと思います。
股関節が柔らかいだけでなく、股関節が動かせる
という事です。
自粛期間もだんだん緩和ムードになっている中、スポーツライフも取り戻されつつあります。
皆さんも有効なw-upを行って怪我なく再スタートしてください!!
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