大ヒットするK-POPの裏で“作品を横取り”されるゴーストライターたち【クーリエ・ジャポンからの抜粋-Vol.68】
先日、韓国のテレビ局SBSで放送されている番組『それが知りたい』が、K-POPの楽曲制作とゴーストライターをめぐる複数の問題について調査した。それによると、学生を含む他人の作品を自分の創作物と詐称し、利益を受け取っている作詞家や作曲家がいるということだ。
『それが知りたい』の取材を受けた業界関係者の告白によれば、プロデューサーやA&R(アーティスト・アンド・レパートリーの略。音楽レーベルでアーティストの発掘や育成、またアーティストに適した楽曲の発掘や制作を担当)の幹部が、他人の作詞・作曲した楽曲を自分のものと偽り、著作権クレジットや印税を手にしていたという。
学生の作品を教授が横取り
韓国の音楽業界では、トップアイドルグループの歌うK-POPソングや、韓流ドラマのサウンドトラックに収録されたバラードが、莫大な利益をもたらしている。
楽曲の使用料は一般的に、作曲家や作詞家の仕事量に応じて分配される。今回報じられたケースでは、一部の作詞家・作曲家の名前がクレジットから排除されたり、彼らに相応の報酬が与えられていなかったという。
楽曲制作を学校で学び、作品を芸能事務所やレーベルに提出している若いソングライターたちは、大ヒットしたK-POP作品を手掛けたにもかかわらず、正当な報酬を得られていないとされ、代表的な被害者となっている。
大学で音楽のカリキュラムを履修する学生の作品は、教授が自分のものと詐称して、芸能事務所に提供しているという。SBSの番組に登場したゴーストライターも、自分の仕事に見合ったクレジットがなされていないことを明かした。
黒人のソングライターに対する不当な扱い
この問題は、韓国の音楽産業全体に蔓延しているとされる。
『それが知りたい』はメディアや社会にまつわる問題を扱う調査番組で、これまでも児童虐待やエンターテインメント業界の状況に対して問題提起をおこない、人々の認識を高めてきた。
K-POP業界におけるクレジットの不適切表記問題を白日のもとに晒したのは、この番組の調査が初めてではない。
グラミー賞を受賞したソングライターのティファニー・レッドは昨年、ソーシャルメディアでSMエンターテインメントの報酬の低さや、特に黒人のソングライターを不当に利用していることを訴え、他のソングライターたちもそれに同調した。
ソングライターのクレジットや印税が他所に流れ、不当な処遇を受けていることに怒りを抱いているのは、彼女だけではない。
3月には、近年の大ヒット曲をいくつも手掛けてきたソングライターたちが「The Pact」と呼ばれるグループを立ち上げ、公開書簡を発表した。
同グループは書簡のなかで、その使命をこう記している。
「楽曲に携わったすべてのソングライターにとって、正当な方法によって相応かつ有意義な取引がなされたのでなければ、歌詞やメロディーの創作、アレンジ、その他楽曲制作への貢献をしていない者に、出版や楽曲制作のクレジットを与えない」
イベント参加はこちらから。
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https://peatix.com/group/7228383
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