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若返りたければ、泳ぎなさい──脳を活性化させる究極の有酸素運動【クーリエ・ジャポンからの抜粋-Vol.129】

ある研究によれば、水泳には独特の、脳の活性効果があるかもしれないという。

定期的に泳ぐことで、記憶・認知機能・免疫反応・気分の面で改善が見られることが報告されているのだ。水泳は、ストレスで受けたダメージを修復し、脳内の新たな神経連絡を作り出すことにも役立っているかもしれない。

脳細胞が再生し、神経連絡が強固に

現在は哺乳類でも魚類でも、有酸素運動が神経組織の発生に寄与し、神経細胞やその損傷を修復するのに重要な役割を果たす傾向があるという明確なエビデンスがある。

研究によれば、運動に反応して生じるこうした変化の現れ方の一つに、「脳由来神経栄養因子」と呼ばれる蛋白質の増加に由来するものがある。この蛋白質が刺激する脳神経の可塑性、つまり脳が変わる力は、学習や記憶など認知機能を向上させることがわかっている。

また、有酸素運動は「神経伝達物質」と呼ばれる特定の化学伝達物質の放出も促進する。この物質の一つがセロトニンで、これが増加すると気持ちの落ち込みや不安が軽減され、気分もあがることがわかっている。

水泳の何が特別なの?

水泳の何が良いのかは、研究者たちにもまだわかっていない。とはいえ、徐々にその秘密が明らかになりつつある。

水泳が脳にどう影響するのか把握するための研究は、大半がラットを用いたものだ。ラットが良い実験モデルなのは、遺伝的・解剖学的にヒトと似ているからである。

あるラットでの研究で示されたのは、水泳が脳内回路を刺激し、それが海馬の炎症を抑制してアポトーシス(細胞死)を阻害する、というものだ。この研究はまた、水泳が神経細胞の生存を後押しし、加齢による認知機能への悪影響を低減するのに役立つことも示した。

別の研究では、ヤングアダルト世代を対象に、陸上競技をやる人と水泳をやる人の認知力を比較した。水に浸かること自体で違いは生じないが、20分の適度な強度で平泳ぎをしてもらうと、どちらの集団でも認知機能が向上したことがわかった。

子供の頭も良くなるかも

水泳は、子供の学習能力向上にも効果があるようだ。

別の研究グループは最近、身体的活動と子供たちの新たな語彙獲得方法との繋がりに着目した。研究者は6〜12歳の子供たちに、なじみのない物体の名前を教えた。次に、お絵かき(静的活動)、水泳(有酸素活動)、クロスフィットのような運動(無酸素運動)の3つをしてもらい、そのあとで先ほどの言葉をどれだけ正確に覚えているかテストした。

すると、お絵かきやクロスフィットのあとよりも、水泳後のほうが正確さにおいてずっと上回っていることが判明した。お絵かきとクロスフィットは同レベルだった。

これは、無酸素運動と比べて水泳には認知機能上の利点があることを明確に示している。ただし、ここでは水泳とほかの有酸素運動との比較はされていない。この研究結果は、たとえ短時間でも、水泳には若者の脳の発達に高い有益性があると示しているのだ。

何百年にもわたって、人々は「若返りの泉」を探し続けてきた。我々にとって可能な一番の近道が、水泳なのかもしれない。

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