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コーチの社会分析 Note【目指す「公務員体質の真逆」とは?・間違いだらけのキャリア教育を解説するシリーズ④】

ジョンはこれらの誤解の生じる理由として、正解となる目的がどこかに隠れていて、探すことで見つかるように考えているとし、その考え方(マインドセット)そのものが誤りと明確に触れています。そして、私達はやること全てに「目的」を与えることが出来る・としていて、僕はこの箇所を「目的を言語化することが出来る」とも読み替えています。

前回は私たちが無意識に「目的」を探して(与えられる、見つける)しまいますが、本当は自ら「目的」をつくる。それが重要なマインドセット(考え方)であると触れました。そして今回。

☆支援者の在り方

アダム・グラントの投稿より

まずはここからで、ざっくり訳すと、

悪いメンターは、あなたを自分のブランド材料として見ている。彼らはあなたの成功を奪い取るだけだ。

良いメンターは、あなたに自分自身の若いころを投影している。彼らはあなたが自分同様のステップを辿ることを助けてくれるだろう。

本当に優れたメンターは、あなたがよりよいあなたになる可能性、秘めた才能を見つめてくれる。彼らは、あなたが未来へと辿る、新たな道を創る支援をしてくれる。

という感じでしょうか。私たちがもし、自分以外の誰かのキャリアを支援しようとするのであれば、この優れたメンターのような在り方が求められることはいうまでもありません。
 
ここまで触れてきたように、社内の出世に関して指導をしたり、慣習のようなやり方、考え方を踏襲し、正解であるかのように伝えていくことは、研究からも、むしろ失敗するケースが圧倒的になってしまうことでしょう。

大学の進路指導室では未だにGoogleやAmazonのような世界トップクラスの企業よりも、トヨタをはじめとする自動車産業や元国営企業といった日本だけの会社をランク上位とばかりに(個性とかは関係なし)奨める指導員がいるとも聞きます。

実際、日本でも著名なピョートルさんは著作の中で

【象徴的なのがNTTなど「三公社五現業」と言われた企業、そして東京電力や東京ガスなどのインフラ企業です。こうした企業は国が大きく関与する形で運営されてきた為、メンタリティも公務員に近い

として、いわゆる日本の人気企業は、企業努力がそれほど必要とされない調整型ビジネス(税金に近い強制力で利益を得る)であると指摘しています。そして、こうした調整型ビジネスの利益が電機メーカーなどに税金の再配分のように流れていく。こうした流れを個人的な感想としながらも

【江戸時代となんら変わっていません。お上が決め、それを各藩が動かす。今はそれが役人になり、地方自治体、天下り先が生き延びる(しかも短期的な目線しかない)ようにプランニングされています】

とも分析しています。つまり、これからのキャリアに求められるものが、こうした「公務員体質」とは真逆であることがわかります。

ですので、日本でこれからのキャリア支援をする人材というのは、とても希少性が求められるともいえるでしょう。つまり、こうした公務員体質とは真逆のキャリアを自ら切り開いている人こそ適任!になるからです。

当たり前ですが、今の日本の状況は、こうした江戸時代のような社会の仕組みでは成り立ちません。キャリアカウンセラー、キャリアコンサルタント、あるいは先の進路指導員の方自身。その方々の生き方、あり方が、公務員という言葉に象徴されるような変化を拒み、ステータスや他者に選択を依存するような生き方であれば、現在の日本では職としてミスマッチとなってしまう。その可能性がとても高いわけです。

☆で、キャリアって何?

そこで、改めてこの問いに向き合っていきましょう。

これまでの解説からも、子供達に限らない私たちに必要とされているキャリアであることに疑う余地はありません。そして、そのキャリアは、それぞれのライフスタイルによって、一人一人が異なる。それぞれにあったキャリアが形成されます。生涯雇用、生涯転職なしという時代を金科玉条にしてきた古き良き日本人からすると、まさに天地がひっくり返るような状態になるわけです。

ピョートルさんが「公務員」という言葉を使ったのもいわゆる比喩(メタファー)であって、公務員という職業を否定しているわけではありません。これらの総合的な表現として「公務員の反対」という言葉を選ばれた。そう考えると良さそうですね。
 
つまるところ「計画主義(失敗をしない文化)」ではなく「学習主義(失敗から学び修正し進んでいく)」であるとか「クローズドコミュニティ」ではなく「オープンコミュニティ」。他にも0から1を創る力、改善ではなく創造。過去の延長ではなく未来からの逆算、等々、様々なコピーがあるでしょう。

そこをきちんと自分自身の言葉で語れるかどうか。
そして、その言葉を実践できているかどうか。

この自分自身の言葉というところは大切であると考えています(正解のない時代ってそういうことですよね)。そして前者はキャリアを支援する者としての前提条件であり、後者はキャリアを支援するものとしての必要条件と言えるのではないでしょうか。

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