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コーチの社会分析 Note【繰り返されるオーバーユース。観光行政KPIの根本課題「数依存」②】

【「無謬性という病」が生み出す偽りの成功体験や自己正当化の思考、行動が生み出した結果ではないか・とも考えるわけです】
【民間が消耗し、国内や地域の経済が損耗し、民間(人)が撤退し、あとは野放図な場所だけが残される。自然であっても街であっても、この考え方からは、そんなGOALにしかたどり着けない。このたった一つの考え方が、今の危機的状況をつくってきた】

という前回はこちらから。

さて、前回の富士山オーバーユース現象にみる失敗政策から学ぶことは、

①失敗は実は予測されていたことが多い。
②その失敗は現場感覚のなさが引き起こす。
③現場感覚のなさは、ビジネス(金銭)感覚のなさから。

そして「ない」もの自己認識することがない
これらの根底に「*行政(官僚)の無謬性」という文化が指摘出来ます。

*この無謬性に関しては、上記令和4年の行政改革推進会議においても指摘され、具体的に「新たな政策にチャレンジしない」「政策が社会課題に十分に対応できていなくても、これまでは正しかったと安易に前例踏襲を続ける」「第三者からの政策への指摘に対して柔軟な姿勢や体制をとることができない」「縦割り意識のまま部分最適化に安住し、又は固執するなど、政策の見直し、改善を行わない」「消極的な姿勢に陥り、問題を先送りする」等ときっちり指摘されています。

☆失敗しないという最大の失敗

上記資料でもこれまでの政策の多くが

・政策実施後の見直しがあり得ることを前提に立案しない
・目標と実態の乖離を発見しても、原因分析を行わない
・政策手段の見直しを実際に行うことはできるだけ避けたい

という無謬性にもたらされた状態で実施されていることもまた指摘されています。屋久島での失敗、教訓を富士山でもまた繰り返す。ホント、公金をただ無駄にしているだけなのですが、これは東日本大震災の災害対応から復興事業に至るプロセス。その後の災害でも同じようなことが起こっていますし、その教訓を活かしきれていないことも、まだまだたくさんあったりするわけです。
 
この国の経済縮小があたかも人口減少だけでもたらされているかのような誤解もありますが、実際にはこうしたお金の循環に無駄が多すぎることの方が致命的なのではないか・・とは十分に考えられるでしょう。それは皆さんも感じ、なんとかしたいと思うことが多いのではないでしょうか。失敗をしないというあり方そのものが、失われた何十年という時間を生みだし、その最大の失敗を今も積み重ねているわけです。この「あり方」こそが、最大の課題とも言えるでしょう。

☆当事者の「質体験」が希薄であるということ

こうした観光行政に携わる人々の多くで、自身の観光体験が希薄であることは様々指摘されているところです。いわゆる教科書的な思い込みで、詰め込んで詰め込んでというスタンプラリーのような旅行。出会いや交流のない、疲れる為の旅行ばかりをしています。あるいはそんなこと(旅、観光)に興味がないという人も結構な割合でいたりします。

京都や富士山。あるいはディズニーランド、ユニバーサルスタジオのようなわかりやすい日本一、東洋一といった存在は、顧客を毎年一定数呼びこむことが出来ますが、これは大ブランドの力ならではです。

そうではないエリア。あるいは人口減少という内需が減っていく局面において、観光という産業は存在しえないでしょうか? となると、これはもちろん「否」というわけですね。

誰もが「東京、京都以外は失敗するからやめておけ」と言われた下諏訪のマスヤゲストハウスは今や国内を代表するゲストハウスの一つになっていますし、また、コロナ下もなんのそので躍進する熊本県・上天草エリアにおける瀬崎さん達の活躍は、地域(Local)ブランドのポテンシャルを証明したお手本のような挑戦と言えるでしょう。

つまり、安易に大ブランドになれば解決するだろうという考え方がそもそも誤りです。「世界遺産」になろうが「ジオパーク」になろうが、人が来ない状況をつくっている状態なら、人は来ない。お金を落とす導線がなければ、地域は稼げないまま変わらない・ということです。あのユニバーサルだってピンチの時はあったわけですしね。 

ですので、日本の観光行政は、本当に人の改革、あるいは入れ替えから行うような状況だといえます。マーケティングを学び、地域の力(Local ブランド)を引き出すためにDMOという仕組みを国が導入しても、結局はマーケティングを学ばない、旧来の成功体験に拘泥する(リスキリング出来ない)人々が給料の為にしがみつく。そんな状態では、ただただ失敗が繰り返されるだけです。

少なくとも、自腹でもこうしたきらりと光るゲストハウスに宿泊したり、変化し進歩するエリアを訪れて自らが体験をしたり。そんな自己投資が出来ないようでは、観光に携わる人物ではない。そう、きっぱりとお伝えしたく思うところ・・。

*というわけで、文字数が2000を超えてきましたのでまた次回。そこではメンタル視点からの考え方や具体にも触れていきます。

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