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伊那市ダブル選後【ファクト考察 観光と経済④「個性を磨く」】

今日は前回の終わり地域にとって示された「外的自己」の個性をより磨いていくこととは? の続きです。

☆ある職員さんの挑戦

2014年に僕がこの伊那市にやってきた頃、そんな未知の人間に積極的に絡んでくれた方々がいました。僕はそこに参加し、時間を共有させてもらっていたわけです。

そして、このメンバー達はこうした外の世界から来た僕の興味や価値観にも関心を示し、共に山に登ったり、共にあちこちの地域へ誰かや何かを訪ねにいくようになっていきました。

その中で商工会議所職員のKさんは、そんな中で「山」の持つ価値観と可能性に少なからぬインパクトを受けたようでした。

着ぐるみを山頂までかついでいってPR(笑)

画像は日本でも伊那市にしかない【ローメン】というご当地食を「山頂でつくって登山者の皆さんにふるまおう!」という自主企画。入笠山の頂上にソースとニンニクの香りを振りまいたわけです。

でまあ、そうしたら翌日から「お店に登山の人来たよ!」という報告がいくつかあったわけです。いわゆる試食したら本物食べたくなった、行ってみよう!となったわけです。

地域の飲食店を様々な形で支援していたKさんはこれまでにもいろんなイベントやPRもしてきていました。そのKさんがたった一時間にも満たない時間で生まれた初の体験と成果で感じたこと。その何かは、心をぐらッと動かさせる力があったようです。

そして、そこから生まれた想いや考え、仮説実証を積み重ね・・結果、Kさん自らの努力と様々な交渉を経て「南アルプス観光魅力創出プロジェクト」が正式に伊那商工会議所の企画として生まれていくことになったのです。

市議の皆さんが先日、その成果の一つでもある鹿嶺高原キャンプ場のウッドデッキなどを視察されたそうですが、もちろん、彼らがこの活動をこのプロセスから応援してくれていたわけではありません(むしろ、行政サイドには悪気なくパクリ企画で上書きするような活動をした失礼な方もいました)。

でも、僕としてはそれを些末と思えるくらい、自らの情熱でここまで創り上げたKさんのプロセスにこそ、価値の本質があると思っています。

☆体験は、文字通り「身体」を使わないとわからない

比べるのもというところはあるかもしれませんが、ユニバーサルスタジオをV字回復させたことで有名な(株)刀の森岡さんが神戸のグリーンピア三木を再生させた案件があります。

山しかないアクセスも最悪なこの物件を再生させるにあたって、森岡さんは狩猟免許を取得し、猟師と共に山を歩き、その体感からいくつものヒントを経て現在のネスタリゾート神戸が提供する大冒険テーマパークへと生まれ変わらせることが出来たといいます。

つまりKさんにとってもそうであったように、会議室の中にいるだけの人に自然を扱ったコンテンツを創ることはできませんし、その為にも自らが現場に赴くこと。本気で現場でやること。そこがとても大切なのです。

南アルプス観光魅力創出プロジェクトのスタートアップでも、鹿嶺高原から入笠山までの約32キロという行程を参加メンバーで踏破するところから始めています。うちに電話してきて、無料相談すればいいくらいの考え方(MINDSET)だと、いいもの、人に刺さるコンテンツとかは、最初から生まれようがないということです。

この点で反面教師的だったのがあの団体。その場しのぎのウソで共同代表だった他の二人から代表権を委譲させた当時市議のYさんは、とにかく押し売りがしたい。夜の街(=自分の店)に人を呼びたいとそればかりやってしまいました。アウトドアを楽しむ人々が何を大切にして、何を見ているかを体験すべきだという声にも耳を貸さず「忙しい」「昔の経験で十分」「BBQくらいしてる」等々やらない理由を並べ、とにかく目先のお金ばかり追いかけて。そして、ほとんどの人がこの団体からいなくなりました。

彼のような人にとっては、アウトドアを楽しむ人々と共によい体験、よい時間を過ごして対価を得ることに価値はなくて、アウトドアに来ている人々に「俺様の素晴らしい店を紹介してやるから金払え」という考え方ばかりに固執しているというわけです。まあ「俺こんなにすごいのになんでわかってもらえないんだ」みたいな承認欲求ですよね。

こういう考え方は「セリング(Selling)」。つまり押し売りの手法であって、マーケティングとは思想もやり方もまったく異なるものです。そして、どちらが持続的なよいパートナーを育むかということは、言わずもがなというやつでしょう。

そして残念ながら「爆買い」という言葉がみられるように、観光は「セリング」の為のツールだと思い込んでいる、勘違いしている会議室の人々がとても多いのです。

☆つまり地域の個性を磨くとは?

これまでに触れてきたように、その第一歩目は「自分と自分達(地域)を知る」ということです。そして、この一歩目を私たちはよく間違えているということです。

大事なことは、まず数字(ファクト)。個人の思い込みではない「事実」という共通認識でしたね。そのうえで、私たちの日常をよりよくしていく日々を仲間たちと共に過ごし、そのコミュニティが多くの人に開かれているということが大切です。

そして第二歩目は「受容と行動」です。様々な人が来て、あるいは成長した仲間の誰かに触れることで、私たちはまた変化し、成長をする機会を得ます。その異なる価値観や視点を受容し、そこに現れた機会を逃さずに行動する。そこが運命の分かれ道ということです。

そしてこの行動がKさんのように「主体的」であることは絶対条件です。マニュアル的に義務で行動させてもいい結果にはなりませんよ。

そして三つ目。今日は「考え方」をお伝えして終わりにしようと思います。生まれながらの英雄がいないように、最初から「世界的観光地」としてこの世に生み出された場所はありません。一隅を照らすという言葉がありますが、

全ての観光地も小さな一歩、最初にその価値を見つけた、たった一人から始まっている

わけです。大きな観光地にはならなくとも、誰かに愛され、小さくとも持続的で誰かを幸せにする場所や人の集まりがあるなら、そこに「光を観る」価値があり、小さな人の関係性が育まれていく。僕はまずそこと考えます。

そして、その生まれた小さな光が持続していくからこそ、他の小さな光と重なったり、時代にあった何かが起こったりというタイミングで、大きく輝く機会もまた生まれてくると考えています。それがイノベーションです。

うちの社名「星巡る旅人」とは、こうした小さな星を大事に育み、また巡って、つないで、星座のような新しい輝きの価値を生み出していくという願いが込められています。その為に僕は「人を育む」スキルを磨いて、この小さな星たちを世の中に増やそうとしているのです。

パートナーとして一緒にやりたい、やれるという方は、ぜひお気軽にご連絡ください☺

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