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コーチの社会分析 Note【間違いだらけのキャリア教育を解説するシリーズ①】

今年は長野県内で探求学習、総合学習、キャリア教育等々、様々な呼び方で言われているカテゴリーに携わる機会が増えてきました。

例えば【国家資格キャリアコンサルタント】という資格は「もっとも使えない国家資格」等と世間、巷間で言われたりもしていますが、この「キャリア」を「教育」するとは一体どんなことなのでしょうか?

上記のキャリアコンサルタントでもここを自分の言葉で説明できる人は少ないように感じています。最近は流行語のようになり、なんとなく使われているこのキャリア教育というものを、社会という視点から考えてみたいと思います。

☆多くの政策決定者自身が未だにわかっていない疑惑

*キャリア教育とは『一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、キャリア発達を促す教育』(平成23年1月中央教育審議会「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について(答申)」

*近年、子供たちの生きる力を育成する観点から、学校での学びと社会との関連性を教え、学習意欲を向上させるとともに、学習習慣を確立させる「キャリア教育」が重要視されています。経済産業省では、次世代を担う人材育成に産学協働で取り組むため、キャリア教育を推進しています。(経済産業省)

この二つの文章を読んで「キャリア教育ってこういうことだったのか!」と腹落ちできる人は、まあいないでしょう。はい。日本語として破綻していると言えるくらい、言語が要約されていない。読んだ人がわかるレベルにおとしこまれていないからです。
 
これは、この国の悪しき公務員文化で、国民がわかりやすくするという仕事を放棄して、なぜか自分達にしかわからない無責任で抽象的な言葉を使い、理解しない相手が悪いと自己正当化し、最後には「それが行政(公務員)」と開き直る文化になっています。
 
ある意味、キャリア教育の悪いお手本のようなもので、このマインドセットこそが、まず最初にあらためるべきものではないかと思います。

ですので、これらを分析、思考しようとすれば、自主努力をして原点、原典にあたる必要があるわけですが、文部科学省の資料から一文を抜粋してみましょう。

【キャリア教育の必要性や意義の理解は学校教育の中で高まってきており実際の成果も徐々に上がっている。しかしながら「新しい教育活動を指すものではない」としてきたことにより、従来の教育活動のままでよいと誤解されたり「体験活動が重要」という側面のみをとらえて職場体験活動の実施をもってキャリア教育を行ったものとみなしたりする傾向が指摘されるなど、一人一人の教員の受け止め方や実践の内容・水準にはばらつきのあることも課題としてうかがえる。このような状況の背景には、キャリア教育のとらえ方が変化してきた経緯が十分に整理されてこなかったことも一因となっていると考えられる。このため今後、上述のようなキャリア教育の本来の理念に立ち返った理解を共有していくことが重要である。(中央教育審議会「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について(答申)」(平成 23 年1月 31 日)

☆体験のない人々が唱える根本矛盾

東日本大震災という激変。そしてポストコロナと言われるこれからの世界的変化。ICT やAIの普及に伴う従来の仕事の消滅や変質は、等しく万人に及ぶのは誰しも聞いたことがあるでしょう。ましてや人口減少が進むこの日本では、これらの科学技術を積極的に取り入れ、生産性を上昇させ、効率化に取り組むことはむしろ不可欠でした。
 
キャリア教育にはこうした背景があることは言うまでもありません。
 
しかし、実際にその進展は世界的に見ても致命傷になりかねないほど遅れており「Society5.0」「第 4 次産業革命」(経済産業省2017)という政府のスローガン。新設されたデジタル庁もその効力に疑問符が付くような実際なわけです。

上図はよく用いられるものですが、日本では終身雇用というカルチャーやそれを前提とした公務員制度に従事する人の割合が多く、大人になってから学びの機会を得ようとモチベートされる環境に乏しいと言えます。また一方で初期教育においてオーバースペックになってしまい、さらにそれを社会が活用できない状態。「学校で学んだことは役に立たない」が続いており、こうした環境がより学び直しの妨げになってもいたりします。
 
つまり、公務員や社員として勤め上げて引退し、時に天下れば、人生学ばなくていい!という(逃げ切り的)考え方が文化のようになっている。そんな仮説等は様々容易に想像できるわけです。

この点で新たな学びや世界観、価値観、未来像を身に着けることに乏しいエリート(自称)公務員がこれら「正論」を言ったとしても、その言葉に人を動かす熱量が伴わないことが殆どなのはいうまでもないでしょう。日本に起業家を増やしたいなら、補助金を作るのではなく、エリートを自認する自分からまず辞表をだしてやってみたらいい。そんな人が何人いますか?の世界。これは親や学校の先生などでも同じこと。国民や子供たちはちゃんと見ていて、まさに「率先躬行」の言葉通りなんですね。

*というわけで次回。本題の「アンラーン」に続きます。予習したい方はこちらをどうぞ!


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