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「脱力」ってなんぞや
合気道を始めて12年目。
稽古会をして合気道の面白さを伝えていると必ず出てくる言葉が
「脱力」
ただ「脱力」の定義は何なのかが明確に分からないとどうしようもないですよね。
辞書的な意味では
「からだから力が抜けて、ぐったりしてしまうこと。また、意欲・気力が衰えること。気持ちの張りがなくなること(参考:goo辞書)
ぐてたまのようなイメージですね。
私の中で脱力の定義はまた異なっていて。
そこには肉体的な意味合いと、精神的な意味合いがあります。
ここでは「身体的な話」かつ「合気道」の文脈。
そもそも「合気道」で「力を抜け」と言われる際に指し示すものは何か。
それは「筋力」になります。
「筋力」とは「筋肉の収縮」によって生じるエネルギーのこと。
筋力を入れすぎるとエネルギーの方向は内側へと向かっていきます。
拳をぎゅっと握ると明らかにエネルギーは内側ですよね。
攻撃される時に防御を固める、という目的ならば筋力を総動員することは理にかなっているでしょう。
ただ「合気道」で相手に技をかけるなら、「エネルギー」を相手に伝える必要があります。
つまりエネルギーの方向性は「外」。
しかし筋力を使いすぎるとエネルギーは内側へ向かうため、相手へ上手く伝わらず技がかからない、ということになってしまいます。
ただ「筋力」を一切使わないのなら立つこともできない。
だから「脱力」とは「相手にエネルギーを伝えるために必要な分だけの筋力を使うこと」と言えるのではないでしょうか。
「どの部位」を使い
「どれくらいのエネルギー」を生み
それを「どの方向」に使うのか
を研究していくことが型稽古になってくるのでしょう。
かなり繊細な身体操作になってきます。
例えば合気道でよくある相手に腕を持たれた時。
「重心を移動させたエネルギー」を脱力した「背中、肩、腕の筋肉」を通して、持たれた腕から相手に伝えることで崩す
ということ。
この時に無用な「力み」があると「足からのエネルギー」がそこで止まってしまう、詰まってしまうとも言ってもいい。
そうすると「他の部位」でエネルギーを生み出すしかありません。
その結果、「腕力」同士の争いになり、体格の良い方、力の強い方が勝つことになります。
言い方を変えればまともな勝負をしないとも。
相手が「腕力」なら、こっちは「地面を蹴る足の力」と「体重の力」と「体幹の力」
だから力の強い人が相手でも対抗できる、ということです。
まあ他にも要素はめちゃくちゃありますが。
こちらの力の方向性を分からないようにして対応させないようにしたり
殺気を極限に薄くして反応できないようにしたり
などなど。
そういったものを総動員するから力の弱い人でも強い人に対応できるということだと考えています。
いやぁ本当に奥が深い。
ただこれを研究して追求するのがまたオモロいのですよ。
30歳になっても飽きることのない、発見の多い世界ですな。
ではでは。
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