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脳卒中

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2022年11月の記事一覧

手を膝のお皿に置くだけでも十分なストレッチ

手を膝のお皿に置くだけでも十分なストレッチ

麻痺側手指は常に曲がっており、伸ばす時間が少ない。

手で膝のお皿を包み込むように置くだけで手指は伸ばされ、十分なストレッチ効果が得られる。

手掌面は脳と豊富につながっている場所であり、ここが常に何かに触れ、能動的になっていることは麻痺の回復に非常に重要。

座っている状態の際は、常に麻痺側の手掌が開き、膝に乗っている状態を目指していこう。

お祈りポーズでのストレッチ

お祈りポーズでのストレッチ

手のひらをほぐす時は中心部からほぐし、徐々に指先へと移行させていく。

可能な限り両手をぴったり合わせ、両側に倒していくだけでも十分なストレッチになる。

テーブル上に肘を置いて実施してもよい。

手関節伸筋群のストレッチ

手関節伸筋群のストレッチ

手関節を掌屈させ、肘を軸にしながら内転、内旋させ肘を伸展させていく。

麻痺側手の甲が正面を向くように股関節近くまでおろしていく。

手関節が硬くなった場合、そこを伸ばすことも有効だが、逆方向に緩んだ状態にして、そこから動きを入れていくことで緊張が改善する場面も多い。

手関節のストレッチはMP関節から

手関節の背屈が例えば15°に制限された場合、その周囲の筋肉は約25%しか使用できず、残りは萎縮してしまうというデータもある。

手関節の拘縮はそれだけ早期から予防していく必要がある。

手関節をストレッチする場合は、非麻痺側母指をMP関節に沿わせるように当て、伸展させていく。

手指、手関節、肘関節の順に伸展させていく。

手関節の痙性や高緊張は速度の影響が大きい。速く動かしすぎると反射的に筋の収

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前腕の回旋ストレッチ

前腕の回旋ストレッチ

脳卒中患者で最も拘縮しやすいのは手関節。

胸の前で麻痺側手は握り、非麻痺側手掌で包み込む。

そのまま肘屈曲させ、上方に向ける。

前腕は回内させ、肘を中心に方外旋、前腕回外方向へ、時計の針のように回しながらストレッチしていく。

肘伸展位まで伸ばしていく。

こて返し運動

こて返し運動

胸の前で、非麻痺側で麻痺側手関節部を持ち、外側(肩外旋方向)に移動させ、戻していく。

慣れてきたら、非麻痺側のサポート無しで外側(肩外旋方向)に移動させ、肘伸展動作とのコンビネーションも取り入れる。

これは合気道から発想された運動で、少ない負荷で肩、肘、手関節の柔軟性を向上させることができる。

難易度は低いが、多くの関節を一度に伸ばすことができる。

ハンドオーバー運動

ハンドオーバー運動

固まっている状態で運動を繰り返しても、その範囲内での運動しか行えない。ストレッチなどにより運動や動作の前に筋肉などの軟部組織の硬さを軽減しておくことが重要。

脳卒中患者の多くは手関節の強い屈曲を伴う。ハンドオーバー運動では肩・
肘・手関節を同時に粗大的に伸ばしていく。

非麻痺側で麻痺側の小指球付近を把持し、母指が下、小指が上になるように、肘を伸展させながら突き出していく。

肘伸展状態で回外さ

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上肢機能回復のために大切なこと

上肢機能回復のために大切なこと

上肢の運動を行うことは、それに伴う体幹や下肢の姿勢制御の練習にも繋がり、全身の機能回復に繋がるため、早期から取り組む必要がある。

また、脳と手をつなぐ神経回路は豊富であるため、手の運動を行うことが脳の活性化に繋がる。

逆に手の運動を行わないことが、脳と麻痺側の経路を遮断する要因となる。これを学習性の不使用と言う。

古典的に麻痺側上肢の回復は、体幹から近い、肩、肘、手、手指の順番で回復が進む傾

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ボールを使った上肢機能練習

ボールを使った上肢機能練習

姿勢を正して椅子に座る。

目の前に机とボールを置き、麻痺側上肢の掌でボールを感じながら転がしていく。

無理に押し付けてしまうと感じ取れる感覚の幅が狭まってしまうので、自分の感じ取れる程度の強さで行う。

慣れてきたら、前後左右様々な方向に動かしていく。

さらに慣れてきたら、閉眼し、視覚情報を遮断する。

脳卒中後の転倒リスク

脳卒中後の転倒リスク

①バイオテクニカル要因
関節、筋肉の硬さ

筋力の弱さ

バランスをとれる範囲の狭さ

②運動戦略
身体が柔軟にバランスをとれない

ステップが出にくい・出すぎる

運動課題に合わせた最適な姿勢がとれない

③感覚戦略
視覚に依存しすぎる

身体の感覚情報がわかりにくい

頭の位置がわかりにくい・首を硬くとめる

④空間定位
各身体の位置がわかりにくい

重力に対してうまく体を起こせない

床面の

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広背筋のストレッチ

広背筋のストレッチ

座位で目の前に高さの高いテーブルを置き、頬杖をつくようにして座る。

骨盤の前後傾、肩甲骨の内外転、肩の内外旋を分節的に行っていく。

広背筋が伸長されることで上衣更衣が楽になったり、歩行時の腕の振りがしやすくなる。

腹斜筋強化の運動

腹斜筋強化の運動

脳卒中患者は腹斜筋の活動が落ちやすい

腹斜筋の活動があれば骨盤が正しい位置にセットされ、歩行しやすくなる。

骨盤、体幹を正中位に保ち、脚を組んで体重移動をしていく。

移動側の腹斜筋遠心性収縮、組んだ側の求心性収縮が得られる。

梨状筋ストレッチ

梨状筋ストレッチ

脚を組む(その際に組む方の脚側の骨盤、肩甲帯が後退しないように体幹を正中位に保ったまま足を組む)

組んだ方の脚を内外旋させることで梨状筋のストレッチとなる。

脚を組みすぎると腹斜筋の活動が落ちてしまうため、注意が必要である。

交互足踏み運動

交互足踏み運動

立位での交互足踏み運動はより高度なバランスや体幹筋の強化が可能。

股関節を深く曲げると股関節や体幹筋の深部筋が強化できる。

この運動が可能になることで歩幅が大きくなり、歩行効率も上がる。

応用編として、大きめのボールを把持し、腕を伸ばしながら行うと、上肢筋や体幹がより鍛えられる。