機械仕掛けのコウノトリ 21
第1話
前話
「今なら、お二人のDNAをお調べして相性の良いギフトをお調べすることができますがいかがしますか?」
彼女たちはこの遺伝子操作や才能投与を『ギフト』と呼んでいた。
それは妊婦が食事に気を使うことと同じように、胎教をするように。親が子供のためにしてあげる教育と同じなのだと言う。
超自然で起こる命の誕生という奇跡に人工的な介入をするという事実は、やはり、私たちにとっては禁忌を犯す後ろめたさを助長する。
しかし、親が子供のために送れる「贈り物」であるという認識は禁忌の黒い塊を湯に浸して汚れを落とし、隠れた綺麗な真珠を取り出すように美しく、それがまるで親であるならば、当然であるようにさえ思わせる。
「せっかくだから、見てもらっても良いんじゃないか?」
夫は私の顔をしっかりと見た。笑顔の瞳は閉じられて、柔らかく目尻が下がっている。
「そうね…せっかくだしやってもらいましょう」
私がそう言うと相田さんは契約書を作成するような個人ブースを案内し、私たちを椅子に座らせる。
そして、口の中を綿棒で擦り、付着物をそれぞれケースの中に入れると席を立った。
次話
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