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機械仕掛けのコウノトリ 44

第1話

前話

 そのまま和人の部屋に行く。いつもならこの時点でガタガタとうるさく聞こえるはずの部屋の音が聞こえてはこない。

それは良い子にしていれば一緒に居られると思う犬の無邪気な足掻きのようで、私はその健気さが隠した痛みを呼び起こした。

ドアを開けて中に入ると机の前に座った和人は審判を待つ信者のようにこちらを向いた。

「和人も…一緒に下に降りるよ」

私の口は今、感情とは離れた玄関先の異物によって動かされている。駄々をこねるわけでもなく和人は椅子から降りてバッグを背負う。階段を下りながら前の二人の子供の姿が目に入る。

玄関先で二人を預けると係員は二人の手を取り、乗ってきた車の後部座席に乗せる。和人は車の窓から抜け出ようとするように懸命に手を振り、私を見つめていた。宏人もじっと私のことを見ていた。

ついに車が動き出し、二人が私を置き去りにしていく。

体が引きちぎられるような虚しさを堪えるために、私は親という最後の命にすがった。

車の姿が完全に見えなくなった時、神経が切れたかのように体が落ちた。習慣に従い足は自動で家の中に戻ると電池が切れたかのように崩れ落ちる。

何もこの体の中には残っていないはずなのに、生ぬるい涙が顔に張り付くように流れて、それは限りを知ることはなかった。

次話

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