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一流になるために必要なこと

 一流になるためには,ただ闇雲に練習するのではなく,

「目的を定め,その目的を達成するために計画し,

方法を考え,意図的計画的練習を10年・1万時間持続しなければならない」

意図的計画的練習とは,”目的を達成するための明確な意図を持って,その目的を達成するために入念に計画された練習”です.

 質の高い練習つまり意図的計画的練習を行うために効果的な学習方法として自己調整学習がある.ここでは,自己調整学習について述べていこう.

自己調整学習

 自己調整学習とは,学習過程のすべてに学習者自身が能動的にかかわり,自己の認知活動や行動をコントロールしながら,効果的に学習目標を達成していこうとする学習スタイルのことです.

(様々な立場や考え方から,多くの理論やモデルがありますが,ここではその中のいくつかを紹介したいと思います.)

 自己調整学習者は,メタ認知,動機づけ,行動の3つの要素において能動的に関与しており,この3つ要素が相互に機能することによって効果的な学習がなされる.とされています.

では,3つの要素をそれぞれ見ていきましょう

メタ認知

学習目標を設定し,自己をモニターしながら認知活動を行ない,成果・結果を自己評価し,学習過程をつねに自覚しつつ主体的なかかわりを持とうとすす要素.

(メタ認知とは;"客観的な自分" ”もうひとりの自分”などのように,自分の思考や行動そのものを対象化して認識することにより,自分自身の認知行動をさらに認知すること.)

動機づけ

学習意欲・モチベーションを高く保ち,学習に対する努力や忍耐を維持していこうとする要素.

行動

自身の学習に適した環境を選択することや,学習に必要な情報や助けを求めるなどの具体的な行動を行うことで目標を達成しようとする要素.

さらに,これらの要素で構成される自己調整学習の望ましい進み方を説明するモデルに自己成就サイクルがあります.

自己成就サイクル

自己成就サイクルは,予見,遂行コントロール,自己省察の3過程からなり,これらの過程を繰り返し循環し学習することで効果的な自己調整が行なわれるとされている.

 各過程を各々見ていきましょう.

予見

 学習課題をあらかじめ分析し,学習目標を設定し学習方略(方法)を計画する段階.この段階では,自己動機づけ(モチベーション)の過程が含まれており,自己効力感(;self-efficacy:自分には目標を達成できる能力があると思うこと),結果予期,目標への志向性,興味などを高めることによって自分を学習目標に方向づける過程.

遂行コントロール

 課題を遂行している間に同時に進行する認知活動であり,課題をどのように進めていくかを自分で確認する,集中力を向上させる,学習を妨げる状況を排除し学習に適した環境を構成する(注意の焦点化),学習課題の重要な部分を見つけて再構成する(課題方略)といった活動を含む自己制御の過程.さらに,自己の学習の遂行状況を見直し,使用した方略が有益だったかを判断する自己観察の過程.

自己省察

 学習目標や自身が立てた計画と学習結果や行ってきた過程を比較し,自身の達成度・進捗状況を評価し,その評価に基づいて成功・失敗の原因を見つける過程.

以上が自己調整学習の3つの過程,であり,

 モチベーションを維持し,明確な目標を持ち,そも目的を達成するために計画をし,過程を常にモニターし,出てきた結果を目的や計画と照らし合わせながら評価し,また新たな目標をたて,繰り返し練習・学習していくことが重要!

つまり,一流になるためには,

 10年1万時間の質の高い練習つまり意図的計画的練習が必要であり,意図的計画的練習を効果的に継続していくためには,自己調整学習が効果的である.

 さらにそれぞれの過程では,学習を効果的に進行させるための種々の方略(学習方略learning strategy)が使用され,基本的な学習方略としては,自己評価,知識の体制化と変換,目標設定とプランニング,情報の探索,記録,自己モニタリング,環境構成,自己帰結,リハーサルと記銘,社会的援助の探求,記録のレビューなどがある.次回解説.

主に,スポーツ医学や子どものスポーツに関することについて配信します.