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【おでかけエッセイ】 美味しい食事と儚いほたるの光を眺める静かな時間

2023年6月中旬、この日は梅雨らしいお天気。湿気があり、雨が降ったりやんだりしていた。

以前から行きたいと思っていた『うかい鳥山』のほたる狩り。
年始に書いた『2023年にやったことリスト(やりたいことリスト)』にも

うかい鳥山で食事をしてほたる鑑賞をした

と書かれている。
そんな思いもあって、早くに予約の電話を入れなければと気になっていた。そして、6月から始まるほたる狩りができるコースが3ヶ月前から予約可能だと思い、3月初旬にお店に電話をかけた。

「ほたる鑑賞できるお食事の予約をしたのですが」電話口でそう告げると
「お日にちはいつがご希望ですか?」と聞かれる。

「3ヶ月前から予約できるのですよね? 6月中旬がいいのですが」と答えると、
「ほたる鑑賞のお食事は半年前からご予約できます」との回答。

え? と驚きながら、おそるおそる
「どこか週末または金曜日は空いていますか?」と尋ねる。

当然のことながら、そんないい日は空いておらず、結局は月曜日に。食事のスタートは17時から。私は友人との待ち合わせもあって、仕事を15時に切り上げて事務所をでた。

雨が降っている。こんな中でほたるが飛んでくれるのだろうかと、ちょっと心配になりながら車を走らせる。予定より少し遅い出発となったが、高速道路の渋滞もなく思ったより時間がかからず到着。
すでに大勢の人がお店の待合スペースで待っていた。

ほどなく、私たちも個室に通され、食事が始まる。

お料理はどれも美味しかったが、実は私が一番驚いたのは『佐久鯉洗い』だった。父が鯉の洗いが好きで、子供の頃何度か食べたことがあったけれど、正直言うとそんなに美味しいものだとは思っていなかった。

それが、いただいた鯉の洗いはとても美味しくて、食べながら父との思い出を友人に話した。こんなに美味しいものならば、父にも食べさせてあげたい、素直にそう思った。

佐久鯉洗い

そしてもう一つ。
私は麦とろご飯が苦手なので、代わりに出していただいた『桜海老のご飯』。これもとても美味しかった。桜海老の香りが口の中一杯に広がる。

桜海老のご飯


お食事が終わると、いよいよほたる鑑賞。
お部屋の電気も消され、スマートフォンの使用もご遠慮くださいとアナウンスが入る。いつのまにか雨も上がっていた。

食事した個室から見えるお庭
こちらにほたるが放される

真っ暗になった世界に、ふわっと光が浮かび上がる。ゆらゆらと、浮かび上がる光。そして、すっと消えてしまう光。
そんな光を目で追いながら、静かに庭を眺める。

隣の部屋の人の指先にほたるがとまって、静かに光る。
人懐っこいほたるもいるんだな、なんて思いながら、私もその様子を見守った。

みんな静かに、何かを想いながらほたるを見つめていたのだろう。15分ほどの静かな時間が終わると、誰もがその時間を惜しむように吐息を漏らした。

来年は両親を連れてきてあげようかな。
それとも、誰かと思い出を作りたくて一緒に来るのかな。
私はそんなことを考えていた。

色々な経験や体験をすることが、人生の楽しみであると思うけれど、それを一人でするのか、誰とするのかということも重要なことだと思う。
体験はその瞬間のことで、実はとても儚いものだ。

儚いほたるの光を眺めながら、この儚さと美しさを感じることができて本当にいい時間だった。

またこの体験をするためにこの場所を訪れたいと思う。


お庭に咲いていたシャクナゲ
茅葺の建物
屋根に苔も生えていて風情があります
お庭の様子
木々のシルエットがうかびあがりきれいでした



2023年やったことリストについて書いた記事もあります。
もしよかったら、読んでみてください。


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