【追記あり】TAC出版発行の就活本に対して抗議文を提出しました。→回答を頂きました

2022年7月22日、TAC出版発行の就活指南本複数冊に対して抗議文を提出しました。可能であれば2022年8月22日までに何らかの回答を頂けるようお願いをしています。


【2022年8月7日追記】
2022年8月5日、TAC出版より回答を頂きましたので以下に掲載いたします。

「この度は、弊社刊行の
「就活の教科書 これさえあれば。」
「面接の教科書 これさえあれば。」
「エントリーシート&自己PRの教科書 これさえあれば。」
をご利用いただきまして、誠にありがとうございます。

ご指摘いただきました箇所について、著者とともに次回改訂版に向けて善処したいと考えております。
貴重なご意見を賜りまして、感謝いたします。」

回答を頂いたこと、また、善処してくださるとのこと、ありがとうございます。


書籍には、「面接時にマナーに反した行いをすると、評価は大きく下がってしまいます。」(「2024年度版 面接の教科書 これさえあれば。」p.57、坂本直文監修、2022、TAC株式会社出版事業部。2023年度版は未確認)など、指南されているマナーから外れることを求職者に躊躇させるような表現が見られました。

同社発行の書籍では、

(「2024年度版 就活の教科書 これさえあれば。」p.146、竹内健登著、2022、TAC株式会社出版事業部。2023年度版も同ページ)

・「男性の座り方」「女性の座り方」
・「男性は両膝を軽く開き、手は軽く握りこぶしをつくって太ももの上に置きます。女性は両足をそろえ、両手は重ねてお腹に添えます。」
と、着用衣服やアイデンティティではなく、一方的に男女二元論によって分けた性別によって座り方を事細かに指定したり、

(「2024年度版 就活の教科書 これさえあれば。」p.140、竹内健登著、2022、TAC株式会社出版事業部。2023年度版も同ページ)
(「2024年度版 就活の教科書 これさえあれば。」p.142、竹内健登著、2022、TAC株式会社出版事業部。2023年度版も同ページ)

・「男性」は靴下にフラットな靴、「女性」はストッキングにヒール
・「男性」にのみ短髪を強制するような指南
・「女性」は化粧をすることが前提のような指南

・「男性」はワイシャツの袖を見せ、「女性」は袖を見せてはいけない
・「男性」はワイシャツなのに、「女性」はブラウスという表記、色の差
など、「女性」とされる人々には美しさを求め、鑑賞物扱い、「男性」とされる人々には「強く・男らしくあるべき」「装飾的と捉えられる(この基準も抑圧者によるきわめて恣意的なものです)格好の一切を許さない」ような指南、

(「2024年度版 就活の教科書 これさえあれば。」p.165、竹内健登著、2022、TAC株式会社出版事業部。2023年度版も同ページ)

「インターンシップは恋愛、本選考は結婚」「恋愛はお互いの好き嫌いでできますが、結婚は長期的な関係を見越してさまざまな条件を気にする」と、就職活動を極めて限定的な「恋愛・結婚」に例える指南、

圧迫面接に対して「否定されても明るく振る舞うようにする」(「2024年度版 就活の教科書 これさえあれば。」p.217、竹内健登著、2022、TAC株式会社出版事業部。2023年度版も同ページ)と、加害者側に加担しかねないような指南や、

(集団面接のグループワークでの模範解答として)
「客単価を上げる方法
・女子学生向けの高級スイーツを仕入れる
・男子学生向けに『60円でお弁当に揚げ物1つトッピング』サービスを始める」(「2024年度版 就活の教科書 これさえあれば。」p.184、竹内健登著、2022、TAC株式会社出版事業部。2023年度版も同ページ)と、ジェンダーバイアスを強化するような指南が見られました。

加えて、今回顕著だった問題点は、

(「2024年度版 面接の教科書 これさえあれば。」p.90、坂本直文監修、2022、TAC株式会社出版事業部。2023年度版は未確認)

(面接の日に風邪をひいてしまった場合の指南として)
「軽症の場合:マイナスどころかプラスの評価にできる」「『喉の痛さなんかには負けません』と言って、ガラガラ声でも一生懸命に話せば、マイナスどころか『頑張り屋さん』という印象を与え、プラスの評価を得ることができます。風邪は一時的なものですから面接官は深刻に考えません。」と、風邪をひいても軽症であればチャンスに変えられるといった指南や、

(Web面接の際)「部屋に異性がいるのがわかると、面接への意気込みが疑われ、印象がかなり悪くなることがあります。」(「2024年度版 面接の教科書 これさえあれば。」p.18、坂本直文監修、2022、TAC株式会社出版事業部。2023年度版も同ページ)といった、あらゆる側面からの問題を含む指南などです。

今回の抗議文で取り上げた書籍のうち2冊の監修者である坂本直文氏につきましては、株式会社高橋書店発行の就活指南本複数冊の著作にも関わっており、私たちはそれらの著作内での不適切な指南に対して2021年6月に抗議をし、翌月2021年7月に同出版社より「頂戴したご指摘は、貴重なご意見として参考にさせていただきます。」との回答を受け取っています。(下記記事参照)

しかし、坂本氏監修によるTAC出版の2冊の書籍(2024年度版)は、それよりも後の2022年1月に出版されたにも関わらず、顕著な問題表記が見られたことを残念に思います。

私たちは抗議文の中で、現状を改善するための案として、下記の提案をしています。

  • 本文中の指南、表紙ともに、型にはまった「女性」「男性」1パターンずつの例示だけでなく、最低でも4、5例、多様なスタイルの人物の例示をする。

  • 「女性」「男性」の区分けではなく、着用している衣服や個人のジェンダーアイデンティティなどによって座り方を指南する。

  • 「女性」とされる人に化粧を必須とする指南をやめ、化粧は性別に関わらず個人が完全に自分の意思で選んで利用できるものであるという考えに立つ。

  • 「女性」とされる人のイラストがスカートばかりであるバランスの偏りを改善する。

  • 圧迫面接に関しては「我慢しなさい」「笑顔で切り抜けなさい」という、加害者に加担するような指南ではなく、どのようなパターンが圧迫面接として問題になるのかといった基準を示す、圧迫面接を受けてしまったときの相談窓口を紹介する、心の守り方を指南する、など、徹底して被害者の側に立った指南をする。

TAC出版より回答が得られ次第、この記事に追記をします。


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