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【AIと意思決定】空港ラウンジの消滅?『予測マシンの世紀 第二部』#19

こんにちは。シンラボ共同代表の草場です。

AIとの共同に関して、『予測マシンの世紀 AIが駆動する新たな経済』をまとめていきます。推理小説のようで、ドキドキワクワクです。

目次
はじめに―機械知能
安さはすべてを変化させる
第1部 予測
第2部 意思決定(決断を解明する;判断の価値 ほか) 
 第七章 決定を解明する
 第八章 判断の価値
 第九章 判断を予測する
 第十章 複雑さを飼いならす
第3部 ツール(ワークフローを分解する;決断を分解する ほか)
第4部 戦略(経営層にとってのAI;AIがあなたのビジネスを変容させるとき ほか)
第5部 社会(AIと人類の未来) 

第二部、決断に関してです。昨日の記事は以下です。

■複雑さを飼いならす
昨日は複雑さの源泉をみてきました。
「こうだったら(if)、こうする(then)」の"if"の状況が多すぎると、人間は対応できないため省略して考えます。しかし、予測マシンはIoTの普及により多くの"if"を処理できるようになっています。
本日は、"then"について見ていきます。

本書では、まずノーベル経済学賞を受賞したジョージ・スティグラーの発言から始まります。

彼は、「一度も飛行機に乗り遅れたことがない人は、空港での滞在時間が長すぎる」と発言した。

身近な例なのでわかりやすいです。通常、1時間前にチェックインがルールです。私の場合、不安なので2時間前には空港に行っています。この点を解消するために生まれたのが、空港ラウンジです。

航空会社は、乗客に便利で静かな空間を提供するために考案した。ラウンジが存在するのは、あなたがフライトに早く到着する可能性が高いからだ。ラウンジは、お客様の到着時間が正確でない場合に、多少の余裕やバッファを提供するためにある。

この点を、if→thenの観点で見ていきます。
先ほど書いた通り、通常は1時間前の到着が必須です。フライトが午前10時だとしたら、午前9時に到着したいです。そう考えると、何時に空港に向かうべきでしょうか?
30分で空港に着く場合、8時半に出発するかもしれません。しかし、これは交通機関の乱れを考慮していません。

この本に関するニューヨークでの会議からトロントに戻るとき、私たち3人はラガーディア空港までのひどい渋滞に遭い、最後の1マイルをフリーウェイ沿いに歩くことになった。そうなると、さらに30分はかかるだろう。こう考えると、午前8時に出発する必要がある。何もなければ、8時半に到着する。その結果、たいていはラウンジで30分以上過ごすことになる。

まさに、if→thenです。「もし、交通機関が乱れたら?」「もし、交通機関が乱れなかったら?」。他にも多数な状況が想定さえます。そこで、Wazeのようなアプリの登場です。

Wazeのようなアプリは、現在地から空港までの正確な所要時間を提供している。このようなアプリは、リアルタイムと過去の交通パターンの両方をモニターして、最短ルートを予測・更新する。また、Google Nowと組み合わせれば、過去の遅延や乗り継ぎ便の位置を監視する他のアプリを使ってフライトの遅延を考慮することが出来る。これらのアプリを併用することで、予測を確実に信頼できるようになり、"交通問題がなければ、後から出発してゲートに直接行く"、"フライトの遅延があれば、後から出発する "といった新しい選択肢が広がる

多数のアプリとの連携により、リアルタイムに状況の確認が出来るため予測精度が大幅に向上します。複雑さに対応することが出来ます。

より良い予測は、不確実性の重要な要因を減らすことで、空港で待つ場所(ラウンジ)を確保する必要性を無くす。さらに重要なことは、より良い予測は新しい行動を可能にするということだ。フライトの2時間前に出発するというルールを設定するのではなく、情報を受け取ってから出発のタイミングを指示するルールを設定することが出来る。

予測精度を上げることでラウンジを無くすことができるし、出来た時間を有効活用できます。
再度振り返りますが、上記はif→thenです。

これらの偶発的なルールはif-then文であり、より信頼性の高い予測に応じて、より多くの"then"(早く出る、時間通りに出る、遅く出る)を可能にする。つまり、予測は、より多くの"if"を生み出すだけでなく、実現可能な"then"の数を増やすことで機会を拡大する。

個人にカスタマイズしたサービスが実現しますね。センサー技術の発達でより多くの"if"を設定できます。そしてその状況予測が正しければ、多くの"then"(早く出る、時間通り出るなど)を実現することが出来ます。

前回の配達ロボットと空港ラウンジには共通点があります。

どちらも不確実性に対する不完全な解決策であり、より優れた予測によってこれらは無くなってしまう。

予測マシンの発達により、空港ラウンジは消滅するかもしれません。

本日はここまで。明日は"if"と"then"をまとめてみていきます。

草場壽一
https://sinlab.future-tech-association.org/

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