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【続・感染症後の世界】ニューノーマル時代に大変革を迎える分野#4-2 デジタルインフラなど


こんにちは。シンラボ共同代表の草場です。

超有名オライリーメディアの創業者ティム・オライリー氏が、感染症後の世界で必要なテクノロジーについて書いた本、「21 Technologies for the 21st Century」の第二部、「New Normal」についてまとめています。

7. 私たちが知っているようなオフィスの終わり
8. クラウドコンピューティング
9. アジャイル、スケーラブル、レジリエンスの高いデジタルインフラと運用
10. 働く人としてのAIとアルゴリズム
11. 市場の調整
12. センサーとモノのインターネット
13. ロジスティクス

前回の記事は以下。

今回は上記記事の続編です。前回、
ソフトウェア業界の変遷
リーン・スタートアップ手法のすべての業界への適応可能性
「アジャイル」という開発手法のすべての業界への適応可能性
DevOpsという手法について
を書きました。これだけでも肉厚。。。

さて、DevOpsについてです。この手法は、 開発手法やツールを使って 開発者と運用者が密接に連携することで、 より柔軟かつスピーディーに システムを開発することです。

サービスとして運用されなければならないソフトウェアを構築するアプローチとして、DevOpsは、
サービスを構築して実行するさまざまなチーム間のコミュニケーション
スケーラブルになるようにプロセスを自動化すること、
リーン原則(トヨタのリーン・マニュファクチャリングの実践の意味で、ボトルネックにつながる制約を特定して改善することに焦点を当てている)、
測定
ベストプラクティスの共有
に焦点を当てている。

テーマであるデジタルインフラを確立する上で、開発側と運用側の連携が必要なので、このDevOpsをすべての業界に浸透させることは大事。オライリーさんによると以下です。

ビジネスパーソンがDevOpsについて学ぶのに最適な方法は、新しい方法でソフトウェアを行うために必要な組織の変革を描いた小説『The DevOps 逆転だ!究極の継続的デリバリー』を読むことだ。この本は、リーン製造業について語ったエリヤフ・ゴールドラットの似たような小説『ザ・ゴール』へのオマージュだ。ゴールドラットのTheory of Constraints(制約条件の理論)を理解することは、あらゆるマネージャーにとって素晴らしいツールだ。

DevOpsに関しては、本を読んでまた書きますが、まずは制約条件の理論の復習をしないとです。

このDevOpsに分野には、サイト信頼性エンジニアリング(SRE)と呼ばれるものがあるそうです。以下参考サイトです。

オライリー氏の説明がわかりやすいです。

SREの焦点は、根本的に増大する運用の複雑さに直面して、信頼性とスケーラビリティをエンジニアリングすることにある。DevOpsは運用パフォーマンスを向上させるための人的要因に焦点を当て、SREはより回復力の高いシステムを構築するための鍵となるソフトウェアの自動化に焦点を当てている。

さて、こういったデジタル、クラウドが当たり前の人々を"クラウドネイティブ "と呼ばれています。これを理解するお勧め本は、Boris Schollらの著書『Kubernetesで実践するクラウドネイティブDevOps』です。これも再度読む、、、!!!
この本で、コンテナ、が出てきます。コンテナ、でかい箱をイメージしますよね?ソフトウェア業界でのコンテナは、「アプリケーションのすべての要素と依存関係をパッケージ化し、複数のマシン間で簡単に複製できるようにしたもの」です。以下、わかりやすい記事です。

コンテナは、アプリケーションが多数のマシン、多数の地域から提供される場合、また、需要の急増に対応して自動的に1台から多数のマシンへとスケールアップしなければならない場合に不可欠だ。
Kubernetesは、コンテナを管理するための支配的な技術として台頭してきており、クラウドネイティブツールキットの重要な一部となっている。Amazon Web Services、Microsoft Azure、Google Cloudなどのクラウドプロバイダーは、すべてコンテナをサポートしている。

この辺りも勉強必須ですね。Kubernetesは公式がわかりやすいです。

デジタルインフラの構築に大事なもう一つの要素はセキュリティです。完全につながった世界では、システムへの侵入や破壊の方法がこれまで以上に増えてきます。『Practical Cloud Security』がおススメだそうです。後で読む、たぶん。。。

さて、著書では、ここからケーススタディに入ります。

感染症の影響でアメリカ人が中国から大量に帰国する際、役人が病気になった人がいないかを確認するために乗客を追跡調査することを計画した。しかし、「時代遅れのシステムは、重複した記録、悪い電話番号、不完全な住所で埋め尽くされた空港で収集した情報を提供した」。
感染症が流行して経済が停滞すると、全国の失業保険制度はその負荷で崩壊した。数ヶ月かけて申請を試み、何千もの電話をかけても、多くのアメリカ人は給付金にアクセスできないままだった。Zoomが3ヶ月間でわずか1,000万人から2億人以上に急増したのに対応できたことを考えると、このような悲惨な事態は起きえないはずだ。しかし、政府のサービスは数年から数十年遅れていることが多々ある。

実際に起こった事態でありますが、かなり辛辣ですね。日本はさらに遅れているのでしょうか。

感染症による失業への保険のような、新しいプログラムを立ち上げる際、政府は何をすべきだったのか?
今回の危機に直面した政府は、「必要とされるスピードで動かなければならない」ことに気付いた。政府とCode for AmericaUnited States Digital Responseのような非営利団体のイノベーション・ユニットが、最前線に立ち、政府機関が危機に対応するのを支援し、民間企業のノウハウやビジネス・プロセスを政府に持ち込む。

例えば、

USDR のプロジェクトには、失業保険システムのサポート、病院の人員不足と資格のある労働者のマッチング、在宅患者の食事の提供、病院のキャパシティの追跡とモデル化、ウェブサイトでの大量のトラフィック増加への対応、中小企業への融資の促進などが含まれている。Code for Americaは、食料援助やその他の給付金の申請を支援する能力を増やし、オンラインでの所得税控除申請のためのパイロット・プログラムを全国規模のサービスへと拡大した。

めちゃめちゃ効果的な取り組みで、Code for Americaが、政府にデータサイエンスの能力を追加した形です。例えば、ペンシルバニア州では、もともと100以上のソースからのデータを手作業で組み合わせていたそうです。そこでUSDRのボランティアが、数日のうちにデータ収集を自動化し、より良い意思決定を可能にするダッシュボードを構築したそうです。

日本でも出来るはず。

アメリカでは、デジタルファーストのサービスは、後回しにされていたものから第一線の防御策へと変わりつつある。
Code for America の GetCalFresh サービスは、カリフォルニア州のレガシーシステムである SNAP申請の上に、使いやすいフロントエンドとテキストメッセージをベースとしたサポートサービスを載せたもので、申請件数が 4 倍に増加したのと同時に、処理スピードが1.5倍になった。
カリフォルニア州がパンデミックの最中に学校給食を受けられなくなった学生に追加の食糧援助を提供するP-EBTと呼ばれる新しいプログラムを導入した際、Code for Americaは新しいサイトを立ち上げてプログラムの申請を行い、最初の7時間半で198,000件の申請を受け付けた。
これはデジタルファーストサービスがいかに迅速かつスケーラブルに開発できるかを示しており、今後のすべての政府のテクノロジー調達のハードルを引き上げている。

さて、日本政府の動きも早くなっていますが、アメリカでもこの危機は、官僚的なルールの再考にもつながっているそうです。需要の急増により、現状維持が不可能になってからです。

Code for Americaのメンバーが書いたように、「政府という巨大な変化のレバーの周りの錆が払拭されつつある。官僚主義を切り開き、人々が生き残るために必要なものを手に入れるためのシステム、運営、新しい政策を活性化するのでだ。」

一つ疑問が残ります。Code for America の創設者のJennifer Pahlka 氏が Masters of Scale のポッドキャストで語ったように、「危機的状況にあるときに新しいデジタルサービスを数日で立ち上げることができるなら、危機的状況にないときに何年もかかるのはなぜだろうか?」
疑問の答えは、前回と今回の記事で書いてきたように、クラウドネイティブな動きが無かったことです、おそらく。

迅速な対応サービスの多くは、Amazon、Microsoft、Googleのクラウドコンピューティングサービス、GitHub、Twilio、AirTable、Googleフォーム、Zoomなどに依存しているので、使い倒します。

まとめると、

今回の危機によって明らかになったように、アジャイルソフトウェア開発手法、サイト信頼性エンジニアリング、スケーラブルなクラウドベースのサービスの採用が急増し、政府がソフトウェアを購入して開発する方法を変える必要がある。政府だけではない。他の産業も、同じような官僚的なプロセスやワークフロー、20世紀のペーパー・トレイル、対面でのアプリケーションの必要性、更新に何年もかかるシステム、現代のアプリケーションの安定性、拡張性、使い勝手の悪さに阻まれている。

まずはシンラボのデジタルネイティブ化を進めていきます。

明日は「働く人としてのAIとアルゴリズム」について書きます。

草場壽一
https://sinlab.future-tech-association.org/


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