【AIと戦略】AI時代、判断力を高めよう!『予測マシンの世紀 第四部』#6
こんにちは。シンラボ共同代表の草場です。
AIとの共同に関して、『予測マシンの世紀 AIが駆動する新たな経済』をまとめていきます。推理小説のようで、ドキドキワクワクです。
目次
はじめに―機械知能
安さはすべてを変化させる
第1部 予測
第2部 意思決定
第3部 ツール
第4部 戦略
第十五章 経営層にとってのAI
第十六章 AIがあなたのビジネスを変容させるとき
第5部 社会(AIと人類の未来)
いよいよ第四部、戦略です。どう戦略に組み込むか、一番大事な部分です。昨日の記事は以下です。
■経営層にとってのAI
さて、この章の最後に「予測マシンの生み出す価値」を見ていきます。以前も登場した表計算ソフトの発明者はお金持ちになったでしょうか?
表計算ソフトの発明者であるダン・ブリックリンは莫大な価値を生み出したが、彼はお金持ちではない。表計算ソフトの価値はどこに行ったのか?富裕度ランキングでは、Lotus 1-2-3の創業者ミッチ・ケイパーやマイクロソフトのビル・ゲイツなどの模倣者がブリックリンをはるかに上回っているのは確かだ。しかし、彼らでさえ表計算ソフトの価値のほんの一部を利用しているに過ぎない。
上記の著者の議論を見ると、表計算ソフト自体の価値は無くなっており、それをデフォルトにしたマイクロソフトの戦略が価値を持ったようです。しかしそれも表計算ソフトの価値の一部を使ったのみでした。
彼らはスプレッドシートの価値のほんの一部を利用していただけで、その価値はユーザーや、スプレッドシートを導入して何十億ものより良い意思決定を行っている企業にある。ロータスやマイクロソフトが何をしようと、表計算ソフトが改善する意思決定はユーザーのものだったのだ。
そう、表計算ソフトの価値は、それを使って戦略上優位に立つことです。早く大量に計算できるからすごい時代は終わり、誰でも利用可能になったので、それを利用した様々な戦略策定が出来るかが重要となります。計算が安価になったので、意思決定に時間をかけれるようになりました。
同じことは予測マシンにも当てはまります。スーパーマーケットを例に見ていきます。
AIの応用例として、スーパーマーケットチェーンの在庫管理を想像してみよう。ヨーグルトが売れる時期を知ることで、いつ仕入れるべきかがわかり、売れ残って廃棄するヨーグルトの量を最小限に抑えることが出来る。
ヨーグルトの需要を予測するマシンを提供するAIイノベーターは、うまくいくかもしれないが、価値を生み出すためにはスーパーマーケットチェーンとの取引が必要になる。ヨーグルトを仕入れるかどうかのアクションを起こせるのは、スーパーマーケットチェーンだけだ。そして、そのアクションがなければ、ヨーグルトの需要予測マシンには何の価値もない。
仮に良い予測マシンを開発出来たにしても、それを展開する先、エンドユーザーがいなければ何にもなりません。確かに。予測マシンは使われてなんぼです。
多くの企業は、AIがあってもなくても、なんらか自分の行動をします。表計算ソフトと同じく、企業は、AIを採用することで生じる価値の一部を獲得する上で優位性を持つことになります。この優位性は、行動を所有する企業がすべての価値を捉えることを意味するものではありません。
再び、ダン・ブリックリンさん話に戻ります。
ブリックリンと彼のパートナーであるボブ・フランクストンは、スプレッドシートを売却する前に、このスプレッドシートを残しておくべきかどうかを考えた。そうすれば、自分たちのモデリングスキルを売ることができ、結果的に自分たちの洞察力が生み出す価値を獲得することができるからだ。彼らは、おそらく良い理由で、この計画を断念した。
おそらく良い理由で、スプレッドシートを誰でも使えるようにしたわけです。世の中の発展ためでしょうか。
とにかく、予測マシン活用が広がるには多くのユーザーに使ってもらう必要があります。そのためには、自社で技術を囲っている暇はありません。例として、自動運転車の例が本に書かれています。
伝統的な自動車メーカーの中には、自社に積極的に投資しているところもあるが、一方で、そうした能力を自社で開発するのではなく、業界外の企業との提携を望んでいるところもある。
また、大手テクノロジー企業が従来の自動車メーカーと共同でプロジェクトを開始するケースもある。例えば、中国最大の検索エンジンを運営するBaiduは、DaimlerやFordなど数十社のパートナーと共同で、大規模かつ多様なオープン自律走行イニシアチブ「Project Apollo」を主導している。また、月間アクティブユーザー数が約10億人のWeChatを運営するテンセント・ホールディングスは、北京汽車などの著名な既存企業を含む自律走行アライアンスを主導している。
テンセントのChen Juhongは、「テンセントは、自律走行に使用されるAI技術の開発を強化するために全力を尽くしたいと考えています。私たちは、協力、イノベーション、業界の収束を促進するための『コネクター』になりたいと思っています」と述べている。 北京汽車の徐慧会長は、コラボレーションを促す競争圧力について、「この新しい時代には、他の企業とつながって次世代の自動車を作る者だけが生き残り、部屋に閉じこもって自動車を作る者は死ぬ」と述べている。
比較的新規参入の企業(テスラなど)は、ソフトウェアとハードウェアを緊密に統合した新型車にAIを直接導入することで、既存企業と競争している。Uberのような企業は、消費者の手から運転の決定権まで奪うことを期待して、AIを使って自律性を開発している。
予測マシンを広げていくために広範なパートナーシップが形成されているのは良いことかなと思います。自分もそこに参加したい。
ではまとめます。ここで紹介した変化は、経済の枠組みの中核をなすAIの影響の2つの異なる側面に依存しています。
1.アマゾンの「出荷-買い物」モデルに見られるように、予測マシンは不確実性を低減する。AIが進化すれば、予測マシンを使ってより広範囲に不確実性を減らすことができるようになる。したがって、不確実性に起因する戦略的ジレンマは、AIとともに進化する。AIのコストが下がれば、予測マシンはより多様な戦略的ジレンマを解決するようになる。
2.AIは予測を補完するものの価値を高める。野球評論家の判断、食料品小売業者の行動、そして17章で紹介するように予測マシンのデータが重要になり、それを活用するために戦略を変更する必要が出てくる。
だんだんと、どうやって自分の組織にAIを入れていくか、見えてきました。次の章でさらに具体化します。
草場壽一
https://sinlab.future-tech-association.org/
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