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僕はFAXの使い方なんて知らなくていい。

ある日のこと。
訪問看護ステーションにて。

「山田くん、FAXでケアプラン届いてたよ。
内容確認して返送しといてね。」

※ケアプランとはお客様の介護の方向性が記された書類のこと。

そう言われた僕は戸惑った。
FAXを使ったことがなかったからだ。

「すみません、僕FAXの使い方を知らなくて、、、。教えてもらっても良いですか?」

僕がそう言うと、先輩は優しく教えてくれた。

「ケアプランの内容を確認したら、"確認しました"という証拠として署名欄に名前を書いてFAXで返送する決まりになってるんだ。」

面倒臭い。

「そして送る時には電話番号などが間違っていないかを他の人とダブルチェックする必要があるから誰かに声をかけてね。」

さらに面倒くさい。

「送った後は"送信済み"というハンコを押して、穴を開けて、棚の中のファイルに綴じるんだよ。」

、、、待ってくれ。

仮にこの一連の作業をLINEで(セキュリティの問題は置いといて)やるとすると、

①先方からPDFファイルでケアプランが送られてきて**既読をつける。

②そのPDFファイルを特定のフォルダなどに保存する。**

たったこれだけだ。

僕はFAXの使い方なんて知らなくていい。

僕には覚えるべきことがもっと他にある。
僕には得意なことがもっと他ある。

心の底からこう思った。

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上述したように医療における多職種連携のツールは明らかに時代と乖離している。今、他者と連絡を取る時はほとんどの場合LINEかSNSだ。急用の際には電話を使うこともある。世界はオンラインでのテキスト形式をベースとした連絡ツールが主体となっているにも関わらず、医療現場では主に電話とFAX、あと手紙だ。

それでも僕たちはまだFAXの使い方を覚えなくてはいけないのだろうか?

もう令和も2年になった。

それでもまだ使うのか?

covid-19の影響で世界的にデジタル化、オンライン化がさらに加速している。

それでもまだ使うのか。

SDGsでもペーパーレス化が推奨されている。

それでもまだ使うのか?

多くの人は現状のやり方を変えたくないと思う。変化を受け入れることで一時的に効率が悪くなったり、やり難いことがあると思う。新しいことを覚えるのは労力もかかると思う。

気持ちはよく分かる。僕たちがFAXの使い方を覚える時も同じ気持ちだ。

現状では導入にあたって沢山の問題もあると思う。

でも、変わる時は今だ。

今回はFAXを一例にしたが、これはFAXのみの問題ではない。

本質的には医療介護福祉における伝統的な労働形態を今一度見直し、今の時代に最適化しなくてはならないということだ。

全てを変える必要はない。
温故知新的な改善が求められている。

「利益を落とさずに、余白を作ろう。」

そうすれば、もっと対象者のために何か出来るかもしれない。そうすれば、残業が少なくなってプライベートが充実するかもしれない。そうすれば、企業としてももっと社会活動に時間を避けるかもしれない。

きっと良いことの方が多い。
みんなで変われば怖くない。

この叫びが偉い人たちに届くことを願っている。

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