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死神の仕事

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死神の仕事ノートをまとめています。 一気読みにどうぞ。
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記事一覧

死神の仕事 第8話「墓守のチーズケーキ」

死神の仕事 第8話「墓守のチーズケーキ」

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 みなさんは死後、人間がどうなるかご存知だろうか?もちろんどこの世界に行くだとか、天国と地獄がどうだとか、そういう話ではない。葬り方の話だ。
 アメリカや英国では土葬が基本だ。中には棺桶からベルを鳴らせるようにして、死に際までその人が蘇ることを祈ったりする人たちもいるらしい。土葬だと、よくゾンビになるのはドラマや漫画でお馴染みだろう。
 日本では火葬が主流だ。遺体を焼いて、骨のみにし、骨壷に収

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死神の仕事 第7話「愛玩動物のチョコブラウニー」

死神の仕事 第7話「愛玩動物のチョコブラウニー」

第七話「愛玩動物のチョコブラウニー」

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 みんなは犬派猫派?オレはどっちも好き〜!犬とか猫とか動物って可愛いよね!オレはペットは飼ったことないけど、友達が飼ってたの羨ましかったな〜!でもペットって、亀とかじゃない限り、必ず先に死んじゃうじゃん?そこが悲しいよねぇ。なんで死ぬって分かってて飼って、愛情たっぷり注いじゃうんだろうねぇ。不思議不思議。やっぱりかわいいからかな〜。
 さてさて今回はそん

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死神の仕事 第6話「老婆のミルフィーユ」

死神の仕事 第6話「老婆のミルフィーユ」

第六話「老婆のミルフィーユ」

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 読者のみなさんに問おう。老人は好きか?俺の答えはノーだ。
 なぜって、老人は自分の社会的立場を盾にして、今生きている若いものを扱き使い、見下し、やれ私の若い頃はと聞いてもいない苦労話を聞かせてくる。
 その上、彼らが生活している金、年金は若いものが汗水流して働き、稼いだお金から税金として徴収される。
 つまり、若者は縁も関わりもない老人何人も一人で養っていると

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死神の仕事 第5話「他人の空似のアップルティー」

死神の仕事 第5話「他人の空似のアップルティー」

第五話「他人の空似のアップルティー」

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「ケーフィーさん、ヴォルカンって呼んで、ください」
「ヴォルカンさん」
「ケーフィーさん………」
「ヴォルカンさん、愛してますよ」
「わ、私も、です、」
 二人は甘ったるい、優しいキスをした。

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 何故こうなったのかというと、時は3日前にさかのぼる。
 今回の死人はドイツ人。ケーフィー。28歳。男性。死因は病死。
 今回の死人のファイルを見た時、オレ

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死神の仕事 第4話「反出生主義のミルクティー」

死神の仕事 第4話「反出生主義のミルクティー」

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「世界を滅ぼしてほしい?!?」
「ああ。よろしく頼む」
 素っ頓狂な願いを頼んだ相手は引きこもりの若者だった。しばらく外に出ていないらしい、髪はボサボサで部屋はゴミ屋敷。なんだか臭い匂いもして、俺は居心地が悪かった。
「なんだってまた、そんなことを……」
 リヴァイヴは困惑しながらソファーに座り込んだ。バフッと埃がたちのぼる。
「人類は滅びるべきなんだ。自分たちのために自然を破壊し、環境を破壊

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死神の仕事 第3話「親心のコーヒーラテ」

死神の仕事 第3話「親心のコーヒーラテ」

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「私の代わりにこの子親になってほしい?!」
「はい。よろしくお願いします」
 今回の死者はシングルファザー。つい先日、妻を病気で亡くし、幼い息子と2人きりで生活していたが、自分も数日後に事故で亡くなることになっていた。
 幼い息子を1人で残していくのは心残りだと、俺たちに親になることを最期の願いに選んだ。
「この子はラウと言います。まだ生まれたばかりで、私のことも認識していないでしょう。こんな

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死神の仕事 第二話「乙女のショーケーキ」

死神の仕事 第二話「乙女のショーケーキ」

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 私は恋を知らない。生まれてこのかた、病院で暮らしている。しかも隔離病棟。親にも面会できない。お医者さんや看護師さんにも時々、マスク越しに会うだけ。真っ白な病室でいつも1人。味気ない日々を過ごすだけ。
 私の世界はこれだけ。これ以上でもこれ以下でもない。
 私はこのまま、この世界以外を何も知らないまま、生きていくのだろうか。
 そんなある日のことだった。私の世界に2人が現れたのは。
「メアリさ

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死神の仕事 設定資料

死神の仕事 設定資料

設定資料集

登場人物
ヴォルカン
178cm/65kg
8/7生まれ
獅子座
A型
一人称は俺

一家の長男として生まれる。不老不死であることが判明し、気味悪がられ捨てられてしまう。それを物好きの伯爵が購入し、執事として育て上げた。礼儀やマナーはここで身についたらしい。執事として汚い仕事やきつい仕事を任され、時には暴力や性行為などもはたらかれていた。リヴァイヴとは幼馴染である。執事時代に愛する人

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死神の仕事 第一話「復讐のビタードロップ」

死神の仕事 第一話「復讐のビタードロップ」

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「次の仕事はどこ?」
 目も眩むような月明かりの夜更け。リヴァイヴはポツリと、俺に問うた。
 螺鈿のような輝く髪が風に揺れる。虹彩のまわりが黒い、彼特有の赤い眼は暗闇によく生えた。真っ白なスーツからは傷だらけの首がのぞく。死に損ないの証。死にたかった数。不老不死の呪い。
 —そう、俺たちは不老不死だ。
「次は日本。女子中学生。1週間後。自殺ららしい」
 俺はファイルのページをめくると、無機質

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