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全社200名以上を巻き込んだバリュー刷新でやった、4つの取り組みと重要視したこと

ナイルでは7月に新しいバリューを発表しました。その後、7/20にコーポレートサイトのリニューアルを行い、新バリューを社外にも公表しています。
コーポレートブランドのリブランディングと合わせて、こちらも入社してまもなくから動き出したプロジェクトで、8ヶ月以上この準備に取り組んできました。もう2ヶ月近く前のことなのかとビックリします。
備忘録も兼ねて、今回のバリュー刷新で行ったことと自分の方で意識してきたことを簡単にまとめておこうと思います。
※リブランディングPJに関してはこちらをご覧ください↓

バリューを見直すことになった背景

コーポレートカルチャーを築いていく上で、そのベースになるのは企業理念です。ナイルではMVV(MISSION、VISION、VALUE)を理念としています。
なにを理念として置くかは、会社によって様々で、なにが正解とかはないと思っておりますが、それぞれの定義や意味合いがしっかり定められていることが重要です。

ナイルのミッションは「幸せを、後世に。」
こちらは社会的使命と位置づけていますが、最近一種のトレンドと化しているパーパスにも近い意味合いのものになっています。
ビジョンは「デジタル革命で社会を良くする事業家集団」でこちらは中長期的な理想像と定義しています。
そして元々あったバリューは「全員事業家」「楽しんでいこう」「戦う友を助ける」の3つでした。
この3つのバリューとは別に『事業家ガイドブック』というものがあり、事業家とはこうあるべき心得が13項目書かれていました。

それぞれで書いてあることは共感度も高く、実践していくべき項目でしたが、「全員事業家」の事業家を更に13項目で説明しており、構造が複雑なものになっている印象を受けました。社内に「事業家」というワードと意味合いを強く浸透させていくには効果があったと思いますが、社員数も急増している中で、項目が多く複雑性が高い設計だと浸透しにくくなってしまう面は否めません。また、事業や組織が拡大していく中で、次の10年を見据えたときに従業員に求める要素も変わってきてることもあり、一定の役割を果たしたバリューを更にアップデートする形で、新たなバリューを作ることを提案させてもらいました。

刷新前のMVVの構造

全社員を巻き込むことからスタート

ナイルではQに1度組織アンケートを行っているのですが、昨年11月に実施したその社内アンケートの中に、MVVに関して考えてもらう下記の質問を4つ加えさせてもらいました。

● あなたはどういった『幸せを後世に』残したいですか?
● 『事業家集団』で最も必要な資質は何だと思いますか?
● ナイルの良いところ、強さは何だと思いますか?
● ナイルをどういう会社にしていきたいですか?

改めてミッションを自分ごと化してもらい、事業家集団に求める資質の絞り込みを行い、自社の強みを再認識し、未来に向けてのギャップをあぶり出す。そんな狙いを持った4つの質問です。

その後、アンケート結果を集計し、12月に各事業部ごとで順番にカルチャーワークショップを開催しました。
ここでは、上記で記した今回バリューを改めて見直すことになった背景を説明し、11月のアンケートの結果を共有しました。更に、6〜8人程度のグループに分かれてもらい、4つの質問を元に更に深堀りを行うワークを実施。例えば、ナイルの強みとして上がっているものを見ながら、「これらはナイルの強みかもしれないが、もっとスゴイ会社は他にもありそう」→「ナイルが持つオリジナルの強みは何なのか考えてみよう」といったなかなかハードなお題にも向き合ってもらいました。

事業部ごとで開催したこのワークショップですが、各チームから出た発表内容はすべてスプレッドシートでまとめており、アンケートの結果と合わせてワークショップの発表内容も全社の誰もが見れる状態で情報共有を行いました。事業部によって特有の思考があったり、他のチームの発表を見ることで新たな気づきもあったということで、視野を広げる良い機会になったのではないかなと思います。

意志ある社員の思いを乗せる

11月の全社アンケートには、実はもう一つ質問を入れておきました。「来年以降に行われるバリュー刷新プロジェクト(通称:バリュP)に参加してみたいですか?」というものです。
この質問に対して、『是非参加したい』という強い思いを持って回答してくださった社員24名でバリュPを結成しました。

通常業務がある中で、アドオンされる全社プロジェクトはなかなか大変なものであり、本人の自主的な意欲がないと両立は難しくなります。そういった意味でも自ら手を上げて参加表明した人たちだけでこのプロジェクトを実施することにしました。

プロジェクトメンバーを3つのチームに分け、1ヶ月半を掛けてチームごとで新バリューを考えてもらいました。全社アンケートの結果や、ワークショップでの発表をベースに議論を進めてもらい、みんなの声をどうバリューに導いていくかの抽出を行ってもらったわけです。

最終的には、経営陣に向けてのプレゼンを実施し、こちらを全社向けにオンライン配信しました。熱量が高い人達だけが集まって議論しているからか、非常に完成度の高い、深い思考の元で成り立ったバリュー案がでてきました。嬉しい驚きと同時にこの素晴らしいアウトプットをしっかりと反映した新バリューを着地させなければと良いプレッシャーを感じた時間になりました。

バリュPプレゼン大会と各チームの最終案

経営陣での策定会議をフルオープン

バリュPのプレゼンを受けて、経営陣での最終的な新バリュー策定会議に移っていきます。今回新バリューを決めていく中で一番こだわり重要視した部分は、「透明性」です。
どんなに良いバリューが生まれたとしても、それが突然上から降ってきたものであれば、自分ごと化するには時間がかかりますし、納得感のあるものにならない可能性も高まります。

ということで、経営陣で行うバリュー策定会議も、すべてオンラインで生放送&翌日にアーカイブ公開という形式を取りました。
フルオープンに公開されていることで、本来言えるべきことが言えなかったり、議論の質が落ちるようでは本末転倒ですが、皆、見られていることを意識してか序盤は硬さもありましたが、すぐに問題なく議論をすすめることができました。
初の試みではありましたが、業務時間の中でも1/3ほどの社員がリアルタイムで耳を傾けにきてくれたり、議論内容に関してslack上で感想を投げてもらえたりと、オープンにすることでの一定の効果はあったのかなと思っています。

生配信で行った策定会議ではFigmaを使って要素を整理

最終アウトプットの擦り合せ

ある程度の方向性が策定会議で固まったあとは、最後のアウトプットを生み出す段階に移ります。こちらに関しては、私の方でまずベースとなるアウトプットを作り、役員陣のslackチャンネルにて共有。その後、FBを受けて何度も出し戻しを繰り返したり、一度寝かしてみたり、個別で議論を行うなどして、進めていきました。

今回、バリューそのもののワードに対して、説明文なども付ける形としたことで、一言一句を擦り合わせていくのに当初の予定よりも多くの時間を費やすことになってしまいました。ただ、全社への発表のタイミングを後ろ倒しにしてでも、ここだけは役員陣全員が納得のいくものをしっかりと形にする必要があると思い、時間を掛けて言葉を紡いでいきました。

バリュー浸透に向けて

7月15日に行われた全社MTGにて、新バリューの発表を行いました。ここまでのプロセスを改めて振り返り、新バリューの定義が「ミッション実現のための行動指針」であることを伝えてから、3つのバリューを順番に発表。それぞれの説明とこれからどうバリューと向き合っていくかなどを私の方から伝えさせてもらいました。
(ここでは省略)

3つのNYLE VALUE

「新バリューの3つは " MAI ” で韻を踏んでいる!」という想定外の反応もありましたが(笑)、概ねみなさんにはポジティブに受け止めて貰えたのかなと思っています。バリュPのみんなもslack上で好反応を示してくださったので安心しました。

ただ、発表して終わりではないのがバリュー。ということで、ここからはより理解して、共感してもらい、体現して、振り返り、深掘ってもらうための活動が始まります。バリュー浸透って言葉はあまり好きじゃないので、バリューを愛してもらってインストールするって感じですかね。(なんか違うかもw)

色々やってますが、まずは社内報にて、社長インタビュー「新バリューに込めた思い」を掲載して全社員に送り届けました。他に身近なところでは、バリューにちなんだslackスタンプを作成して使っています。
また早速、採用基準も新バリューを反映したものに見直しを行いましたし、各事業部ごとで毎月行われているオールメンバーズMTGでは、バリュー賞の発表をしたり、と各所での対応が進んでいます。

更にここから、社内ポスターやグッズの作成、ワークショップの実施や新入社員向けのMVV研修の再設計なども含めて様々な施策を企画し実行に移していく予定です。
この辺は、また改めてどんな施策を行ったのかお伝えできればと思います。当たり前に意識しなくても馴染み体現しているところまで持っていくため、心を動かすいろいろな工夫をしていければと思っています。

最後に

私自身、バリューを刷新するプロジェクトを実行することは実は2回目であり、前職で行った経験や反省を踏まえての今回だったのですが、時代も変わり、労働環境も異なる中でよりアップデートできた実感はあります。ただ同時に難しさも改めて感じました。

当初、11月から始まり4月に発表する予定で動いていった今回のプロジェクトは、最終的に社内発表できたのは7月だったので、8ヶ月以上掛けてのプロジェクトとなりました。

プロジェクトのスケジュール

まだ浸透フェーズはこれからですが、現時点で振り返ってみて思うことは、これだけ長期化する取り組みとなると、全社を巻き込んでの熱量をキープすることの難しさはあるなということです。透明性をキーワードに随時進捗の共有などはslackなどを通じて行ってきましたが、テンポが良かったかというと反省はあります。
情報発信の発信元を複数用意して、恒常的な情報発信ができる工夫がもう少しできても良かったかなと思います。

また、当事者意識と客観性のバランスも重要だなと改めて感じています。
ご時世もあり実施はできなかったが、バリュP参加者全員でのリアル飲みなどの開催もできれば、より強い当事者意識を生む機会にはなっただろうなと思いますし、一方で社外の方にアドバイザーとして入ってもらうことで俯瞰した視点からの気付きや整理もできたのかなと思います。

自分自身がもう一度こういったプロジェクトを行うことがあるかはわかりませんが、もしこれから自社のバリューを見直そうと思っている方がいましたら、なにか1つでもご参考になればと思います。

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