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大切なのは分析と時間管理のマトリクス+α?PDCAについて僕が重要だと思うこと

 先日、大阪へ出張に行った。目的は、新規事業である歯科の開業に向けて、経営のノウハウを学ぶことだ。

4月から月に一度この勉強会に通うなかで、気づいたことがある。それは、今まで取り組んできた介護事業と歯科事業は非常によく似ている、ということだ。虫歯のことを齲蝕(うしょく)と言ったり、歯周病のことをPと呼んだりといった専門用語を覚えるのに最初は苦労したが、それを乗り越えてしまえば、介護での考え方がかなり応用できるとわかってきた。

たとえば国は、「とあるケアを20〜29分行ったらいくら介護(医療)報酬が支払われる」といった枠組みを決めている。歯科経営で利益を最大化するには、その枠組みのなかで、どうすればできるだけ短い時間で質の高いケアを提供できるかを考えなくてはならない。この仕組みづくりには介護事業で同じことを考えてきた経験や知見が活きるはずだ。

まだ事業のイメージができただけで、具体的な収支計画などはこれからだが、見通しは明るいのではないかと感じている。

とはいえ、はじめての事業ゆえに壁にぶつかることも多くあるだろう。その壁を乗り越え、事業を前に進めるためには、PDCAを回すことが大切だ。そして僕は、この4ステップのなかでC(CHECK)がもっとも重要だと考えている。

今回は、僕の考えるPDCAの(C)の重要性のほか、適切なPDCAを回すためにも大切だと捉えている「時間管理のマトリクス」についてお話したい。


歯科と介護に共通するCの考え方

 僕が考えるCHECKとは、確認ではなく「分析」だ。

今回の新規事業としての歯科立ち上げプロジェクトでは、まさに今が分析の段階だと言える。まず、歯科業界への参入を考え(P)、セミナーに参加し(D)、そこで学んだことをもとに、事業がどのようになっているのかを細かく検討(C)しているのだ。

たとえば、歯科クリニックに治療目的の50名の新規患者が来たとする。この患者全員が治療を終えることはもちろん、治療後の口腔ケアにまで継続して通ってくれるようになれば、患者にとっても口腔の健康が保ちやすいし、経営者にとっても安定した収益につながりWin-Winと言える。(※口腔ケア:虫歯や歯周病など口腔内のトラブル解消のためだけではなく健康的な日常生活を送るために行うケア)

一方で実際は、そううまくはいかない。治療を中断する人もいれば、治療は終えたもののその後の口腔ケアは行わない人、口腔ケアに通いはじめたものの1〜2回で通わなくなってしまう人などさまざまだ。

すべての新規患者のうち何%の人が治療を中断するのか、そして患者はなぜ治療を中断したり、メンテナンスを怠ったりするのか。歩留まりの割合やその要因を細かに分析していく必要があるのだという。

これを聞いて、改めて気を引き締めた。これは介護事業でも必要なことだ。

問い合わせがあったのに見学にはつながらなかった方もいれば、見学していただいたものの入居に至らなかった方もいる。介護度が重度の方に介護を行っている僕らの場合は、入居が決まっていたにもかかわらず、残念ながら入居前に亡くなってしまう方もいる。

入居に至るまでのデータはこれまでも日々確認していたが、自分たちの利益目標から逆算して、新規問い合わせの件数を考えるための分析を、より一層強化しなくてはと感じさせられた。

学んでいるのは歯科経営についてだが、介護事業にも通ずる学びも得られて、とても密度の濃い時間を過ごしている。


PDCAにも、目的意識が重要

 ここまで話してきたような、それぞれのフェーズをデータで見て検証する考え方は、顧客獲得や事業継続を実現する上で、欠かすことのできない取り組みではないだろうか。

しかし、多くの介護事業者や歯科では(C)を十分に実行できていないように感じることがある。それはなぜか。

以前のnoteでも触れたが、沖縄は胃ろうの造設率が1位だったり子どもの虫歯率も全国でもっとも高かったりと、介護や歯科の需要が高い地域でもある。PDの後の(C)を実行しなくても収益を確保できるだけの需要があるのだ。この状況下であれば事業は回っていくため、(C)に目を向けることが少ないのではないかと僕は考える。

需要があるうちは、それでもやっていける。だが、外的環境に変化が起き、需要が縮小してしまった途端に、(C)を基にした顧客獲得や事業を継続するための打ち手を講じることができず、事業が立ち行かなくなってしまうかもしれない。

事業の将来的な継続性という観点からも、僕は(C)を大事にしているのだ。

一方で、(C)の精度を高めるためには、(P)と(D)をたくさんこなして経験値を積むことも重要だ。僕はこれまでリンクスで失敗も多くしてきたけれど、その経験があってよかったと思う。

経験値と同じくらい、PDCAをより効果的に回すために大切なものがある。それは、何のためにやるのかという目的意識だ。

リンクスで言えば、すべては利益を上げるためだ。利益の向上は、職員の給与アップや顧客によりよいサービスを提供するための設備投資につながる。管理職たちや職員とPDCAを振り返る時も、この目的に常に立ち返ることを意識している。


時間管理と出かける前に茶碗を洗い出す妻

 実際に業務を行う際は「利益を上げる」という大きな目標に紐づいた、より具体的な目標を立ててPDCAを回していくことが多い。具体的な目標を適切に立てる上で役立つのが、時間管理のマトリクスだ。

時間管理のマトリクス

僕も含めて人は、本質的解決につながらない表面的な課題ばかりに目を向けてしまうことがある。

目の前のタスクや課題を緊急度と重要度を鑑みて分析するこのフレームワークは、今自分が向き合っているのは本質的な課題なのかを検証するのにもってこいのツールと言えるだろう。

「忙しい忙しい…」と、ずっとタスクに追われているように感じている人にとっても、有効なフレームワークだ。今の自分の仕事がこの図のどこに当てはまるのかを考えてみるといい。緊急度が高くなく、期限の決まっていないものを「今すぐやらないと」と思い込み、自分で自分を追い込んでいただけだったということもあるかもしれない。

今やるべきだと感じていることのなかで、緊急度と重要度を検討して本当にやるべきことはどの程度あるのかを整理することは、精神面でも、アウトプットの質を高めるという意味でも非常に有効なのではないだろうか。

一方で、時間管理のマトリクスだけでは整理しきれないことがあるのも感じている。

 たとえば、僕の妻は出かける前に、茶碗を洗い出すことがある。僕はすでに準備が終わっていて彼女はまだ準備ができていないにもかかわらず、だ(笑)最初の頃は「何も今、君が茶碗を洗わなくてもいいでしょ。僕は準備が終わってるんだから僕がやるよ」と言っていた。しかし、「どうしても今自分が茶碗を洗いたいんだ」と彼女が言うので、最近では「遅刻さえしなければ、まあいいか」と、何も言わないことにした。

こうした家事の一コマに限らず、まったく今やる必要はなくて重要でもないのに、「どうしても今これをやりたい!」という衝動を感じたことのある人は多いのではないだろうか。

時間管理のマトリクスだけでは説明しきれないこの「+αの部分(どうしても今やりたいこと)」に時間を使えるくらいの余裕を持った時間設計が、仕事においてもプライベートにおいてもベストだと僕は思う。

この余裕を持った時間設計を行うためにも、僕はとても時間を大切にしている。日常で言うと、洗濯物を畳むとしてもただ畳むのではなくその時間を使って妻と対話をしているし、買い物に行く時間やレジに並ぶ時間を節約するためにネットスーパーを使うことも多い。

この時間を大切にする姿勢は社員にも伝えている。連絡もなく会議に遅れるのはもってのほかだが、反対に早く来すぎることもよくないと考えている。その時間を使って、何かほかにできることがあるかもしれないからだ。相手の時間だけでなく、自分の時間も大切にしてほしい。


緊急ではないものに取り組むことで、長期的視点を養う

 ところで時間管理のマトリクスにおいては、「緊急度は高くないが重要度の高い領域(質の高い領域)」に取り組むことの大切さが語られることも多い。 

僕はパーソナルジムでのトレーニングをはじめとする運動をこの領域に位置付けている。家族みんなで3ヶ月に一度は歯医者へ通うことも、同じくこの領域に入る。自己メンテナンスには気を配っている方ではないだろうか。やはり、会社経営を行う上でも体は資本なので、体のケアはこれからも意識して行っていきたい。

 実は8月から、週に一度の中間管理職や役員を集めた会議の際に運動を取り入れようとしている。ややハードな運動になる予定だ(笑)

僕は常に、今ではなく数日先、数年先の未来を見て生きている。社員たちにも目先のことではなく、より長期的な視野を持って生きることを体感してほしい。逆説的ではあるが、未来を見据えて生きることで、より密度の高い「今」を生きられると思うからだ。これからみんなでやっていく運動が、社員たちの健康増進、ひいてはまずは健康という軸から、自分の行動を長期的な視点で考えるきっかけになればうれしい。


▼僕の自己紹介noteです。興味をお持ちいただいた方は、読んでいただけるとうれしいです。

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書き手 えなりかんな
聞き手・編集 サオリス・ユーフラテス


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