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自分を通じて他者にいい影響を与えることが、僕らのウェルネス|與那城将×琉球ウェルネス道廣敬典さん

「孤独な生き物だ」と言われることの多い経営者。実際に、株式会社未来塾が運営する「Management Mastersの調査でも、4割の経営者が「経営の相談をできる人が身近にいない」と答えている。

しかし、僕にはありがたいことに、気軽に悩みを相談できる経営者の友人がいる。その友人とは、琉球ウェルネス、Cob、Blue Mobilityの3社で代表取締役を務める道廣敬典さんだ。

僕がみっちーさんと呼ぶ彼は、リクルート、サイバーエージェントで活躍したのち、STORESというスタートアップでビジネス部門執行役員を勤めた、経験豊かなビジネスパーソンだ。彼が沖縄に移住してきたばかりの頃に出会い、今では定期的に会う友人となった。

今回のnoteでは、彼を招いて互いの会社への想いや、人生において大切にしていることを語り合った。これまでのnoteとはまた違う、経営者の友達といる時の僕を知ってもらえたらうれしいです。



二人の出会いのきっかけは?

道廣敬典さん(以下、道廣):将さんと知り合ったのは、2022年の夏でしたよね。僕が沖縄に来たのが2022年の3月だったので、沖縄に来て本当にすぐの頃でした。僕の知人であり、将さんの母校の先輩でもある方が連れて行ってくれた、初めてのゆんたく(沖縄の言葉で、おしゃべりの意)会で出会いました。

與那城将(以下、與那城):そうですね。その集まりは、僕の大好きな人たちを集めたらどうなるんだろうなと思って主催した会だったんですが、そこにみっちーさんも来てくれたんです。

道廣:「みっちーと似てる奴がいるから会わせたい」ってことで呼んでもらったんですよ。「感覚が似てるから絶対に会ったほうがいい」と言われた記憶があります。

與那城:もともと、僕が大好きな人が大好きな人はきっといい人だろうと思っていましたが、実際にみっちーさんと会ってみて、すぐに好印象を持ちました。第一印象から、論理的に話ができる頭の良い人だと思いましたし、一方でただロジックだけで動いているわけでなくて想いも持っている。この二つが両立している人だなと。なかなかどちらも持っている人はいないので、なおさら好感を持ちました。

道廣:初めてそんなフィードバックをいただきました。うれしいですね(笑)

僕は将さんは愛の人だなと感じました。僕はずっと東京でビジネスをしてきて、資本主義的な、目的を持ってコトを達成するために集まる場に慣れていました。でも将さんとの出会いの場は、全然資本主義っぽくなくて。

最初は「僕は何をみなさんにギブすればいいんだろう」と考えていましたが、誰も目的を達成しよう、役立つ何かを得ようとかは考えてなくて、純粋なゆんたくが繰り広げられていました。場をまとめる将さんからも、純粋に人と人とを繋げたいって気持ちが感じられて、「こんなに愛のある営みってあるんだ」と衝撃を受けましたね。将さんは愛のある人なんだなと強く印象に残りました。

もともと沖縄の文化として、同じ共同体に所属する人への愛が強い傾向にあると感じますが、将さん自身もすごく利他の人なので、沖縄の文化に将さんらしさが重なって、愛のある行動につながっているのかなと思います。

與那城:僕もみんなにそういうわけではないんですが(笑)、みっちーさんとはとにかく波長が合ったんです。それから仲良くなって、肝心な局面を迎えた時には会いたくなるような存在になりました。

道廣:僕にとっても、将さんは大切な存在です。将さんは同世代だし、かつ先輩経営者でもあるし、何より思想に近いものを感じるので、定期的に会いたい人の一人ですね。僕の近況報告もしたいし将さんの話も聞きたいし、半年に1回くらいはお茶したりご飯に行ったりしています。

組織をまとめるにはどうするのが良い?

與那城:そういえば、リンクスで8月から半年間、NLP(神経言語プログラミング:言語学と心理学から人間心理やコミュニケーションにアプローチする学問)やコーチングの先生を招いて管理者向けの社内研修するんですよ。よかったらみっちーさんにも講師として入ってほしいです。

道廣:ほんとですか。もし僕にできることがあればぜひ貢献できれば嬉しいです。

與那城:実は今リンクスもちょっとした壁にぶつかっていて……。

僕や役員は管理職こそ統率力ではなくて人間力を高めなくてはいけないという考えなのですが、職員が200名→300名に組織が拡大していく過程でもあり、現場の管理職からは統率力を高めたいとの声も聞こえてきて、今一度共通認識を固める必要があるなと感じています。

道廣:そういう組織の問題に対して一定効果があるのではと感じている方法があって、それは「定期的に今の状況や役割を噛み締め直すこと」なんですよね。毎日とても忙しいし、緊急かつ重要な出来事もたくさん起こるとは思うのですが、一度落ち着いて、考えたりコミュニケーション取れる機会をつくることはとても大切だと思います。

将さんは本質的な課題に気づけているので、気づけてさえいればあとは解決するだけです。解決はどうにかなると思うんですけど、そもそも課題に気づけていない人が多いんですよね。

課題に気づけるかどうかは、感性も価値観も成功体験も関わってくると思います。あと、ロジックで考えていった時に、本質的な課題以外の課題が見つかるんですよね。

たとえば、元気のなさが本質的な課題だとしても、ロジック的に見ていくと、売上が立っていないのは件数と単価の問題で、単価が低いのは商品づくりが上手くいっていないからだってなるんですよ。本当は商品を作る人のモチベーションが大事なのに、「良い商品を作るためにみんなで商品開発合宿をしよう」という解決策になってしまう。本質的な課題からズレたまま、打ち手を打ってしまっているんです。

ただ、これは結果論なので、見方次第でもあります。僕は誰かを否定したり、「あの人は馬鹿だ」などと言ったりするつもりはまったくありません。ただ、僕の観点では、本質的な課題は別にあって、それに取り組んだ方が人も辞めず、会社もうまくいくはずなのにもったいないと感じることは結構あります。

沖縄タイムってどう思う?

與那城:こうして話していて改めて思いますけど、やっぱりみっちーさんは道筋立てて話してくれるし、そういう人が好きですね。沖縄ではあまりお会いすることがないタイプの人だと思います。

沖縄といえば、俗に言う沖縄タイム、飲み会もそうだし結婚式でも遅れてきたり、バスが定刻に来なかったりっていう独特の時間感覚があると思うんですが、それはどう感じてますか?

道廣:バスが来ないのは確かにそうですが、僕は経営者のような時間に高い価値を感じている方々と会うことが多いからか、他の場面ではそんなに差を感じることはないです。ですが、アジェンダもきらないアポもあるし、延びることを前提にしているアポもあるので、人によって時間感覚を分けているかもしれないですね。

與那城:確かに時間が延びることは多々ありますよね。次の予定があるのでって初っ端に伝えていても延びることもあるし(笑)

道廣:ははは。でもこれは価値観の問題で、時間はたくさんあるという認識であれば別にそれでいいじゃないですか。お金が湯水のようにあったら値段を見ずに買い物するのと同じで、「時間がたっぷりあるんだから、ゆっくり喋ればいいさーね」ってなるのはすごくよくわかります。

ただ、僕はやっぱり基本的にオンラインの時空間にいて、そこでコミュニケーションをとっているから、ギャップを感じる部分はあります。だから、意識的にモードチェンジは行ってますね。昨日も沖縄で会食があったんですが、17時にPCを閉じて一回着替えて顔も洗って、さらに30分歩いてモードを切り替えてから行きました。

與那城:へえ、面白い。僕はまったくしないですね、会社のユニフォームのままです。昨日も集まりの前に家で3杯ぐらい飲んで行きましたし(笑)何も気にせず、このままの延長上でいきますね。

道廣:やっぱりそこがネイティブですよね(笑)それで思い出しましたけど、この前、僕より前に移住してきた先輩が「沖縄に来てまだ7年なんですよ」って言ってたんです。それに対して、僕は友達に「沖縄に行ってからどのくらい?」と聞かれたら「もう2年経った」と答えていたんですが、2年ってまだまだだなと……襟を正しましたね(笑)

この沖縄の文化に対するリスペクトやマインドセットを強烈に持っておかないと、たとえば、僕は遅刻されたことがあまりないけど、もしそういうことがあったらせっかく時間を取ったのにって怒ってしまうかもしれません。

今まで30年以上内地にいたわけなので、体に染み付いた時間感覚を抜くのは難しいし、ふとした時にすぐ出て来てしまうから、意識的に沖縄タイムに合わせるマインドを作ることが必要だなと思います。

最近怒りましたか?

與那城:今怒るというキーワードが出ましたけど、みっちーさんって最近怒ることってありましたか?

道廣:ありましたね。正確には怒ったというより、この1週間くらい琉球ウェルネスの社内に対してかなり熱を持って発信しています。今の琉球ウェルネスは、ありがたいことに業績絶好調で、いろいろなところからお話がある状態です。そして、それに応えるために組織も急拡大しつつ、これまでより速いスピードでサービスを行っている最中でもあります。

そんななかでもこれまで通り質の高いサービスを提供するために、1to1でフィードバックしたメンバーもいるし、全体に対しても、本質的には同じことを伝える文章を違った観点でいくつか投稿したりして、琉球ウェルネスの方向性を伝えました。こんな感じで熱くなることはありますが、感情的に人を殴りたくなるぐらい怒ることはほぼないですね。

與那城:お子さんに対しても怒ることはないんですか。

道廣:子育てに関しては楽しいしかないですね。家があるマンションの一つ下の階に仕事の部屋を借りているんですが、30分でも空き時間があったら家に戻って抱っこして戻ってくるって生活をしてます(笑)将さんはどうですか?

與那城:僕は今3人子どもがいますが、次男にはちょっと叱りすぎたかもしれないと反省してます。次男はもうすぐ8歳になりますけど、彼が小さい頃と僕のどん底の時期が重なっていたのもあって、今思うと叱りすぎたかなと。でもその時期があったからこそ、怒るって無意味だと気づけたし、今では子育てでもそれ以外の場でも、喜怒哀楽の怒はまったくなくなりましたね。

道廣:すごい。もう仏陀じゃないですか(笑)でも確かに怒りの感情は、そのままアウトプットしていいこと一ミリもないですからね。

オンライン対談

幸福を感じる瞬間は?

道廣:仕事では、お客さんの態度変容に幸せを感じます。僕は今、琉球ウェルネスという会社で、ウェルネスツーリズムに取り組んでいます。僕らはウェルネスを、「明日への活力」と定義しています。例えば、「この人たちと一緒に仕事ができて楽しい」というような感情も立派なウェルネスと捉えています。

この考えのもと、僕たちが提供するウェルネスツーリズムは、単に心と体が穏やかになるというものではなく、心と体がポジティブかつアクティブになっていくことを目標としています。そのため、ヨガ、瞑想、自然体験などの一般的なウェルネスツーリズムとは異なるアプローチを取り、誰かと繋がりたい、自分自身を深く見つめたいという人々のニーズに応える活動をしています。

お客さんは何らかの痛みやウェルネスに対する渇望を持っているし、その解決のために高額な料金を払ってチームビルディングを依頼してくれている企業もいます。彼らから「これでチームが変わった」とか「この仲間たちと働けてすごく幸せだ」というような言葉を聞くと、素晴らしい機会を提供できたと感じ、次もまた頑張ろうと思えます。

また、仲間たちが増えることもうれしいです。当社には合計12名ほどのメンバーがいます。業務委託のメンバーもいますが、正社員か業務委託かに関係なく、みんなで琉球ウェルネスを作り上げ、お客さんにウェルネスを提供しようとしている瞬間そのものが、ウェルネスだと感じています。

最後に、僕個人としては、妻と子どもという最愛の家族がいるからこそ、今こうして楽しく明るく元気に生きられているので、彼らと楽しい人生を歩んでいくことが一番の願いです。もちろん、仕事も大事ですし楽しいですが、一番大切なのは家族といい人生を送ることです。

與那城:みっちーさんの話を聞いていて、僕と似てるなと思いました。僕も家族の存在そのものや、他人が変わっていく姿を見ることに幸せを感じます。特に家族が響きましたね。

僕にとっては、子どもの成長や変化が一番幸せです。

本当の子どもはもちろんですが、社員も子どものように思っています。社員の変化は、行動だけでなく、たとえば社員の車が軽自動車から乗用車になっているような、経済力の変化もうれしいですね。こういうのを目にするからこそ、利益を高めて給料を上げていかなければと思いますよね(笑)

あとは、社員の言葉の変化にも幸せを感じます。ちょうど昨日、管理職育成のための8週間プログラムの3期目が終わったんですが、今回のプログラムの参加者には、入社予定の人と入社したばかりの社員がいました。彼らはマインドマッチで入社してくれていて、それを言葉でたくさん表現してくれたんです。一人の社員の変化ではないですが、こうして話してくれる社員が入社してくれるようになったことにも喜びを感じます。

道廣:やっぱり僕たちは似てますよね(笑)
自分という媒体を通して、他の人々の人生に良い影響を与えたいと思っているところが共通しているように思います。みんながやるべきだけどできていなくて、でも自分ができることを他の人に真似してもらえるように先頭に立っている、という構造ですよね。

将さんの場合は、ハードワークかつ給与も低い介護業界を改善する道筋を示している。僕も同じように、資本主義一辺倒ではなく、資本主義と幸福と両立する道を示しています。このように自分たちを通して社会をよくすることに貢献できているという実感が、僕たちのウェルネスなのかなと思います。

こうして他者に向けて動きながらも、自分にベクトルを向けることができるのも将さんのすごいところだと思います。起こっていることはすべて自分たちの責任と捉えて、自分自身と向き合ってますよね。でもそれができずに、最終的に幹がないからブレて空中分解してしまう例もクライアントを含めてたくさん見てきたので、なおさら将さんのすごさを感じます。

幸せであるために大切にしていることは何ですか?

道廣:矛盾してるように聞こえるかもしれないんですが、今を生きないことと、今を生きることです。僕は近くても1年後の時間軸で、今ではなく未来のために常に生きています。そうすると、今がチャレンジになって、「そこに向けて頑張ろう」という活力が生まれます。

一方で、今こうして将さんと話してる時間もすごく幸せだなと思うし、家族と飯食って風呂入って寝ようぜって言ってる瞬間もすごく幸せだから、今ここにある自分の感情を抱きしめてもいきたいんですよね。未来を起点に生きながら、今も大切にする、このふたつが大事だと思っています。

與那城:今の言語化、すごいなと思いました。経営思考にも通じるものがありそうです。

僕も今日やることはすでに決めていて未来を考えるタイプなので、未来軸にはとても共感できます。僕の言葉で言うと、明日死んでもいいです。もう満足です。後悔は唯一、妻や子どもたちと過ごせなくなることだけですね。日々心から満足してるので、本気で明日死んでも後悔はないですね。

毎日やりたいことをやって、喋りたいことを喋る。これが自分のウェルネスなのかなと思います。


みっちーさん、改めてありがとうございました。とても楽しく、あっという間に時間が過ぎていきました。読者の皆さんにも、楽しんでいただけていたらうれしいです。

▼みっちーさんの運営する琉球ウェルネスはこちら。

▼僕の自己紹介noteです。興味をお持ちいただいた方は、読んでいただけるとうれしいです。

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書き手 えなりかんな
聞き手・編集 サオリス・ユーフラテス

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